【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.106

2019-08-31
**【INDEX】

【中国ビジネス・トレンド】
**■ 華南ビジネス・トレンド
華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。
※最新の華東ビジネス・トレンドこちらをご参照ください。

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[**【中国ビジネス・トレンド】**]()

**華南ビジネス・トレンド
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華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。

1.中国共産党広東省委員会、広東省政府
「『広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画要綱』の完遂に関する実施意見」

中央政府(中共中央委、国務院)の『広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)発展要綱』(2019 年 2 月)を実行に移す際の基本的方針を示したものです。「広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)」経済圏を、「一国二制度」が融合した、「一帯一路」の重要拠点とすることを基本構想にしています。

「一核一帯一区」という用語を使い、広東省の 21 市を地域ごとに三つに分類し、それぞれの地域の地理や経済環境に応じて発展の目標と省全体に対する役割を定義しています。
● 一核地域
グレートベイエリア 9 市(広州、深セン、東莞、中山、珠海、江門、仏山、恵州、肇慶)
→ マカオ、香港と融合する大経済圏を目指し、また《一帯地域》の発展も牽引。
● 一帯地域
沿岸地帯 7 市(潮州、汕頭、掲陽、汕尾、陽江、茂名、湛江)
→ グレートベイエリアと連携し、経済発展を省沿岸部に面展開。(例:深汕特別合作区)
● 一区地域
内陸部 5 市(梅州、河源、詔関、清遠、雲浮)
→ 土地利用の効率化、現代農業推進、生態環境整備をもって社会、経済的な遅れを改善。

「広東香港マカオグレートベイエリア」経済圏の完成年を 2035 年とし、3 段階で進めるとしています。
第一段階:基礎構造整備 2020 年まで
第二段階:経済効果発揮 2025 年まで
第三段階:大経済圏完成 2035 年まで

香港、マカオ、広州、深センを核心都市とし、(1)香港‐深セン、(2)広州‐仏山、(3)マカオ‐珠海を三つの「強強連合」と位置づけ、これらが大経済圏を牽引するとしています。

原文
http://www.cnbayarea.org.cn/homepage/news/content/post_170139.html
図解
www.cnbayarea.org.cn/policy/policy%20analysis/content/post_170125.html


2. 広東省「広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)」建設指導チーム
「広東省の広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)建設の三年行動計画(2018-2020 年)」

「広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)発展要綱」と「<広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画要綱>の完遂に関する実施意見」に基づき、2019 年 7 月から 3 年間の行動計画を、具体的に示したものです。

九つのテーマを定め、そのテーマに属す重点項目を合計 100 項目設定し、その項目ごとの管理責任部署を明示しています。

1)発展空間の構造的な整備改善(3 項目)
・高速鉄道と“香港珠海マカオ大橋”を経済牽引地区の動脈として、経済牽引 4 都市、「香港‐深セン」、「広州‐仏山」、「マカオ‐珠海」の『経済強強ライン』を融合
・現代化・クリーン農業、農村の観光レジャー分野の開発などで都市と農村の融合、など

2)国際科学技術イノベーションセンター建設(15 項目)
・ニュートリノや高エネルギー重イオン加速器など先端科学技術施設を含む研究開発センターの建設、そのための資金的支援
・2020 年までに大湾区(9 市)内に、研究開発機構を 200 社誘致

3)現代化インフラ整備(14 項目)
・2020 年までにグレートベイエリア内に、既存空港の拡大整備と「珠三角基軸空港(広州新空港)」建設で、年間乗降延べ人数 1 億 4 千万人を実現
・同様に、軌道交通網:延べ 2,400 キロ、高速道路:延べ 5,000 キロ、コンテナ出入庫:年間 6,200TEU の実現

4)国際競争力ある現代的産業体系(10 項目)
・戦略的新興産業、情報技術、ハイエンド設備製造、生物医学、デジタル経済、新材料、海洋産業などを招致し、先端分野の産業のサプライチェーンを構築
・先進的製造業 5 分野(電子情報、自動車、スマート家電、ロボット、クリーン石油化学)の世界レベルの産業群を建設
・先進的、国際的な金融(クロスボーダー電子決済を含む)、保険、物流、サービス分野の整備

5)生態保護、クリーン文明建設(7 項目)
・大気汚染コントロール、海水環境整備、固形廃棄物対策と土壌汚染防止の監督体制の整備強化、2020 年までに大湾区の緑化率 52%達成
・汚染型産業の体質改革クリーン化、省エネ・クリーン産業基地建設

6)「住み易く、事業し易く、旅行し易い」優良な生活圏建設(22 項目)
・グレートベイエリアの高等教育整備、学校の交流、香港マカオの青少年の大湾区での就学奨励
・香港マカオの人材のグレートベイエリアでの居留、就業の便宜、相互人材交流など
・文化事業の推進、充実、文化芸術観光分野の産業充実
・食品、医療を含む日常生活の便宜性充実、住宅購入と賃貸の便宜、社会保険の充実

