【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.137

2020-12-26
**【INDEX】

【中国ビジネス・トレンド】
**以下の重要規定について解説します。

1.海南離島免税店における離島免税商品の増値税・消費税の徴収免除管理弁法(国家税務総局公告 2020 年第 16 号)
2.上海市外商投資条例(上海市人民代表大会常務委員会公告第 45 号)
3.深センにおける中国の特色ある社会主義先行モデル区建設の総合改革試行方案(2020‐2025 年)
4.対外貿易の革新発展に関する実施意見(国弁発[2020]40 号)
5.省を跨ぐ政務サービスの加速推進に関する指導意見(国弁発[2020]35 号)
6.証明事項及び企業経営許可事項告知承諾制に関する指導意見(国弁発[2020]42 号)

**【水野真澄関連商品】
**■ 書籍 中国個人所得税の制度と実務


【中国ビジネス・トレンド】

以下の重要規定について解説します。

1.国家税務総局
海南離島免税店における離島免税商品の増値税・消費税の徴収免除管理弁法(国家税務総局公告 2020 年第 16 号)

海南離島免税制度は、中国本土からの国内旅行者が、島内の特定商店で物品を購入した場合、離島時に免税措置(実際には税金還付措置)を認める制度です。2011 年の制度導入以降、数回の規制緩和が実施され、現在の免税購入限度額は一人あたり年間 10 万元となっています。
<規制緩和の経緯>
2011 年:1 回あたり 5,000 元以内(島民は年 1 回、非島民は年 2 回)で免税政策を実施。
2012 年:1 回あたりの金額を 5,000 元から 8,000 元に引き上げ。
2018 年:島民・非島民の区別なく、(1 回毎の金額制限ではなく)免税購入額を年間 3 万元とした。
2020 年:年間免税金額を 10 万元に引き上げ。

今回の弁法は、海南離島免税店の離島免税商品販売に関する管理弁法となります。
離島免税店は月ごとに増値税、消費税の納税申告を行い、最初に納税申告を行う際に免税店の経営主体の基本状況、免税店設立許可関連資料を提出しなければなりません。
上記報告の内容に変更がある場合、翌月の納税申告期間において税務機関に関連状況を報告し、関連資料を提供する必要があります。
非離島免税商品を販売する場合、現行規定により税務機関へ増値税、消費税を申告して納付しなければなりません。
本弁法は 2020 年 11 月 1 日の施行となります。

原文:
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n359/c5157215/content.html

2.上海市外商投資条例(上海市人民代表大会常務委員会公告第 45 号)

本条例は、外商投資法、外商投資法実施条例に基づき上海市が制定した、上海市における外商投資およびその促進・保護・管理・サービスなどの業務に適用する条例となります。

投資促進分野においては、外商投資促進サービスプラットフォームを構築し、外商投資に関係する法律・法規・規章・規範性文書・政策措置を集め、投資促進プロジェクト情報や業界情報を公開し、オンオフラインでの投資諮詢、プロジェクトや投資のマッチングサービスを提供するとあります。その他、投資ガイドの発行、重点領域の投資項目に対する費用減免、土地指標保障などの優遇措置、外資企業による地域本部と機能性機関、投資性会社の設立の奨励、外国投資家による研究開発センターの設立や、グローバル研究開発センターへの昇格の奨励などが挙げられています。
投資保護の面では、中国国内での出資、利益、資本収益、資産処理利益、知的財産権使用費、法に従い取得した賠償や清算所得は、外貨もしくは人民元にて自由に対外入送金できることや、外国投資家、投資企業の知的財産権を厳格に保護することなどが規定されています。
また政府部門が外国投資者や外商投資企業に書面で出した政策承諾書や各種契約は厳格に履行することや、これを行政区画の調整や政府再編、責任者の変更などで違約してはならないことも規定されています。
投資管理とサービスにおいては、ネガティブリスト以外の分野に投資する外国投資家に対し、内資・外資一致の原則に基づき管理を実施すること、外国籍職員に対し、就労許可や出入国、滞在・在留などの便宜を図ることなどが挙げられています。

