重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.281
2026-02-03【中国ビジネス・トレンド】
重要法令等の解説(簡易版)
1.貿易関連外貨管理の利便化措置推進
2025年10月29日に、国家外貨管理局から「外貨資金決済の一層の便利化により対外貿易の安定的な発展を支持する通知(匯発[2025]47号)」が公布されました(同日施行)。これは、既に打ち出された政策の延長線上にあるものですが、その概要を解説します。
1)公布の経緯
今回の47号通知は、過去に打ち出された「クロスボーダー貿易の高水準開放試行措置、以下、高水準開放」と、「優良企業貿易の外貨収支便利化政策、優良企業便利化」の一層の適用地域の拡大と、規制緩和措置内容の明確化と位置付けられます。
2)47号通知の概要
● 適用範囲の拡大(第1条)
条件に合致する地域は、所定の手続きと審査を経た上で、クロスボーダー貿易の高水準開放試行措置の適用が認められることが規定されています。
この措置は、「越境貿易投資の高水準な開放試行措置を拡大する通知(匯発[2023]30号)」により、適用地域が上海市、江蘇省、広東省(深セン市を含む)、北京市、浙江省(寧波を含む)、海南島全域に限定されていましたが、対象が全国的に拡大される余地があります。
● 国際間の相殺決済(第2条)
高水準開放試行地域の優良企業に対して、以下の相殺決済が認められます。
(1)国内外関連企業間の貨物代金の受け払いに関する相殺決済
(2)貿易貨物代金と、貿易関連費用、倉庫保管料、維持費、賠償金など経常項目費用との相殺決済。
(3)販売代金と関連する割戻金(リベート)の相殺決済。
(4)運賃、保険料、通関手数料、デスパッチマネー、デマレージ等の輸送関連費用間の相殺決済。
(5)外貨管理局が定めるその他の状況。
● 外国籍社員の給与関連外貨管理(第4条)
高水準開放試行地域の優良企業に対しては、人件費の対外送金(国外払い人件費の精算)と、それに伴う外貨への換金。及び、人民元給与支払いに関する人民元転に関して簡便措置が提供されます。
試行地域の条件に合致する銀行は、優良企業から提出された給与関連資料に基づいて外貨送金・換金が必要となる外国籍社員の人数や資金規模を確定することができ、外貨処理の簡便化が認められます。
● 立替決済の便利化(第7条)
中国の外貨管理上、立替決済は、原則として関連会社間に限定されています(?発[2020]14号)。但し、貿易取引に関連した、以下の立替決済を、優良企業に対して認めることが規定されています。
(1)貿易取引に関連する、国内外企業間の貨物輸送、倉庫保管、メンテナンス、通関、検疫、税金、保険等の費用の立替。
(2)国内の国際クーリエ企業、物流企業、越境Eコマースプラットフォームが、顧客のために立替える、国外の倉庫保管、物流、税金等の費用。
尚、建て替え期間は12ヶ月以内とする必要が有り、超過する場合は所管の外貨管理局に対する報告が必要となります。
● その他
上記の他、以下の様な内容が織り込まれています。
・優良多国籍企業のプーリング・ネッティングに関する規制緩和措置(第3条)
・優良な越境Eコマース企業、貿易総合サービス企業に対する利便化推進(第5条)
・条件を満たす貿易総合サービス企業に対する、電子取引データによる換金、決済、物流・税金関連費用の対外送金。及び輸出代金との相殺決済の容認(第6条)
・国外請負建設企業の資金集中管理(第8条)
・銀行による経常項目特殊決済の制度構築(第9条)
2.クロスボーダー投融資の為替管理改革に関する通知(匯発2025年第43号)
クロスボーダー投融資の規制緩和措置に関する通知で、以下の内容を認めています。
● 海外投資者が国内に外商投資企業を設立する前に設立前費用を送金する必要がある場合、事前に設立前費用基本情報登録手続きを行うことなく、銀行で直接設立前費用口座を開設し、設立前費用資金を送金することができる。
● 外商投資企業が、外貨資本金及びそれを換金した人民元を用いて国内再投資を行う場合、被投資企業又は株式売却側は、国内再投資基本情報登録及び変更登録手続きを行う必要はなく、国内再投資資金は直接関連口座に振り込むことができる。
以下、略
3.海南離島旅客免税購物政策の調整に関する公告(財政部・海関総署・税務総局公告2025年第9号、財関税〔2025〕19号)
2025年12月18日に、海南自由貿易港の全島保税化(中国語では「封関」)が実施されましたが、それに伴い離島免税政策も一部調整されています。
