【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.74

2017-01-10
**【INDEX】 ** **【中国ビジネス・トレンド】 **[**外国人就業者に対する分類管理制度について**](#1)

**【水野真澄セミナー情報】
**『中国外貨管理・クロスボーダー人民元の最新動向』

**【水野真澄関連商品】
**■ 新刊「中国外貨管理マニュアル Q&A2016 年改定版**」のご案内** 
その他


【中国ビジネス・トレンド】

**
外国人就業者に対する分類管理制度について

外国人就業者を A、B、C 類に分類し、優遇や制限を加える管理制度が 2017 年 4 月より全国で開始されます(北京、天津、河北、上海、安徴、山東、広東、四川、雲南、寧夏では 2016 年 10 月から先行して実施)。
C 類に分類される外国人材に対しては就業許可の発給ほか、様々な制限が科せられる恐れがあり、また B 類では原則 60 歳を上限とするなど、年齢制限についても規定されていますので、企業の人事政策への影響も少なくないと思われます。
以下、新制度の詳細を解説します。

**1.新制度の内容
** 国家外国人専門家局が 2016 年 9 月 27 日に公布した、外国人中国就労許可制度試行実施方案(外専発[2016]151 号)により、外国人就業者をランク付けして管理する制度が 2017 年 4 月より全国で開始されます。

また、外国人が中国で就業する場合、入国 前に申請・取得が必要であった、「外国専家来華工作許可証」と「外国人就業許可証」が「外国人工作許可通知」に、入国後に申請・取得する、「外国専家証」 と「外国人就業証」が「外国人工作許可証」に統合され、外国人に対する就業許可関連業務の利便化が図られます。
なお、統合後の「外国人工作許可通知」はオンラインで印刷することが可能となり、「外国人工作許可証」で付与される個別の番号によって、中国での就業状況、信用記録などが半永久的に管理されるようになります。

**2.分類管理の詳細
** 中国で就業する外国人は、一定の条件に該当するか、もしくはポイント数によって、A 類(ハイレベル人材)、B 類(外国専門人材)、C 類(外国一般人材)に分類され、優遇措置の提供や制限管理が実施されます。
分類の基準は、外専発[2016]151 号の付属文書 1「外国人来華工作分類標準(試行)」に記載されています。

A 類:以下条件の 1 つに該当
(1)国内人材導入計画に選出される人材
(2)国際的に公認された専門認定基準に適合する人材
(3)市場動向に合致した人材
(4)イノベーション人材
(5)優秀青年人材
(6)ポイントで 85 点以上の人材

B 類:以下条件の 1 つに該当
(1)条件に適合する学士以上の学位、及び 2 年以上の関連実務の経験を持つ専門人材
(2)中国の大学で修士以上の学位を取得した優秀な卒業生
(3)世界ランキング 100 位以内の大学の修士以上の学位を取得した卒業生
(4)外国語の教員
(5)ポイントで 60 点以上 85 点未満の人材

C 類:以下条件の 1 つに該当
(1)行政主管部門の批准(授権)により雇用、または中国と外国政府の協議によって雇用した人材
(2)政府間協議によって中国で実習を行う外国人青年
(3)ハイレベル人材に同行して中国に来て家政サービスに従事する外国人
(4)遠洋漁業などの特殊分野に従事する外国人
(5)季節性労務に従事する外国人
(6)その他、職位の割当管理が行われる外国人

ポイントの配分については、同じく付属文書 1 にポイント配分表があり、年収や関連業務の継続年数、中国語レベル、年齢などの事項でポイントが割り振られます。詳細は以下の通りです。

【中国内組織が負担する年収】
45 万元以上(20 点)、35 ~ 45 万元未満(17 点)、25 ~ 35 万元未満(14 点)、15 ~ 25 万元未満(11 点)、7 ~ 15 万元未満(8 点)、5 ~ 7 万元未満(5 点)、5 万元未満(0 点)

【学歴・国際職業資質認定】
博士・博士相当(20 点)、修士・修士相当(15 点)、学士・学士相当(10 点)

