【Mizuno-CH中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.54

2016-08-08
  • 【中国ビジネス・トレンド】福利費の損金算入制限について

◎【中国ビジネス・トレンド】

福利費の損金算入制限について

Q.1 福利費の損金算入に関する制限が規制緩和されたと聞きましたが、どのような内容でしょうか? A. 根拠となるのは、2015 年 5 月 8 日に公布された、「企業賃金・従業員福利費用等の支出に関する損金算入問題の公告(国家税務総局公告 2015 年第 34 号)」となります。 企業所得税の課税所得の算定上、会社の従業員に対して支払う給与については、合理的なものであれば、損金算入が認められます(企業所得税法実施条例第 34 条)が、福利費については、給与賃金総額の 14%以内に制限して損金算入が認められていました(企業所得税法実施条例第 40 条)。 これが今回の公告で、企業の賃金制度の一環であり、国税函[2009]3 号・第 1 条の規定に合致する福利費については、賃金給与と見なして損金算入ができる(14%制限の対象とはならない)事が規定されました。

Q.2 賃金給与と福利費では損金算入の扱いが異なるのを理解しました。ではそれぞれの定義を教えて下さい。 A. 【賃金給与】 企業所得税法実施条例第 34 条は、給与賃金を、「当該企業に勤務・雇用された従業員に対して現金形式、或いは非現金形式で支払う労働報酬を指し、基本給 与、賞与、手当、補助金、年度末賞与、残業代、及び従業員の勤務あるいは雇用に関連するその他支出を含む」と規定しています。 また、「企業の賃金給与及び福利費控除の問題に関する通知(国税函[2009]3 号)」では、賃金給与に関して、更に、以下の定義を加えています。 「賃金給与総額とは、実際に発生した賃金給与の合計で、福利費・教育費・労働組合費用・養老保険・医療保険・失業保険・工傷保険・生育保険費等の社会保険及び住宅積立金は含まない」 「賃金給与に関しては、企業が適切な給与制度を設定しており、その金額が地域の水準に照らして適正であり、また、法に従い個人所得税を源泉徴収している必要がある」 【福利費】 福利費とは、従業員などに対して支払われる、賃金給与以外の便益を指しますが、国税函[2009]3 号では、「福利費には、各福利施設(従業員食堂、浴室、理髪店、医務室、託児所等)の設備費用、当該施設で働く人員の給与、社会保険料・住宅積立等の福利費用を含む」と定めています。

Q.3 賃金給与と見なして損金算入ができる福利費とはどのようなものを指しますか? A. 賃金給与制度に組み込まれており、相対的に固定的に支給されており、合理的水準であり、且つ、個人所得税の課税対象となっているものとなります。この条件に合致しないものは、福利費としての損金算入制限の対象となります。

以上