離島免税政策は、2011年に開始されたもので、中国本土からの国内旅行者が、島内の特定商店で物品を購入した場合、離島時に免税措置(実際には税金還付措置)を認めるものです。
当公告により、以下の制度変更・制度の明確化が実施されました。
● 離島免税物品の品目に、ペット用品及び携帯可能な楽器の2品目を追加する。
● 離島免税品取扱資格を有する販売事業主が、国内商品(スカーフ(別紙リスト番号8、以下同じ)、衣類・服飾品(番号12)、靴・帽子(番号13)、コーヒー(番号23)、陶磁器製品(番号30)、茶(番号40))を仕入れ、離島免税店において離島免税政策に基づき販売する場合、これを輸出とみなして、増値税及び消費税を還付(免除)する。販売済みの国内商品については、上記販売事業主は税関に対し輸出申告手続を行い、規定に従い主管税務機関において還付手続を申請することができる。
以下、略
4.2026-2027年の自動車購入税減免対象となる新エネルギー自動車製品の技術要件に関する公告(中華人民共和国工業情報化部・財政部・税務総局公告 2025年第24号)
「新エネルギー車両に対する減税政策の延長とレベルアップ政策に関する公告(財政部・税務総局・工業信息化部2023年第10号)」に基づき、2026~2027年に優遇を享受できる対象車両条件に関する調整の公告です。
以下、略
5.新エネルギー自動車製品の車両税優遇における技術要件調整に関する公告(中華人民共和国工業情報化部・財政部・税務総局公告 2025年第25号)
新エネルギー車両の優遇税制適用条件の変更に関する公告で、以下の調整が加えられています。
● 財税〔2018〕74号文の第1条第一項及び第二項に規定される、省エネ乗用車、省エネ軽量商用車、省エネ重量商用車の総合走行モード燃料消費量の限界値基準を更新した。
● 財税〔2018〕74号文の第2条第二項に規定される、新エネルギー自動車製品の技術要件を調整した。
以下、略
6.企業継続可能性開示準則ー基本準則(試行)応用指南(財会〔2025〕21号)
本指南は、基本準則(財会〔2024〕17号)の解釈と実務対応に基づくもので、各関連業界における基本準則の適用の指針を提供し、ポイントとなる問題に対して運用手引を定めるものです。
7.風力発電等の付加価値税政策調整に関する公告(財政部・海関総署・税務総局公告2025年第10号)
風力発電などに関する増値税の優遇措置に関する公告で、以下の内容が規定されています。
● 2025年11月1日から2027年12月31日までの間、納税者が自社生産の海上風力発電による電力を販売する場合、増値税の「即時徴収即時還付」政策を適用し、還付率は50%とする。
以下、略
8.黄金に関する税制政策に関する公告(財政部・税務総局公告2025年第11号、国家税務総局公告2025年第23号)
● 会員単位又は顧客が上海黄金取引所、上海先物取引所において標準黄金を取引する場合、売却側の会員組織又は顧客が標準黄金を販売する時、増値税が免除されます。
実物引渡・出庫が発生しない場合、取引所は増値税を免除し、実物引渡・出庫が発生した場合、以下の規定に従い増値税政策を適用します。
(1)会員単位が投資用途の標準黄金を購入する場合、取引所は増値税を即時徴収即時還付を認め、同時に都市維持建設税及び教育費附加を免除するとともに、実際の成約価格をもって買い側会員単位に対し増値税専用発票を発行する。買い側会員単位が標準黄金を直接販売、若しくは投資用途の黄金製品(中国人民銀行が認可・発行する法定金貨を除く)に加工して販売する場合は、現行規定に基づき増値税を納付し、購入側に対し普通発票を発行し、増値税専用発票を発行してはならない。
以下、略
9.2025年度分増値税加算控除優遇政策の対象となる集積回路企業リスト策定業務の実施に関する通知(工信部聯電子函2025年第234号)
増値税の加算控除優遇が享受できる集積回路企業の申請に関する通知です。
リストへの登録を申請する企業は、2025年9月25日から9月30日。および10月9日から10月14日の期間に、情報申告システムにおいて増値税の加算控除優遇政策の享受に関する申請を提出する必要があることが規定されています。
同時に、紙による申請書類に社印を押印し、必要な証明資料(電子版および紙質版)とともに、各省・自治区・直轄市、計画単列市、新疆生産建設兵団の工業および情報化主管部門に提出する必要があります。
以下、略