原文:
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_9402845
図解:
http://www.shanghai.gov.cn/nw18454/20201104/eb02b1d0e74943258d8acbbfb869d8e7.html

3. 深センにおける中国の特色ある社会主義先行モデル区建設の総合改革試行方案(2020‐2025 年)

中国共産党中央委員会弁公庁・国務院弁公庁は、2020 年 10 月 11 日に、上記方案を発表しました。
「方案」では、2020 年・2022 年・2025 年までの段階的目標の達成に向けた取り組みが明らかになりました。主な政策は以下の通りです。
(1)生産要素の市場化配置に資する体制・メカニズムの整備
(2)市場化・法治化・国際化されたビジネス環境の整備
(3)科学技術革新を促す環境・制度の整備
(4)高い水準の開放型経済体制の整備
(5)生活関連サービスの供給体制の整備
(6)生態環境と都市空間のガバナンス体制の整備
(7)保障措置の強化

原文:
http://www.sz.gov.cn/szzt2010/wgkzl/jcgk/jchgk/content/post_8167472.html

4.国務院弁公庁
対外貿易の革新発展に関する実施意見(国弁発[2020]40 号)

国務院弁公庁は、2020 年 11 月 09 日に上記意見を公布しました。
主な政策は以下の通りです。
(1)開拓方法を革新し、国際市場配置を最適化する
→5G、VR、AR、ビックデータなどを用いた企業活動への支援
(2)比較優位を発揮し、国内地域配置を最適化する
→ 東部地区の貿易品質の向上、西部地区の貿易比率の上昇、東北地区の対外開放の拡大
(3)分類指導を強化し、経営主体を最適化する
→ 世界的競争力をもつリーダー企業の育成、中小企業の貿易競争力の強化
(4)要素投入を革新し、商品構造を最適化する
→ サプライチェーンの発展と保護、輸出製品品質の向上、産業モデルチェンジとアップグレードの推進
(5)発展モデルを革新し、貿易方法を最適化する
→ 一般貿易の強化、加工貿易のレベルアップ、対内外貿易の一体化促進
(6)運営方法を革新し、国家貿易モデル転換・高度化拠点の建設を推進する
→ 公共サービスプラットフォームの建設
(7)サービスモデルを革新し、貿易促進プラットフォームの建設を推進する
→ 中国国際輸入博覧会や広州交易会などの総合展覧会の開催、輸入貿易促進革新モデル区の育成
(8)サービスルートを革新し、国際マーケティング体系の建設を推進する
→ 国際マーケティングの公共プラットフォーム建設推進
(9)業態モデルを革新し、貿易の新たな原動力を育む
→ 越境 EC など新業態の発展促進、中古車輸出の積極的推進、貿易のデータ化の加速

原文:
http://www.gov.cn/zhengce/content/2020-11/09/content_5559659.htm

5.国務院弁公庁
省を跨ぐ政務サービスの加速推進に関する指導意見(国弁発[2020]35 号)

省を跨ぐ政務サービス(跨省通弁)とは、所在地域などに制限されず、対法人・個人の行政サービスを提供する政策となります。
本指導意見では、2020 年末(58 項目)、2021 年末(74 項目)、2021 年以降(8 項目)に実現するサービスがリスト化されています。
例:学歴・学位公証(戸籍地・学校所在地に限らず申請可能)、不動産登記資料の照会(不動産登記地に制限されずオンライン照会可能)、外資企業及び分枝機構の登記(住所地に制限されずオンライン申請可能)等

原文:
http://www.gov.cn/zhengce/content/2020-09/29/content_5548125.htm

6. 国務院弁公庁
証明事項及び企業経営許可事項告知承諾制に関する指導意見(国弁発[2020]42 号)

