重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.256

2025-04-23

【中国ビジネス・トレンド】重要法令等の解説(簡易版)

1.外債枠(マクロプルーデンス方式)が調整されました

マクロプルーデンス係数の調整

 2025年 1月13日より、企業と金融機構の外債管理(マクロプルーデンス方式)のマクロプルーデンス係数が1.5から1.75に調整され、外債総額が自己資本の3.5倍になりました。
対外借入(外債)に関しては、外資企業は、「投注差方式」と「マクロプルーデンス方式」の何れか一つを選択し、継続適用する必要が有ります。マクロプルーデンス方式を選択した場合の外債枠(非金融企業の場合)は、「前年度末の自己資本残高×クロスボーダー融資レバレッジ率×マクロプルーデンス係数」となりますが、マクロプルーデンス係数が1.5から1.75に変更されたことにより、自己資本の3.5倍となりました。

2.外資誘致と活動支援の政策が発表されました

国務院弁公庁による商務部・国家発展改革委員会による「2025年外資安定化行動計画」の転送に関する通知(国弁函〔2025〕16号)

2025年の外資誘致と支援に対する政策を、商務部と国家発展改革委員会は共同で策定しました。主な内容は以下の通りです。
(1)通信、医療、教育等の分野における一層の開放
(2)製造業分野の外資参入制限の撤廃と、ネガティブリストのさらなる削減による、内外資一致原則の遵守
尚、昨年には、外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト・2024年版)(国家発展委員会・商務部2024年第23号)が公布され、製造業の外資参入制限として残っていた「印刷(中国出資メジャー)」、及び、「特定の漢方薬品生産」が撤廃。これにより、製造業に対する外資参入制限が撤廃されています。
(3)国内再投資の奨励
通知では、外資投資性公司に対する国内融資制限の撤廃が謳われていますが、記載内容から判断すると、融資資金を使用した持分出資制限を廃止するものと思われます。
投資性公司は、経営範囲に持分出資を有する、ほぼ唯一の外資形態ですが、「外商投資性公司の管理を一層改善する措置に関する通知(商資函[2011]1078号)」により、借入金口座の資金を持分出資に使用する事が禁止されていました。この制限が、2024年12月28日付の商務部・国家外国為替管理局公告2024年第63号文により廃止され、現在では、借入資金を持分出資に使用することが可能となっています。
(4)各種投資
業種的には、現代サービス業、畜産業、ハイテク分野。地域的には、中西部、北東地域への外国出資を支援する方向を示しています。
また、多国籍企業の投資性公司設立を奨励し、また、外資による合併買収の規則と手続きの整備を方針としています。
(5)政府調達基準の明確化と平等性の確保
政府の国産品調達基準体系を構築し、異なる所有形態の企業製品が平等に政府調達活動に参加できることを保証する。また、外資からの苦情処理体制を整えるとしています。
(6)人材往来推進など
ビザ免除国の範囲拡大。優遇貿易協定を順守し、関税の軽減を実現すること。
外資企業の「認定事業者(AEO)」育成を強化し、輸入品の信頼性評価を向上させ、外資企業による知的財産権の登録を奨励する方針を規定しています。

3.インテリジェント車両の秩序ある発展の促進

インテリジェント車両製品の認可、リコールおよびソフトウェアオンラインアップグレード管理をさらに強化するための通知(工業情報化部聯通装〔2025〕45号)

インテリジェント車両製品の認可およびリコール管理をさらに推進し、自動車製造企業によるOTAアップグレード(インターネット使用による自動車ソフトウェアアップグレード)を規範化するため、工業・情報化部および市場監督管理総局は本通知を発表しました。

4.税関の入出境手荷物監督管理弁法が改正されました

中華人民共和国税関出入境手荷物監督管理弁法(海関総署令第276号)

出入境の手荷物通関の利便性を促進し、税関監督の効率をさらに向上させるため、税関総署は従来の手荷物に関する6つの法規を統合し改正しました。

5.香港・マカオ銀行の中国内地支店による銀行カード業務制限が解禁されました

国家金融監督管理総局による香港・マカオ銀行中国内地支店の銀行カード業務に関する通知(金規〔2025〕4号)

中国内地と香港・マカオ間の経済貿易関係に関する要求を履行するため、国家金融監督管理総局は本通知を発表しました。

6.一部の米国産輸入品について関税を引き上げました

国務院関税税則委員会による米国産一部輸入品に対する関税引き上げに関する公告(税則委員会公告2025年第1号)

米国によるすべての中国輸出品に対する10%の関税を課す措置への対応として、国務院の承認を経て、2025年2月10日より米国産の一部輸入品に対し関税を引き上げることを決定しました。

7.中国税収居民身分証明に関する公告(国家税務総局公告2025年第4号)

納税者がより便利に税収協定の優遇措置を受けられるように、以下の関連事項が公告されました。
(1)企業または個人は、中国税收居民に該当する何れかの暦年度に所轄税務機関に「税收居民証明」の発行を申請できる。
(2)以降省略

8.増値税納税申告事項の調整に関する公告(国家税務総局公告2025年第2号)

(1)納税者が輸出課税政策が適用される貨物を扱う場合、増値税納税申告を行う際に、電子税務局にログインし、輸出貨物情報データの用途確認を完了する必要がある。
(2)以降省略

9.越境ECで海外倉庫へ輸出する方式の貨物に対する「離境即退税」政策

越境ECの海外倉庫発展を支持する輸出還付(免税)事項(国家税務総局公告2025年第3号)

(1)海外倉庫方式(税関監督方式コード「9810」)で貨物を輸出する場合、貨物が通関し、中国を離れた後、輸出還付(免税)の手続きを申請することができる。
(2)以降省略

10.個人所得税総合所得確定申告に関する申告方法、申告期限、専項付加控除、還付金および追加徴税に関する管理方法が公表されました

個人所得税総合所得確定申告管理弁法(国家税務総局令第57号)

11.海南自由貿易港における原補料の「ゼロ関税」政策に関する通知(財関税2025年1号)

(1)未焙煎コーヒー、エチレン、機械部品などの297品目を海南自由貿易港の「関税ゼロ」原材料・補助材料リストに追加する。
(2)以降省略

12.企業所得税確定申告書に関する公告(国家税務総局公告2025年第1号)

企業所得税確定申告書の一部様式と記入説明が改定されました。2024年度以降の企業所得税確定申告に適用されます。

13.《中華人民共和国輸出輸入税則2025》の公告(税委会公告2024年第13号)

「中華人民共和国関税法」と関連規定に基づき、「中華人民共和国輸出輸入税則2025」が公布されました。2025年1月1日から実施されます。

14.アメリカ産の一部輸入商品に対する追加関税の公告(税委会公告2025年第1号)

2025年2月10日より、アメリカ産の一部輸入商品に対して関税が追加徴収されます。

15.現在有効な外貨管理主要法規リスト(2024年12月31日まで)

2024年12月31日までの時点で有効な外貨管理主要法規リストが公布されました。
http://www.safe.gov.cn/safe/2025/0124/25708.html