【業務経験】
2 年超の場合は 1 年超過ごとに 1 点加算(最高 15 点)、2 年(5 点)、2 年未満(0 点)

【年間就業時間】
9 か月以上(15 点)、6 ~ 9 か月未満(10 点)、3 ~ 6 か月未満(5 点)、3 か月未満(0 点)

【中国語 HSK レベル】
5 級以上(10 点)、4 級(8 点)、3 級(6 点)、2 級(4 点)、1 級(2 点)

【就業地域】
西部地区、東北地区など旧工業地域、中部地区の国家級貧困県等の特別区(10 点)

【年齢】
18 ~ 25 歳(10 点)、26 ~ 45 歳(15 点)、46 ~ 55 歳(10 点)、56 ~ 60 歳(5 点)、60 歳以上(0 点)

【卒業大学・勤務企業】
世界トップ 100 の外国大学卒業生、世界 500 強企業での就業経験者(5 点)

【省級外国人就業管理による奨励点】
地方経済と社会の発展に必要な人材(0 ~ 10 点)

A 類のハイレベル人材に対しては、審査手続きがオンラインで進められ、入国前に紙ベースの資料提出などが不要であり、また審査時間も短縮されるなどの手続面での優遇が用意されています。

**3.60 歳を超す人材について
** 外専発[2016]151 号の付属文書 2「外国人来華就労許可サービス指南」には、各分類の申請条件が規定されており、A 類には年齢制 限はありませんが、B 類は 60 歳を超えないと規定されています(C 類に関しては年齢制限の記載がないが、B 類同様の 60 歳が一般的な上限とされる可能性が 高いと思われる。但し詳細は不明)。

B 類の条件については、確かに必要性があると認められる場合には、年齢、学位、又は職歴などの制限を適切に緩和することができると記載されており、一定の猶予が用意されていますが、原則は上記の通りとなります。

上海市労働局に確認したところ、A 類に該当しない 60 歳超の人材の場合、総経理、副総経理、法定代表人、董事長の何れに該当する場合も特別審査が必要との回答でした。
今回の分類管理制度が開始される以前も、60 歳を超える人材については就業許可の取得が容易ではありませんでしたが、上海では 60 歳超の人材でも法定代表人であれば就業許可の取得ができていました(総経理の場合でも、60 歳超は取得できない事例が散見されました)。

今後の対応に付いてヒアリングしたところ、法定代表人であれば従来通り発給を認める余地を匂わすコメントはありましたが、現時点では明確な回答は得られません。
また、董事長・董事・総経理の場合でも、法定代表人ではない場合、特別審査の対象との回答でした。

広州市・深セン市では、法定代表人、若しくは、総経理の場合、60 歳超であっても就業許可の発給が実務上行われていました。
新管理規則の施行により、今後は 60 歳超は不可との労働部門の回答ですが、現段階では、やはり明確な状況は把握できません。
因みに、広州市では、「広州市人的資源社会保障局の行政許可自由裁量権の規範化規定」により、以下の条件を満たした場合、定年から 5 年以内であれば就業許可と就業証の取得が認められていました。

(1)広州現地法人の外国投資者として、直接現地で経営に参加し、管理職を務める外国個人株主。外国株主が企業・法人・組織である場合、その企業・法人・組織の株主創立者
(2)外国企業の常駐代表処の首席代表・一般代表として登録される就任する外国人
(3)外国本社との間胃に雇用関係があり、本社から現地法人に派遣される特定の外国の技術管理者
但し、今回の管理規定により、当該法規も失効となる模様です。

**4.その他の注意点
** そのほか、就業許可の申請に際し、B 類、C 類の場合、学歴証明と無犯罪証明の提出が要求されます。この学歴証明と無犯罪証明は日本国内の中国大使館・領事館で認証を取得しなければなりません。
A 類の場合は、犯罪歴が無い事に関する承諾書の提示のみで、無犯罪証明の提出は免除されます。また、A 類の条件のうち優秀青年人材、ポイント 85 点以上で認定される場合は学歴証明の提示が要求されますが、それ以外の場合は免除されます。