証明事項の告知承諾制とは、ある手続において、行政機関が書面(電子文書)形式にて法律規定にある証明義務と証明内容を申請人に告知し、申請人は告知された条件や標準、要求に適合していること、法律責任を負うことを書面にて承諾することで、行政機関は関連証明を要求せず、手続を進めることを指します。
企業経営許可事項についても同様に、申請人が許可条件を満たすことを書面にて承諾することで先行して許可を受けることができ、その後に監督管理を受ける制度となります。

この告知承諾制に関して国務院より出された指導意見となります。
主な内容は以下の通りです。

(1)企業と大衆の生産生活と緊密に関連し、使用頻度が比較的高い、又は取得難易度が比較的高い証明事項を選択し、告知承諾制を実行する。
特に戸籍管理、市場主体の経営参入許可、社会保険、社会救助等方面において、速やかに業務を展開し、実行する。

(2)告知承諾制を実行する証明事項と該当企業の経営許認可事項に対して、申請者が告知承諾制の方式を自ら選択することができる。

(3)告知承諾制を実行する企業経営許可範囲を明確にし、適用対象を確定する。また、告知承諾制の手続き流れを規範し、事中事後の審査を強化する。

原文:
http://www.gov.cn/zhengce/content/2020-11/09/content_5559658.htm

以上


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**【目次】
第1部 基礎編
** 【執筆:税理士法人山田&パートナーズ 監修:水野真澄】
■ 個人所得税の基礎制度

  1. 居住者区分と課税範囲
    (1)居住者・非居住者区分と課税範囲
    (2)連続居住 6 年未満の特例
    (3)日数のカウント
    (4)租税条約における給与所得者の課税範囲
    (5)居住者区分と課税範囲(まとめ)
  2. 課税所得の計算
    (1)9 つの所得種類
    (2)所得区分
    (3)免税所得
    (4)必要経費の計算
    (5)非居住者の課税所得の計算
    (6)各所得の計算
  3. 基礎控除と特別控除
    (1)基礎控除
    (2)特別控除
    (3)特別付加控除
    (4)旧個人所得税法における外国人優遇政策
    (5)基礎控除と特別控除
    (6)給与所得者による特別付加控除の申請
  4. 税額計算と税率表
    (1)総合所得の税率
    (2)経営所得の税率
    (3)総合所得と経営所得の比較
    (4)その他の所得の税率
    (5)外国税額控除
  5. 賃金給与所得の計算
    (1)賃金給与所得に係る所得税
    (2)賃金給与所得に係る所得税の計算例
    (3)居住者と非居住者の賃金給与所得に係る税額計算の比較
  6. 源泉徴収方法
    (1)源泉徴収義務者
    (2)源泉徴収方法
  7. 外国人個人に対する課税方式
    (1)外国人個人が非居住者である場合
    (2)外国人個人の中国滞在が年間 183 日超である場合
    (3)住所のない個人が高級管理者などである場合
    (4)賞与の支給がある場合
    (5)滞在日数と勤務日数
    (6)租税条約に基づく住所を有しない個人への課税
  8. 2018 年改正前後の比較と優遇税制の経過措置(賞与など)
    (1)年 1 回賞与の特例
  9. 確定申告
    (1)対象期間及び期限
    (2)対象者
  10. 滞納金と罰則
    (1)税金の追徴・遡及期間
    (2)延滞金・罰金
    (3)奨励金

