重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.232

2024-08-02

【中国ビジネス・トレンド】重要法令等の解説(簡易版)

1.中華人民共和国関税法

2024年4月26日に第14期全国人民代表大会常務委員会第9回会議で関税法が可決され、2024年12月1日より施行されます。関税法の公布は、対外貿易の発展、制度的開放の拡大、質の高い発展を促進する上で重要な意義があり、法定税制改革の任務を遂行する重要な措置でもあります。関税法は7章72条文で構成されており、主に次の内容が含まれます。
(1)関税業務に関する党の指導を堅持し、関税業務管理体制を確立・改善する。
全国人民代表大会常務委員会、国務院、国務院関税委員会(以下「委員会」という)による関税品目と税率の調整権限及び関税徴収管理の基本制度を明確にしています。
(2)関税の適用範囲を明確にする。
中華人民共和国が許可した輸出入貨物と入国物品に対して、税関が本法及び関連法律法令の規定に従って、関税を課すことを規定しています。輸入貨物の荷受人、輸出貨物の荷送人、入国物品の携行者又は受取人は、関税の納税者となります。また、越境電子商の発展要件に応じて、関連分野の源泉徴収義務者について明文化されています。
(3)関税品目と税率の設定、調整及び実施を規範化する。
関税品目と関税率表を含めた輸出入税則が本法の一部であることを明確にします。輸入時の最恵国待遇関税率、協定関税率、特恵関税率、通常関税率、輸出時の輸出税率、又は輸出入時の関税割当率、暫定税率などを含む、関税税率の種類を明確にします。各種関税税率に適用される規則と調整メカニズムを規定しています。
(4)課税額、税制優遇、特別な状況下の関税徴収などの制度を改善する。
関税は従価徴収、従量徴収、複合徴収の方法で課税額が計算され、現行の関税計算価格の決定規則を維持すると規定されています。関税の免除又は減免品目を明確にし、国家利益の保護、対外交流の促進、経済社会の発展、科学技術革新の需要あるいは緊急事態などに応じて、国務院が関税特恵措置を策定し、全国人民代表大会常務委員会に報告します。現行の関連措置の取り決めを維持し、関税減免の対象となる貨物、保税貨物及び一時的に出入りする貨物・物品などの特殊な状況に関する関税徴収を詳細に規定しています。
(5)国際的高水準の経済貿易規則に合わせ、関税の徴収管理体制を改善する。
関税の徴収管理は、貨物通行と税額決定を分離した形式で実施できることを明確にしています。納税者と源泉徴収義務者は、規定に従って税務申告先の税関を選択できます。納税者と源泉徴収義務者の税金統括納付を認める慣行について、法的規定に格上げされました。納税者が税金を超過納付していることが判明した場合、税金還付の申請期限が1年から3年に延長されました。税関が税金を超過して徴収したと判断する場合、適時に納税者に還付する必要があることなどが明確にされています。
(6)発展と安全保障を統括し、関税の対応措置を充実させる。
現行のアンチダンピング、相殺関税と保障措置などの関税措置を維持し、報復関税措置を課すとともに、中国と締結又は共同で参加した国際条約・協定における最恵国待遇条項や特恵関税条項を履行しない国・地域に対しても、互恵主義の原則に基づき相応の措置をとることができる旨の規定を追加しました。関連措置は、関連する国際条約に基づく中国の義務に応じる方法で実施されます。また、関連措置の実施効果を確保するため、本法第2章及び第3章の関連規定を回避し、合理的な商業目的を持たずに納税額を減少する行為について、中国は関税調整などの回避防止措置をとることができると明記しています。

2.増値電信事業の対外開放試行の拡大に関する通告(工信部通信函 [2024]107号)

高水準の対外開放を促進し、国際高水準の経済貿易規則に整合し、外商投資のビジネス環境を引き続き最適化し、新しい発展パターンを構築するため、工業情報化部は増値電信事業の対外開放試行拡大の実施を決定し、『試行計画』を策定し、2024年4月に本通告を発表しました。

3.加工貿易貨物「短溢区間」管理行政法執行裁量基準(税関総署公告2024年第49号)

※加工貿易貨物の「短溢区間」管理とは、加工貿易企業が輸送、保管、加工、組立などの過程で発生した加工貿易貨物のわずかな差異が【-1%、1%】の範囲である場合、企業の主観的な過失がない限り、法令違反に該当せず、企業が納税又は帳冊原簿調整を申請した後、税関が規定に従って帳消しを行う管理措置を指す。 
加工貿易の持続的かつ質の高い発展を促進し、税関の行政法執行の裁量権の行使を規範化するために、税関総署は2024年4月30日に本公告を公布しました。加工貿易貨物の「短溢区間」の適用条件、裁量基準、取り扱い方法を明確に規定しています。

4.企業の雇用安定を支援する失業保険措置の実施延長に関する通知(人社部発[2024]40号)

失業保険の生活保障、失業防止、就業促進という役割を果たし、企業の雇用安定を支援するため、人的資源社会保障部、財政部、国家税務総局は2024年4月26日に本通知を公布し、企業と国民に利益をもたらす3つの政策措置の継続実施を明確にしました。

5.入札市場の規範化された健全な発展を促進するための制度の革新・改善に関する意見(国弁発[2024]21号)

国務院弁公庁は2024年5月8日に本意見を発表しました。入札における資源配分の効率と有効性を向上させ、ビジネス環境を継続的に最適化し、入札の重要な役割を果たすことを目的しています。主に、制度の革新と改善、入札市場の規範化された健全な発展の促進に焦点を当て、8つの方向から20の具体的任務を提示しています。

6.工業製品生産許可証管理目録の調整と改善に関する決定(国発[2024]11号)

重要な工業製品の品質安全を保障し、製品の市場参入管理と供給源規制を強化し、製品の品質安全における重大なリスクを防止し、人民の生命と財産の安全及び公共安全を確保するため、国務院は2024年5月9日に当該決定を公布し、工業製品生産許可証管理目録に対して調整と改善を行いました。

7.デジタルビジネス3ヶ年行動計画(2024~2026年)

中国共産党中央と国務院のデジタル経済発展に関する決定と取り決めを徹底し、商業のあらゆる分野のデジタル化転換を推進し、経済社会の発展を支援し、新しい発展パターンを構築するため、商務部は2024年4月28日に当該行動計画を発表しました。行動計画には、5つの重点行動と合計20の具体的措置が含まれています。