上海市の実務状況について上海市労働局に ヒアリングしたところ、現時点(試行期間中)では、延期(更新)、変更、抹消等の手続に従来と変わりはないとの事でした(無犯罪証明の提出も不要)。いつ から無犯罪記録証明の提出が必要になるのか、及びどのようなものの提出が必要になるかについても不明との事でした。
試行期間中ということもあり、各地区によって要求される申請書類が異なる状況もあるので、事前に申請地の労働局に確認する事が重要です。

以上


**【水野真澄セミナー情報】

** **『中国外貨管理・クロスボーダー人民元の最新動向』**
~日本記帳の中国における円滑な経営・資金効率活用・日本への利益回収モデル(貿易取引・投融資・利益還元・ネッティング・組織再編とエグジットの対応)~

▼ 主催
一般社団法人企業研究会

▼ 日時
2017 年 01 月 30 日(月) 13:00 ~ 17:00

▼ 会場(日本東京)
企業研究会セミナールーム(東京・麹町)
https://www.bri.or.jp/about/access

▼ 講師
Mizuno Consultancy Holdings Ltd.代表取締役社長 水野真澄

▼ 受講料
一般:35,640 円(税込)
MCH 会員様:25,920 円 (税込)
非会員様(MCH メルマガ経由申し込み):29,160 円(税込)
**※申込書に、会員様は「MCH 会員」、一般の方は「MCH メルマガ経由申込」とご明記下さい。
**
▼ お申込み・セミナー詳細はこちら
https://www.bri.or.jp/seminar/62589


【書籍】

**■ 最新刊「中国外貨管理マニュアル Q&A2016 年改訂版」

** 2013 年夏の前作発売以降も、めまぐるしい中国外貨管理制度の変更がありましたが、今回これらをすべてキャッチアップし、3 年ぶりに全面改訂を行いました。

書籍の構成は大変好評をいただいた Q&A の方式を踏襲し、複雑な中国の外貨管理(全 100 問)を一問一答で分かりやすく解説しています。

また、外貨管理だけではなく、クロスボーダー人民元決済、近年開始された資金集中管理(ネッティング・双方向プーリング)制度についても概要と活用方法を紹介しています。

【商品情報】
執筆者:水野真澄
制作・発行:株式会社チェイス・チャイナ
定価:3,800 円+税 MCH 会員様価格:3,500 円+税
※香港売価格:一般 437 香港ドル MCH 会員様価格:350 香港ドル
※中国で購入を希望されるお客様はinfo@mizuno-ch.com へお問い合わせください。

収録内容の詳細、購入のお申込みはこちらから
https://www.mizuno-ch.com/modules/bulletin/index.php?storytopic=4

■ 好評発売中 中国担当者マニュアルステップワンシリーズ

中国ビジネス初心者の方に、法律と実務のポイントをわかりやすく、明快に解説するのが『ステップワン』シリーズです。

第 1 作 詳細ページ http://chasechina.jp/item/4621
最短距離で中国ビジネスを俯瞰するための、担当者様向け初級マニュアルです。
中国進出・組織再編・撤退、貿易・ビジネスモデル、外貨管理・クロスボーダー人民元、国際税務に関する事項を網羅しています。

【商品情報】
B5 版/160 ページ
著者:水野真澄
定価:2,400 円+税 MCH 会員様価格:2,000 円+税
※香港売価格:一般 300 香港ドル MCH 会員様価格:200 香港ドル
※中国で購入を希望されるお客様は下記へお問い合わせください。

第 2 作 詳細ページ http://chasechina.jp/item/4835
中国の会計・税務にスポットをあて、会計編では、中国会計制度の特徴と実務上考慮すべき点について、企業会計制度と新会計準則の相違点や企業所得税法との関係を踏まえて解説しています。
税務編では、中国の主要な税金である、企業所得税・個人所得税・増値税・営業税・消費税・付加税の各ポイントを解説しています。

【商品情報】
B5 版/128 ページ
著者:水野真澄
初版発行日:2015/9 月
定価:2,400 円+税 MCH 会員様価格:2,000 円+税
※香港売価格:一般 280 香港ドル MCH 会員様価格:200 香港ドル
※中国で購入を希望されるお客様は下記へお問い合わせください。