    **第2部 応用編
    ** 【執筆:税理士法人山田&パートナーズ 監修:水野真澄】
    ■ 個人所得税の応用実務

  11. 日中租税条約と個人所得税
    (1)租税条約とは
    (2)日中租税条約
    (3)相互協議
  12. 中国の PE 課税
    (1)PE とは
    (2)日中租税条約における PE の範囲
    (3)駐在員 PE
  13. PE 認定の個人所得税課税への影響
  14. 非居住者の董事、総経理、駐在員事務所代表兼務
    (1)非居住者が駐在員事務所の代表を兼務する場合
    (2)非居住者が中国国内企業の総経理・副総経理を兼務する場合
    (3)非居住者が中国国内企業の董事及び総経理を兼務する場合
    (4)非居住者である役員が中国国内企業の董事を兼務する場合(高級管理者の兼務はしない)
  15. 中国国内組織の兼務と個人所得税
    (1)毎月の支給時の源泉徴収方法
    (2)確定申告による年度申告の実施
  16. 退職金の課税
    (1)日本及び中国における退職金の概念
    (2)中国赴任期間中に日本本社より受け取った退職金に対する課税
    (3)退職金の支給事例
  17. ストックオプション課税
    (1)ストックオプションの定義と中国のストックインセンティブプラン
    (2)上場企業の場合の中国ストックオプション税制適格要件と課税関係
    (3)未上場企業の場合の中国ストックオプション税制適格要件と課税関係
    (4)税制非適格ストックオプションの課税関係
    (5)中国におけるストックオプションの届出制度
  18. 財産譲渡所得課税-株式
    (1)未上場の中国国内株式
    (2)上場の中国国内株式
    (3)中国国外株式
    (4)株式の財産譲渡所得のまとめ
    (5)出資持分譲渡に係る行政手続
  19. 財産譲渡所得課税-不動産
    (1)中国の不動産事情
    (2)不動産譲渡に関する個人所得税
  20. 中国からの国外送金

(1)人民元から外貨への換金制限
(2)中国からの国外送金制限
(3)国外送金に必要な資料
(4)外国人が上海市の不動産を売却して得た資金を日本に送金する場合の手続例
(5)外国人が中国において相続により得た資金を日本に送金する場合の手続例

実務理解に役立つ Q&A【執筆:水野真澄】
Q1. 2019 年の個人所得税法改正の意義はなんでしょうか?
Q2. 2019 年の個人所得税法改正の外国人に対する影響はどのようなものでしょうか?
Q3. 外国人に対する家賃補助免税の注意点と打ち切りの影響を教えてください
Q4. 出張手当は課税所得ですか?
Q5. 中国の税務機関は国外源泉所得に対する課税に積極的ですか?
Q6. 税制改正により確定申告の意義は変わりましたか?
Q7. 会社員が役務報酬、原稿料などを受領した場合、どう申告すればよいでしょうか?
Q8. 外国税額控除は採用できるのでしょうか?
Q9. 日本で支払っている厚生年金・国民年金保険料の控除は認められますか?
Q10. 日本で本社採用された中国人が、中国で業務をする場合の注意点はありますか?
Q11. 非居住者の課税判定に関する日数カウントについて教えてください
Q12. 高級管理職はその他の社員と課税上の扱いが異なるのでしょうか?
Q13. 非居住者が無報酬で中国組織の董事となる場合、納税は必要でしょうか?
Q14. 日本居住者が中国組織の役職を兼務し、租税条約を適用する場合に行われる課税は?
Q15. 日本居住者が中国組織の役職を兼務し、租税条約を適用しない場合の個人所得税課税
Q16. 赴任・帰国年度の賞与はどう申告すればよいですか?
Q17. 中国国内の組織の役職を兼務する場合、個人所得税上の注意点はありますか?
Q18. 定年退職時に日本に帰国すべきでしょうか?
Q19. 人件費の対外送金制度について教えてください
Q20. PE(Permanent Establishment)認定と個人所得税課税はどう関係するのですか?
Q21. 183 日ルールの適用を受けるとき手続は必要ですか?
Q22. 大湾区(グレーターベイエリア)の個人所得税優遇について教えてください

**【お問い合わせ】
** 株式会社チェイス・ネクスト
メール:info@chasechina.jp
担当:横幕、杉山


**【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版発行者
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