7)クロスボーダー商取引の開放、環境整備(12 項目)
・広東自由貿易試験区の建設、2020 年までに香港マカオ資本企業 1 万 2 千社誘致
・商業関係の法規整備、市場管理監督システム整備、国際仲裁センター設立など
・商事関係の行政処理のシステム化、企業の登記、開業などの簡便化、時短など
・電子商務システムの充実による投資の利便化、貿易自由化

8)広東、香港、マカオの合作プラットフォーム建設(12 項目)
・「深セン前海深港先端サービス業合作区」の機能拡充、「広州南沙香港マカオ全面合作モデル区」の建設、「珠海横琴香港マカオ高度合作モデル区」の推進など

9)行政の支援保障措置(5 項目)
・広東、香港、マカオの各行政機関の協力メカニズム構築
・政策支援(用地、用林、用海など)、重点プロジェクト支援プラットフォーム
・金融リスク管理、システム的金融リスクのボトムライン防衛、地方政府債の金額管理

原文
http://www.cnbayarea.org.cn/homepage/news/content/post_170138.html
図解
http://www.cnbayarea.org.cn/policy/policy%20analysis/content/post_170126.html


3.広東省財政庁
「広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)個人所得税優遇政策の完遂に関する通知(粤財税[2019]2 号)」

グレートベイエリア(珠江三角州エリア 9 市)で就労する高級人材、および欠乏人材の納税済み個人所得税に対し、所在地の政府が補助金を出すことに関する通知です。

この政策の根拠となるのは、中国財政部、中国税務総局「広東香港マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)の個人所得税優遇政策に関する通知(財税[2019]31 号)」ですが、この通知には、「香港と中国の個人所得税の差額」とあるだけで、具体的な優遇率や計算方法は示されていませんでした。
今回の広東省の「粤財税[2019]2 号」で、補助金の具体的な計算式、対象者、対象所得など詳細が明らかになりました。

《補助金支給額》
・納入済みの所得税が課税所得額の 15%を超える分の金額
支給される補助金=実際納税額‐(課税所得 ×15%)
・なお、この補助金に対しては再度の所得税は課せられない(免税)。

《対象となる所得》
給与所得、役務提供所得、原稿料、特許料、経営収入、人材招聘プログラムなどで支給される補助金、特別報酬など

《対象者の適格基本条件》
1)香港、マカオの永久居住者、香港に招聘された優秀人材、専門家、企業家などの香港居住者、台湾居留民、外国国籍者、外国で長期居留権を取得している帰国留学生、華僑など
2)珠江三角州 9 市で就労し、法に則って納税している者
3)法律を遵守し、科学研究倫理と科学研究誠実性を有する者

上記 1)~ 3)を満たした上で、下記のいずれかに該当する者
● 国、省、市が人材プロジェクトとして招聘し、広東省の「人材優粤カード」(優遇住民カード)、「外国人就業許可証 A 類」を取得している者、或いは「外国籍高級人材確認書簡」を有する者および国、省、市が認定したその他の外国籍高級人材

● 国、省、市の「重大イノベーションプラットフォーム」の科学研究団体職員、高等教育機関、科学研究機構、病院などの科学研究技術団体の職員、省の重点発展産業、重点領域の創業の根幹技術を有する者或いは優秀な管理能力者、珠江三角州 9 市が認定したその他特殊技能を有し現在欠乏状態で至急招聘の必要ある者

この粤財税[2019]2 号は 2019 年 1 月 1 日に遡って適用され、試行期間は 1 年間です。
本通知の付録(通知解読)には
・総合所得、経営収入も補助金の範囲であり、外国人材がグレートベイエリアで就労することを奨励すると同時に、“外国籍の青年”がこのエリアで創業することも奨励する
・まず今回通知の具体的優遇策で 1 年間様子を見て、状況次第で 1 年後にまた修正する
と記されています。

原文:
http://czt.gd.gov.cn/czfg/content/post_2519383.html
解読:
http://czt.gd.gov.cn/zcjd/content/post_2519100.html


4.広東省市場監督管理局
「食品経営許可の実施細則(試行)に関する通知」

従来は広東省食品薬品監督管理局の管轄で、2016 年 2 月から施行されていた実施細則が、2019 年 2 月で失効したのに伴い、新しい管轄機関である「広東省市場監督管理局」から改めて公布された実施細則です。
実施細則の内容には変更がなく、公布日 6 月 18 日から即日発効し、期間 2 年です。
(既に取得済みの食品経営許可証はそのまま有効で、再手続は不要となります)

食品関係、飲食業関係の許可審査は五つの業種に分類され、それぞれ評価項目、重要度が規定されており、「現場調査合否判定表」で審査されます。
第一類:食品販売経営者(食品販売チェーン企業本部は含まない)
第二類:レストラン、従業員食堂
第三類:中央厨房(予備的調理を集中的に行いレストランチェーン等に配送する施設)、セントラルキッチン
第四類:ケーキ店、飲料提供店、小規模飲食店
第五類:食品販売チェーン店本部、レストランチェーン本部、飲食管理企業

