【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.200
2023-08-22【中国ビジネス・トレンド】
以下のビジネス動向に付いて解説します。
■ 華南ビジネス・トレンド
華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。
1.広東・香港・マカオ大湾区の個人所得税優遇政策の更なる貫徹実施に関する通知(粤財税[2023]21 号)
2023 年6月 2 日付けで広東省財政庁・広東省科学技術庁・広東省人力資源社会保障庁・国家税務総局・広東省税務局は、広東・香港・マカオ大湾区の個人所得税補助金に関する最新通知を公布し、《広東・香港・マカオ大湾区における個人所得税優遇政策の継続実施に関する通知(粤財税[2020]29 号)》を同時に廃止しました。
2020 年より大湾区で勤務する海外の高度人材と緊急不足人材は、珠江デルタ9都市(広州市、深セン市、珠海市、仏山市、恵州市、東莞市、中山市、江門市、肇慶市)で納付した個人所得税が課税所得額の 15%を超過した部分に対し、珠江デルタ 9 都市の政府より財政補助金が支給されていました。
2022 年は、新型肺炎の蔓延により、感染予防対策を優先する必要性、及び、財政悪化により、補助金支払いの通知は公布されませんでした。新通知により、大湾区 9 都市の申請が再開されることになります。
新通知は、旧通知と比べて以下の変更点があります。
1)各課税年度の個人所得税補助金の上限 500 万元が設定されました。
2)申請者の基本条件に下記(4)番を追加し、申請者の専門分野を限定しました。
(1)香港・マカオの永久居民、香港入境計画(優秀人材、専門人材、企業家)を取得した香港居民、台湾居民、外国籍人員、国外長期居留権を取得した帰国留学生及び海外華僑
(2)珠江デルタ 9 都市で勤務し、法に従って税金を納めている
(3)法律法規、科学研究倫理、科学研究の公正性を遵守している
(4)科学技術イノベーション、重点発展産業、哲学社会科学分野に属し、海外の高度人材と緊急不足人材目録の要求を満たす人材
3)旧通知は、基本条件を満たす人材が規定された付属条件を満たす場合、例えば、広東省「人材優粤カード」、外国人工作許可証(A 類)または外国高度人材確認書等を取得した人材が補助金の申請資格があり、専門分野が限定されませんでした。新通知ではこれらの内容が削除されました。
4)補助金の申請受理・審査・支払いは、各市の市委人材工作指導委員会の指導のもと行われることが追加されました。
5)各市が現地の実際状況によって人材認定と補助金支払弁法を制定し、省の関連部門に届け出た後に実施するとの規定が追加されました。各地域の人材認定基準と補助金支払いが統一されることになります。
本通知は 2023 年 6 月2日から施行されていますが、申請者は、2021 年度分も含め、市の申請案内などの公布を見守り、申請手続きの変更点を確認する必要があります。
原文は こちら
2.前海深セン香港現代サービス業協力区の所得税優遇政策の全面的な深化に関す公告(2023 年第 4 号)
深セン市税務局と前海管理局は、前海深セン香港現代サービス業協力区に設立した企業の企業所得税優遇政策を明確にするため、本公告を公布しました。本公告は 2023 年 1 月 1 日から遡及して施行されます。
適用対象には、協力区内に設立した居住企業、居住企業が協力区内に設立した分支機構、及び非居住企業が協力区内に設立した機構や施設が含まれます。
ペーパーカンパニーの不正受給を防ぐため、協力区内の企業が企業所得税の優遇政策を受ける場合の条件が設定されています。居住企業は、条件に合致する産業プロジェクトに従事し、協力区内でその生産経営・人員・財務・財産などの活動を行い、実質的に運営している必要があります。生産運営・人員・財務・財産など、いずれの活動もない登記だけの居住企業は、企業所得税の優遇政策を享受することができません。
協力区外の居住企業が区内に分支機構を設立する場合、または非居住企業が協力区内に機構や施設を設立する場合、その分枝機構・機構・施設が生産経営機能を有し、それに相応する事業収入・従業員報酬・総資産があり、実質的に協力区内で運営されていると見なされる必要があります。
原文は こちら
3.広州における金融開放とイノベーション推進の実施方案に関する通知(穗府弁[2023]9 号)
