RCEPの原産地証明 執筆日:2022年2月26日

2022-02-26

執筆日:2022 年 2 月 26 日

RCEP の原産地証明

RCEP における中国での原産地証明発行に付いて解説します。

1.原産地証明の種類

RCEP における原産地証明書類は、「発給機関が発行する原産地証明」と、「認可された輸出者が発行する原産地声明」の 2 種類に分かれます。

2.発給機関の原産地証明書

中国の原産地証明発行機関は、税関と国際貿易促進委員会です。

発行申請は、原則的としてオンラインベースであり、手続は以下の通りです。

①  税関に申請する場合

申請企業が、過去に原産地証明の発行を申請したことがない場合、税関システム(互聯網+税関一体化ネット申請システムhttp://online.customs.gov.cn)で「原産地企業備案(原産地証明発行申請企業の届出)」を行う必要があります(注)。

原産地企業備案を行っている企業は、上記の税関システム(互聯網+税関)、若しくは、中国国際貿易単一窓口システムで、原産地証明を申請します。

注:

「対外貿易経営者備案と原産地企業備案両証合一の実施に関する公告(商務部・税関総署・中国国際貿易促進委員会公告 2019 年第 39 号公告)」により、2019 年 10 月 15 日以降に対外貿易経営者の新規備案(貿易権の新規取得)、若しくは、備案変更を行った企業は、その際、税関・中国国際貿易促進委員会等に原産地証書発行申請をすることが認められており、その場合、原産地企業の備案を再度行う必要はありません。

原産地証明の印刷は、「全面的に原産地証明書自主印刷の推進に関する公告(税関総署公告 2019 年第 77 号)」・「原産地証明書自主印刷の範囲拡大に関する公告(税関総署公告[2020]63 号)」により、一部の原産地証明書は自社印刷が可能ですが、その場合、印刷前に「国際貿易単一窓口システム」、若しくは、「互聯網+税関」システムで、原産地証明書企業声明欄に必要な電子社印と申請担当者の電子署名を登録します。

自主印刷できない場合、オンライン審査の許可取得後、最寄りの税関に原産地証明書の印刷・発行を依頼します。

RCEP の場合、現時点では、税関総署公告 2021 年第 106 号・税関総署公告 2022 年第 13 号により、シンガポール、タイ、日本、ニュ---ジ---ランド、オーストラリア、韓国、マレーシア(2022 年 3 月 18 日よりマレーシアも適用可能)向け証明書は自主印刷可能です。

②  国際貿易促進委員会に申請する場合

国際貿易促進委員会に原産地証明発行を申請する場合は、原産地証明申請システム(http://qiye.ccpiteco.net)で発行申請します。

尚、2019 年 10 月 15 日以降に対外貿易経営者備案を行った企業でも、(税関での申請とは異なり)初回申請時に、企業情報システム( http://www.cpitsh.org/ccoas-company/#/companylogin)の「新企業(中国語:我是新企业)」欄で簡易備案を行います。

証明書は、国際貿易促進委員会の原産地申請システムで自主印刷を申請できますが(署名権を有する担当者の署名・企業社印の電子データ登録が必要)、印刷不可の場合は、国際貿易促進委員会に印刷・発行を依頼します。

自主印刷ができる条件は、税関(上記 ①)と同じです。

3.許可された輸出者の原産地声明

認可機関が発行する原産地証明以外に、特定の輸出者が発行する原産地声明も、RCEP の原産地の証明に使用することができます。

特定の輸出者とは、「税関認定輸出者管理弁法(税関総署令 2021 年第 254 号)」の要件(以下)を満たす輸出者です。

●  税関高級認証企業である(注)

●  優遇貿易協定に関する原産地規則を把握している。

●  適切な原産資格管理制度を有する。

注:

「税関登録登記・備案企業信用管理弁法(税関総署令 2021 年第 251 号)」により、2021 年 11 月 1 日より、税関信用ランクが、(従来の高級認証、一般認証、一般信用、信用喪失の 4 ランクから)「高級認証、信用喪失、その他」の 3 ランクとなっています。

認定輸出者の申請方法は、「税関批准輸出者管理弁法(税関総署公告 2021 年第 105 号)」に規定されています。

①  認定輸出者の申請

「中国国際貿易単一窓口(https://www.singlewindow.cn)」、若しくは、「互聯網+税関一体化ネット申請システム(http://online.customs.gov.cn)」で申請を行います。

②  オンライン手続事項

認定輸出者は、システムにより、期間延期、抹消、情報変更、貨物情報の提出、原産地声明などを行うことが出来ます。

税関は、システム経由で、申請者に対して情報通達・書類の発行を行います。

③  その他

認定輸出者が発行する原産地証明は、税関総署令 2014 年第 222 号・第 223 号、税関総署令 2021 年第 255 号、及び、税関総署公告 2020 年第 128 号の条件に従います。

また、原産地声明には発行担当者(登録された担当者)の署名・捺印が必要です。