原文
http://amr.gd.gov.cn/zwdt/wjfb/content/post_2516537.html
解読
http://amr.gd.gov.cn/zwgk/zcjd/content/post_2518421.html


5.広州市人民政府
「広東省の製造業企業のコスト低減を達成するための若干の政策上の措置に関する実施意見(穂府[2019]9 号)」

2018 年 2 月公布の同じタイトルの実施意見(穂府[2018]3 号)を広州市の現状に合わせて修正したものです。
今年の(穂府[2019]9 号)は、昨年の(穂府[2018]3 号)と同じく 10 の分野でコスト低減政策を示していますが、その内容は随所に変更があります。主だった変更箇所は以下の通りです。

<変更がなかった分野>
三.企業社会保険コスト低減
五.企業輸送コスト低減(但し「広園東路二期と延長線道路の費用徴収の取消」は削除)

<タイトル/内容自体が替えられた分野 ※要点のみ>
●(旧)九.新興支柱製造産業の育成 → (新)製造企業の高レベル発展の支持、支援
(旧)の支柱産業と(新)の高品質発展の対象産業とは同様で、奨励の対象は変わりません。(新)では「2020 年までに数字化、ネット化、AI 化、グリーン化の技術改造を重点支援、営業収入 1,000 万元以上の工業企業の改造に奨励金」、「製造企業の高レベル発展総合評価体系の立ち上げ」などの具体的規定が追加されています。

●(旧)十.企業の技術改造支持、支援 → (新)重大産業プロジェクト支持力の強化
(旧)には技術改造奨励金が示されていたが、(新)では「重大製造業プロジェクト調整メカニズムの構築」や「環境評価、対社会リスク評価、省エネ評価」、「ハイレベル人材確保、学校設立」など、主に広州市の行政部門への指示に変化しています。

<変更があった分野 ※主だったもの、要点のみ>
一.企業の税負担の軽減
「製造業の増値税率を 16%から 13%に低減する」を追加、「土地等級五級(最も安い等級)とする」を削除

二.企業用地のコスト低減
「毎年 333.33 ヘクタール以上の工業用地を提供。工業用地が都市建用地に占める割合 25%以上」など具体的数値規定を削除、「工業用地の払い下げ年限を最長 50 年」を追加

四.企業用電力コストの低減
「一律 0.0233 元/キロワットアワー値下げ」など、全ての具体的優遇料金を削除し、「企業の電力市場参入奨励」、「電力コスト構造改善に企業の立場で貢献」というような督励的な内容に変更。

六.企業金融コストの低減
株式制、株式上場に関する具体的な奨励金のほぼ全部を削除(科学技術型企業への 20 万元、50 万元の奨励金を除く)、国家政策による銀行の優遇政策、海外資金調達の奨励、「大型基幹企業が財務公司を設立しグループ企業に低コスト資金提供を奨励」など督励的な内容に変化。

七.企業登録・開業など行政処理関係の合理化
行政サービスの日数期限を含め、行政サービスの便利化を追加、危険物関連企業の製品の審査承認に対し、昨年の 12 類企業、4 類工業製品から切り分けて規定追加。

八.工業企業の土地活用率の向上
工業用地と一般不動産を分け、新型産業の土地払い下げ金の優遇、工業企業の体質転換への奨励金などを追加。

原文
http://www.gz.gov.cn/gzgov/s2811/201906/50678fb8c37f41d0b250eec8bab7100d.shtml


6.深セン市政府
「自由貿易試験区の改革の深化とイノベーションを支持する事に関する若干の措置の業務方案の通知(深府函[2019]259 号)」

自由貿易試験区の推進に関する国務院通知(国発[2018]38 号)、広東省通知(粤府函[2019]36 号)に基づき、深セン市が公布した通知です。
「前海蛇口自由貿易片区」を対象に作成されました。同時に新しい試験区を設けることも奨励しています。
投資環境整備、行政サービスの利便性向上、金融環境の整備、人材資源確保の環境整備、各区・行政部門への業務方針指示、の 5 つの分野でそれぞれ改革政策が示されています。

主な内容は下記の通りです。
「投資環境整備」:外資企業を含む建設、設計、施工関連の企業への規制緩和と便宜を主とした規定
「行政サービスの利便性向上」:航空機補修品保税、鉄道輸送越境一貫処理、自動車平行輸入、交際貿易一貫対応窓口制など
「金融環境の整備」:クロスボーダー人民元対応、海外投資サポート、証券投資支持など
「人材資源確保の環境整備」:企業の労働者確保の弾力性支持(ピーク時臨時契約、期限限定契約、業務毎(工事など)限定契約)、留学生の就業管理制度、香港マカオに専門人材(金融、建築、特許管理など)優遇など

原文:
http://www.sz.gov.cn/cn/xxgk/zfxxgj/tzgg/201907/t20190708_18040163.htm

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