重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.267
2025-09-19【中国ビジネス・トレンド】
重要法令等の解説(簡易版)
1.反不正競争法の改正
中華人民共和国反不正競争法
「反不正競争法」の改正が、全国人民代表大会常務委員会、及び国務院で承認されました。
2019年版からの主要改正点は以下の通りです。
1)不正競争行為に関する規定の整備
(1)混同しやすい行為の規制強化
一定の影響力を有する他人の新メディアアカウント名、アプリケーション名、アイコンを無断で使用すること、若しくは、影響力ある他人の商品名・企業名等を検索キーワードに無断設定し、混同を生じることが禁止されています。また、企業の経営者は、他社の混同を招く行為を助長する、若しくは、この様な行為に便宜を提供することは禁止されます。
(2)商業賄賂の規制強化
「賄賂する者と受け取る者の双方を同時に取り締まる」という原則を堅持し、現行の賄賂行為禁止規定に加え、取引活動において賄賂を受け取ることを禁止する規定を追加しました。
(3)ネットワーク不正競争監督制度の整備
プラットフォーム経営者は、プラットフォームサービス協定、取引規則で公平競争ルールを明確化し、プラットフォーム内の不正競争行為を抑止するための必要な措置を講じることが義務付けられます。また、経営者は、データやアルゴリズム、技術、プラットフォーム規則等を利用し、悪意ある取引等の不正競争行為を規制することが義務付けられます。
(4)虚偽宣伝、不正な有償販売、商業誹謗、中小企業の合法的権益を侵害する優越的地位の濫用等に関する規定を整備しました。
2)反不正競争の監督および処罰規定の整備
行政処罰法の「過失に見合う処罰」、「処罰と教育の結合」原則に基づき、監督措置を充実させ、罰金額を調整しました。
(1)経営者が本法に違反した疑いがある場合、監督検査機関はその法定代表人または責任者と面談し、是正措置の実施を求めることができます。
(2)不正競争行為に対する処罰が厳格化され、商業賄賂を行った経営者の法定代表人・主要責任者・直接責任者等に対し「個人責任」を追及する規定を追加しました。また、取引活動において賄賂を受け取った法人・個人に対する罰則も補完しました。
3)域外適用規定の明確化
中華人民共和国の域外において本法が規定する不正競争行為を実施し、国内市場競争秩序を乱し、国内の経営者または消費者の合法的権益を害した場合、本法および関連法律に基づき処理されます。
本法は2025年10月15日より施行されます。
2.治安管理処罰法の改正
中華人民共和国治安管理処罰法
第14回全国人民代表大会常務委員会において、本法改正が決議されました。2012年版からの主要改正点は以下の通りです。
(1)マルチ商法活動、英雄烈士に対する誹謗・侮辱、公共交通機関の運行妨害などに関する処罰が新たに追加されました。
(2)幼児・高齢者・病弱者・障害者に対する虐待、個人情報の販売・提供などの人身・財産権侵害行為の処罰規定を追加しました。
以下、略
3.『データ越境安全評価申告ガイドライン(第3版)』の発布
国家インターネット情報弁公室による『データ越境安全評価申告ガイドライン(第3版)』
国家インターネット情報弁公室は、『データ越境安全評価申告ガイドライン(第3版)』を策定しました。前版からの主な変更点は以下の通りです。
(1)申請書類を合理化しました。新版の「データ越境安全評価申告表」は、旧版の申告表をベースに、旧版の「データ越境安全評価申告書」および「誓約書」の内容を統合したものです。変更前後の提出書類対照表は以下の通りです。
以下、略
4.電子付加証明書の試行発行
外交部による電子付加証明書試行発行
文書電子化の趨勢に適応し、国際間文書の効率化の推進を目的として、外交部は中国国内で発行される公文書に対する電子付加証明書発行を開始しました。主な内容は以下の通りです。
(1)2025年6月18日より試行として、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)発行の原産地証明書に電子付加証明書を発行します。
以下、略
5.企業移転登記の効率化
市場監督総局・人力資源社会保障部・住宅都市農村建設部・税務総局による企業移転登記の効率化推進に関する指導意見
企業移転の利便性向上のため、市場監督総局、人力資源社会保障部、住宅都市農村建設部、税務総局は『企業移転登記の効率化推進に関する指導意見』を公布しました。
本意見は、登記手続の最適化と処理過程の簡素化が求められています。
以下、略
6.「二段階申告」通関方式の全面推進
「二段階申告」通関方式の全面推進に関する公告(税関総署公告2025年第115号)
税関総署は通関取引の効率化推進のため、「二段階申告」通関方式(※)の全面推進を決定しました。主な内容は以下の通りです。
(1)「二段階申告」通関方式の適用範囲が全国に拡大されます。輸入貨物の受取人または代理人は、国際貿易「単一窓口」または「インターネット+税関」一体化オンラインサービスプラットフォームを通じて「二段階申告」通関方式を選択できます。
※「二段階申告」通関方式とは、中国税関が導入した通関簡素化措置であり、貨物輸入時に申告情報・書類を一度に全て提出する必要がなく、貨物到着前に船荷証券の主要情報のみ概要申告(第一段階)を行い、許可後に貨物を搬出。その後14日以内に完全申告(第二段階)を行い、税務管理・統計等に必要な情報を補完する通関方式です。
以下、略
7.オンラインによる中国ビザの申請開始
中国ビザオンライン申請システム導入に関する通知
在日中国大使館は、ビザ申請の効率をさらに向上させ、サービス手続を最適化するため、中国ビザオンライン申請システムの全面導入を開始しました。これに伴い、従来の中国ビザ記入システムは停止されました。申請者は中国ビザオンライン申請サイトを通じて、オンラインによる申請書類の記入・提出が可能となります。
以下、略
8.中小零細企業への質の高い融資・信用強化支援の更なる展開
市場監督総局による中小零細企業への質の高い融資・信用強化支援の更なる展開に関する通知(国市監質発〔2025〕47号)
質の高い融資・信用強化(※)業務の普及により、中小零細企業の発展を支援するため、市場監督総局は本通知を公布しました。本通知には以下の内容が含まれています。
(1)補完的な政策の早期制定を推進し、制度体系を構築・改善する。
(2)企業特性に応じたオーダーメイド融資商品を開発し、精度の高いサービスを提供する。
※「質の高い融資・信用強化」とは、企業の能力・資格等の品質要素を信用担保とする仕組みで、品質重視・卓越性の追求・高品質な利益を有する企業に対し融資サービスを提供する制度です。
以下、略