広州市人民政府は、広州金融センターの発展レベル及び競争力を向上させ、中国式現代化を推進し、高品質で新しい活力ある都市を実現し、「四つの新出彩」の支援を行うため、本実施方案を制定しました。
総体要求では、主要産業としての金融業の地位確立、実体経済へのサービス能力向上、金融イノベーションと科学技術イノベーションの相互効果の強化、科学技術イノベーション・デジタル転換・産業転換とアップグレードなどの金融サービスの水準向上を目標にあげています。また、香港・マカオとの連携により、広東・香港・マカオ大湾区金融市場の相互連結を実現し、金融業界の影響力及び法治化・専門化・国際化のレベルを大幅に向上させ、グローバル金融の中心都市として発展レベルの引き上げを目指します。
重点任務には、金融の開放及び拡大、特色ある金融の発展、高品質な育成環境の構築など、16 項の具体的な任務が示されています。主な任務措置として、広東・香港・マカオ大湾区の国際金融ハブ及び競争力のある現代的金融サービス体系の構築、科学技術及び金融の発展、金融サービス能力の向上、グリーン金融のイノベーション深化、デジタル金融の新しい生態系構築、第三極の全国融資リースセンターの建設、商業ファクタリング業の品質及び効率の向上推進、グローバルな起業や投資の中心地及び完備された先物取引産業チェーンの建設加速、金融政策支援及び人材開発環境の最適化、地方監督体制の完備などが含まれます。
※「四つの新出彩」とは、都市機能、文化総合力、サービス業及びビジネス環境を向上させるために、2019 年に打ち出された政策を指します。
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4.中国共産党広東省委員会と広東省人民政府による高品質な製造強省の建設に関する意見
広東省政府は、製造業大省の建設を推進し、省内の経済と社会の発展において製造業が「支柱」となる役割を担うことを強化し、新たな発展モデルで戦略的優位の形成を加速させるために、本意見を公布しました。
本意見では、高品質な強省を建設するための総体要求と 5 つの実施行動が提案されています。
2027 年までの目標任務として、製造業のイノベーション能力強化、規模と利益の同時向上、製造業の品質競争力及び製品指数の品質合格率全国上位、国際競争力を有する先頭企業及び産業クラスターの形成、グローバル産業分業及びバリューチェーンでの地位向上を掲げています。
2035 年までには、製造業及び生産性サービス業の付加価値が地域総生産額の 70%程度を占め、産業構造をさらに最適化し、品質及び効率を大幅に向上させ、近代化産業システムを基本的に確立させます。また、いくつかの分野がグローバルな産業分業及びバリューチェーンで主導的な地位を確立し、製造業の総合実力が先進レベルに達し、製造業の中核地域と主要拠点となり、製造強省の全面的な完成を目指します。
原文は こちら
5.横琴広東マカオ深度協力区企業がマカオで債券を発行するための特別支援措置(第 01/2023 号金融発展局規範性文書)
横琴粤澳深度合作区金融発展局は、マカオ特別行政区の経済を多元的に発展させるための新しいプラットフォームの働きを促し、マカオ債券市場の発展を支持するため、関連法律・法規・規制に基づき、2023 年 6 月 8 日に本措置を公布しました。本措置は 2023 年 6 月 20 日から実施され、有効期間は 3 年となります。
本措置の特別支援金を申請する者は、マカオで期間 1 年以上の債券を発行する前に、《企業中長期外債監査登録管理弁法》に基づいて外債監査登録などの手続きを完了し、以下の条件を満たす必要があります。
1)《横琴広東マカオ深度協力区企業の実質性運営認定規則(第 2/2023 号実行委員会規範性文書)》に規定された実質的な運営条件
2)申請から審査完了までの間、信用喪失被執行人リスト及び関連部門が公布した経営異常名簿に掲載されないこと
上記2つの条件を満たす企業の支援基準は以下の通り。
(1)企業が実際に調達した資金の 2%の支援金が 1 回限り、最大で 500 万元支給される。発行された債券がグリーンボンドと認定された場合、上述の支援金以外に、実際に発生した外部監査費用に応じて、最大で 50 万元支給される。企業の年間支援金額は累計で 550 万元を超えないものとする。
(2)仲介業者は、マカオで債権発行に成功した企業に提供した契約に定めた専門サービスの金額に基づいて、最大で 50 万元の支援金が支給される。仲介業者の年間支援金額は累計で 100 万元を超えないものとする。
原文は こちら