重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.278
2025-12-18【中国ビジネス・トレンド】
重要法令等の解説(簡易版)
1.最新の税関自主開示公告の公布
「規定違反事項の自主開示に対する処理における事項に関する公告(税関総署公告2025年第194号)
2025年10月11日に施行された、税関自己開示の期間限定措置について解説します。
1.自主開示制度とは
税関自主開示(中国語:主動披露)とは「税関調査条例実施弁法(税関総署令2016年第230号)」に規定される制度で、税関が企業の申告ミス・過少納付等を認識する前に、企業が自発的に自己申告した場合、罰則の軽減を認めるものです。
230号公告には、輸出入企業が税関に対して、税関規定違反に関する書面報告を自発的に提出し、税関が受理した場合、自主開示と見なすこと(第25条)。自主開示した輸出入企業に対しては、税関は行政処罰の軽減することを認め、また、違反が軽微である場合、速やかに是正され、且つ、損害が生じないことを条件に行政処罰を免除することが認められています。また、輸出入企業が自主開示により未納税額を納付した場合、延滞金が減免されることも規定されています(第27条)。
2.期間限定軽減措置
上記の230号公告を基にした時限優遇措置として、「納税規則違反の自己開示に関する公告(税関総署公告2023年第127号)」が過去に公布され、2025年10月10日までの期間限定措置が認められていました。
ここでは、租税違反発生より6か月以内に税関に自主的に開示した場合、行政処罰を免除するなどの措置が認められていましたが、127号公告の失効を受けて、「規定違反事項の自主開示に対する処理における事項に関する公告(税関総署公告2025年第194号)」が公布され、2025年10月11日~2027年6月30日までの時限優遇措置が、改めて設定されました。今回の194号は、失効した127号と比較して、自主開示の期間延長などの緩和措置が規定されています。
1)行政処罰の免除
194号公告では、以下の何れかの場合、行政処罰の免除を規定しています。
(1)規定違反行為発生から1年以内に自主開示した場合
(2)規定違反行為発生から1年を超~2年以内に自主開示し、納付漏れや過少納付の税額が納付すべき税額の30%以下または100万元以下の場合
(3)増値税輸出還付に影響を与える場合は、以下の通り。
● 規定違反発生から1年以内に自主開示した場合
● 規定違反発生から1年超~2年以内に自主開示し、返金可能性ある税金が、還付すべき税金の30%以下、または100万元以下の場合
(4)加工貿易における非保税原材料の使用に関し、使用比率の不正確さにより、実際の単耗が申告した単耗を下回ったが、原材料・半製品・製品が処分されずに残っている、若しくは、加工貿易方式で再輸出した場合。
(5)「行政処罰実施条例」・第15条(一)に該当する場合。つまり、税関提出書類の記載ミスで、税関統計の正確性に影響を与えず、警告、若しくは、1,000元以上1万元以下の罰金に該当する場合。
(6)「行政処罰実施条例」・第15条(二)に該当する場合。つまり、税関提出書類の記載ミスで、税関監督秩序に影響を与え、警告、若しくは、1,000元以上3万元以下の罰金に該当する場合。
(7)その他
2)滞納金
自主開示が認められた場合において、税関が認可した場合、滞納金が免除されます。
3)税関ランクへの影響
自主開示が認められた場合において、警告、若しくは、100万元以下の罰金に処された場合、税関の企業信用状況認定記録への登録は免除されます。
また、高級認証企業が違反行為を自主開示した場合、税関調査期間中は、原則として、高級管理企業に対する措置が継続されます。
4)同一違反事項
同一違反事項(同一性質で同一法律規定に違反する行為)に関して、1年以内(連続12か月以内)に、2回以上の自主開示をした場合、本公告の優遇は適用されません。
2.電気自動車(EV)の輸出許可管理規定の公布
電気自動車に対する輸出許可管理の実施に関する公告(商務部、工業と情報部、税関総署、市場監督管理総局公告2025年第54号)
電気自動車の貿易の健全な発展を促進するため、商務部、税関総署等の部門は電気自動車に対して輸出許可証管理の実施を決定しました。同公告は2026年1月1日から施行されます。
主な内容配下の通りです。
1)貨物名称が「駆動用電動機のみを搭載し車両識別コード(VINコード)を有するその他の乗用車」(参考税関HSコード8703801090)に対して輸出許可証管理を実施します。
以下、略
3.最新のエネルギー効率ラベル実施製品目録及びその実施規則の公布
国家発展改革委員会、市場監督管理総局による「中華人民共和国エネルギー効率ラベル実施製品目録(2025年版)」及び関連実施規則の公布に関する通知(発改環資規「2025」1218号)
「エネルギー効率ラベル管理弁法」(国家発展改革委員会、元国家質検総局2016年第35号令)の規定に基づき、国家発展改革委員会及び市場監督管理総局は対象製品のエネルギー標識実施規則を修正し、且つエネルギー効率ラベル対象製品目録を整理しました。最新内容は以下のとおりです。
1)最新の「中華人民共和国エネルギー効率ラベル実施製品目録(2025年版」及び関連実施規則は同法の付属文書をご参照ください。
以下、略
4.再生パルプ関連申告要求の公布
再生パルプの輸入に関する要求の公告(税関総署公告2025年第195号)
再生パルプ監督管理事項の規範化に関する公告(税関総署、国家発展改革委員会、工業情報化部、生態環境部、商務部、国家市場監督管理総局公告第200号)
業界基準「輸入再生パルプ検査規程」の公布に関する公告(税関総署公告2025年第201号)
輸入再生パルプの申告管理を規範化するため、税関総署公告2025年第195号規定に基づき、2025年10月10日から、輸入再生パルプ(税関HSコード47062000)を申告する場合、通関単の備考欄に、再生パルプが使用する工程方法を明記する必要があり、実際状況に基づき「ドライ法」または「ウェット法」を書くべきです。
同時に、税関総署、国家発展改革委員会、工業と情報部等の各部門は連合で「再生パルプ監督管理事項の規範化に関する公告」(公告「2025」200号)が公布され、輸入再生パルプの監督管理の詳細規定を作成しました。
以下、略
5.修正後の「中華人民共和国税関輸入食品境外生産企業登録管理規定」の公布
「中華人民共和国税関輸入食品境外生産企業登録管理規定」(税関総署令2025年第280号)の公布
現行「中華人民共和国輸入食品境外生産企業登録管理規定」(税関総署令2021年第248号)が2022年1月1日から施行されています。国外生産企業の登録申請数量の迅速な増長により、登録管理制度を更に完備化する必要があります。これにより、前述管理規定に対して修正を行い、2025年10月14日に「中華人民共和国輸入食品境外生産企業登録管理規定」(税関総署令2025年第248号)が公布され、2026年6月1日から施行されます。
以下、略