【お申込み・お問い合わせ】info@mizuno-ch.com (担当:横幕)

■ 好評発売中 『中国・増値税の制度と実務』

現在進行形で改革が進む中国の増値税制度。
従来の『財貨の増値税』に加え、営改増試行措置の一環として営業税から増値税課税に切り替えられた『役務の増値税』について、その基礎と応用を実務の視点でわかりやすく解説します。

なぜ小規模納税人からの調達が敬遠されるのか・・
非居住者が中国企業に増値税課税役務を提供した場合の税コストはいくらになるのか・・
返品や値引きが発生した場合の発票修正方法は・・
輸出における免税とゼロ税率の違いは・・
国際輸送を行う貨運代理会社の増値税免税適用手続きは・・
流通税改革が進められる背景には何があるのか・・・etc.

増値税制度に関するより深い理解と情報のアップデートに本書籍をご活用ください。
なお、本作の附属資料として・重要法令の日中対訳・中国税務の実務書類各種フォーマット(日中対訳)・増値税システム画面参考画像集を収録しております。

【商品情報】
詳細ページ http://chasechina.jp/item/4624
A5 版/256 ページ
著者:水野真澄
制作:株式会社チェイス・チャイナ
定価:3,800 円+税 MCH 会員様価格:3,500 円+税
※香港売価格:一般 435 香港ドル MCH 会員様価格:350 香港ドル
※中国で購入を希望されるお客様は下記へお問い合わせください。

【お申込み・お問い合わせ】info@mizuno-ch.com (担当:横幕)

**■ 好評発売中 『中国における PE 課税の理論と実務』

** 国際税務の重要な概念、恒久的施設(Permanent Establishment)は中国でも適用されていますが、その運用はますます複雑化しています。最新の知識がないと突然の課税に対応しなくてはならなくなるリスクが存在します。
本書では恒久的施設(PE)認定の理論と対応策を分りやすく解説。さらに資料編として中国 PE 認定・課税に関する中国国内法 16 の原文と日本語訳を掲載。 出張者(技術指導)・出向者の派遣、非居住者在庫、請負工事、コンサルティング役務遂行など豊富な実例を丁寧に解説します。

【商品情報】
詳細ページ http://chasechina.jp/item/3210
著者:水野真澄
発行者:株式会社チェイス・チャイナ
日本国内発売元:キョーハンブックス
定価:8,400 円+税 MCH 会員様価格:7,200 円+税
※香港売価格:MCH 会員様価格:750 香港ドル
※中国で購入を希望されるお客様は下記へお問い合わせください。
【お申込み・お問い合わせ】info@mizuno-ch.com (担当:横幕)

**■ 好評発売中 『DVD 中国会計制度(初級編)』

** 弊社代表水野真澄が総監修する「中国会計制度」の DVD 講座です。
中国会計制度の大前提となる「会計法」、「企業会計制度」、「新会計準則」にはじまり、「発票主義」、「三項基金」、「委託貸付」など、中国ビジネスに携わるうえで必須となる会計知識を多数ピックアップし、丁寧に解説します。
また付属資料には、講座のレジュメの他に 2000 年 7 月に改正施行された中華人民共和国会計法の日本語訳も加え、充実した内容となっています。

【商品情報】
詳細ページ http://chasechina.jp/item/3958
監修・解説者:水野真澄
テキスト作成者:中国税理士 楊紅
定価:18,000 円+税 MCH 会員様価格:10,000 円+税

【お申込み・お問い合わせ】info@mizuno-ch.com (担当:横幕)


**【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版発行者
**MizunoConsultancyHoldingsLtd.

WEB サイト https://www.mizuno-ch.com

このメールマガジンは弊社関係者と名刺を交換させていただいた方、その他ご縁のあった皆様に発信させていただいております。
今後、このメールマガジンの配信が不要な場合は、誠にお手数ですが、下記メールアドレスへ配信停止と記載して送信をお願いいたします。

お問い合わせ、配信停止は mag@mizuno-ch.com までお願いします。