外資企業の持分出資

2022-03-27

投資性公司以外の外資企業の、中国内持分出資について、解説します。

1.外資企業の国内持分出資

投資性公司以外の外資企業は、営業範囲に、持分出資を加えることはできませんが、「外商投資企業の国内投資に関する暫定規定(対外貿易経済合作部・国家工商行政管理局令[2000]第 6 号)」により、一定の制限の下に、国内持分出資をすることが認められています。

尚、6 号規定には、資本金が払込済である事や、持分出資額を純資産の 50%以内にすることが規定されていますが、これらの制限は、工商外企字[2006]120 号と商務部令 2015 年第 2 号により、撤廃されています。

現在、投資性公司以外の外資企業の持分出資に関する制限は、非ネガティブリスト業種に対する出資に関しては、資金的なものとなります。

2.国内持分出資の資金制限

資金的な制限とは、「経常性の口座から持分出資を行うこと」を指しており、資本性の口座(資本金口座・外債口座・借入金口座)からの払い込みは認められません。これは、中国の資金管理の一般原則によるものです。つまり、経常性資金は、自社の経営から獲得したものであるため、自由な使用を認める一方、資本性資金は、出資者・銀行が、その会社の経営のために拠出した資金であるため、経営範囲に合致した使用を求めるものです。

3.その後の規制緩和

上記2の通りの使用資金原則がありますが、「資本項目人民元換金政策の改革と規範化に関する通知(匯発[2016]16 号)、以下、16 号通知」で、法律上の規制緩和が図られました。 16 号通知は、資本金口座と外債口座の双方に関するものですが、この第 3 条に、人民元転支払待ち口座の支出範囲として、「経営範囲内の支出、国内持分出資資金(以下省略)」と規定されていますので、法的には、この段階で、資本金口座・外債口座内資金からの持分出資が認められました。但し、実際には、これが認められない状態が続いていましたが、「越境貿易・投資の一層の利便化の促進に関する通知(匯発[2019]28 号)、以下、28 号通知」が施行されたことで、銀行・外貨管理局の対応に変化が生じています。

28 号通知の第 2 条には、以下の通り規定されています。

  • 1)非投資性外資企業が、資本金原通貨により国内持分出資を行う場合、被投資企業は規定に基づき国内再投資の受入登記を行い、資本金口座を開設して資金を受領する。現金出資入金登記を行う必要はない。
  • 2)非投資性外資企業が、資本金を元転して国内持分出資を行う場合、被投資企業は、規定に基づき国内再投資登記を行い、「資本項目(元転支払待ち口座)」を開設して、関連資金を受領するものとする。

この内容について、上海市外貨管理局にヒアリングした結果では、1)は、資本金として払い込んだ外貨のまま、中国内持分出資が可能であるという意味である。2)は、外貨で払い込んだ資本金を、人民元換金の上、持分出資ができるという意味である、という回答でした。非投資性公司が行う国内持分出資は、内国出資扱いですので、人民元での払い込みが原則となります。よって、1)の内容(外貨での払い込みを認める)に付いては、筆者としては対応可能性に疑問があります。 ともあれ、28 号通知施行後、実務的にも、資本金口座・外債口座内資金からの持分出資が可能になりました(一応、銀行などに事前確認が望ましい)。

また、上記は外貨で払込まれた資本金の使用ですが、クロスボーダー人民元で払込まれた資本金に付いても、「クロスボーダー人民元政策の一層の改善による貿易・外国投資の安定化指示に関する通知(銀発[2020]330 号)」・第 3 条に、「非投資性外商投資企業は(中略)、法に従い人民元資本金で域内再投資を行うことができる」と規定されています。 これにより、人民元資本金口座内資金に付いても、実務上も、持分出資が可能となりました。