中国における企業名称決定方法に付いて 執筆日:2017年9月2日

2020-05-31

中国における企業名称決定方法に付いて

2017 年 7 月 31 日に、国家工商行政管理局より「企業名称使用禁止制限規則」・「企業名称類似比較規則」が公布されています(工商企注字[2017]133 号)。

当該規則は、使用が禁止・制限される名称の具体例を追加したものであり、社名決定の重要ルールは、従来の規則(企業名称登記管理規定・企業名称登記管理実施弁法)と同様です。このため、当該規則の公布が、外資企業の社名決定に重要な影響を与える事は無いと考えて良いでしょう。

中国の社名に関するルールは、従前より、非常に制限が多いものであり、外資企業設立手続中、この段階に一番時間を要する場合も有ります。

今回は、外資企業の社名決定に関する主要原則を解説します。

1.社名の原則

企業の社名は、商号+業種+地域+会社形態で構成する必要が有ります。

尚、社名は中国語のものが正規となりますが、外資企業は、外国語名称(通常、英語)も同時に登記する事ができます。

2.商号

商号は、漢字 2 文字以上と定められており、アルファベット・数字などは登記できません。

また、漢字 1 文字を商号とする事も認められません。

尚、同一地域内の類似業種の法人が、既に同一、若しくは、類似名称を登記している場合、この使用が認められません(同一資本の企業、若しくは、既存企業から名称使用許可を取得できる場合を除く)。

また、既存登記が抹消されている場合でも、抹消から 1 年未満の場合は、やはり使用が認められません。

3.地域

地域は、県級以上の行政区の名称を記載すると規定されていますが、原則的には市が記載されます。省名を使用する場合は、各地で個別基準が設定されていますが、市を使用する時よりも高い条件(資本金額等)が課されます。

また、中国、中華、全国、国家、国際という名称の使用は禁止されていますが、外資企業の場合は、投資性公司に限定して、国家工商行政管理総局の確認を得る事を前提に、使用が認められています。

また、地名を含まない社名を設定する場合、「国務院の許可を取得する。国家工商行政管理総局の規定に基づく。資本金が 5 千万元以上である」という条件の何れかを満たすという前提のもとに、国家工商行政管理総局の確認を取得すれば、これが認められますが、この基準は、投資性公司以外の企業が中国という地名を使用する場合にも、準用されています。

4.社名登記の実務上の注意点

社名登記は、外資企業設立の最初のステップとなります。

同一市内(地域に市を使用する場合)の類似業種で、同一・類似商号が登記されていなければ、社名登記は数日で終了しますが、されている場合は、手続が中断します。同一商号の場合は、やむを得ませんが、仮に、漢字 3 文字中、2 文字が同じという状況でも、通常はストップがかかりますので、この場合、交渉を継続するか、他の商号を申請するかの選択が必要となります。

また、社名決定ルールからは外れますが、社名登記申請書には、設立予定の法人の住所を記載する必要がありますが、どこまで記載するかが、地域(区単位)により異なっています。区名を記載するだけで手続が認められる地域もあれば、具体的な住所(部屋番号まで)を記載する必要が有る地域も有り、後者の場合、不動産契約を済ませなければ、社名登記手続を行う事ができなくなります。