5.来料加工における国内部材の使用と製品の国内販売

2015-01-07

5.来料加工における国内部材の使用と製品の国内販売

(1)国内原材料使用の可否

来料加工は輸入原材料(加工委託者が無償で提供する原材料)の使用が原則。
但し、以下の手続を経れば、国内原材料の使用可能。
⇒ 商務主管部門(対外経済貿易部門)に、申請書、補助資料(購入予定の材料リスト、来料加工契約書等)を提出し、認可を取得する。

(2)国内部材を使用する事の問題点

来料加工工場は、通常、小規模納税義務者であり、増値税の仕入れ控除が適用できない。
来料加工は増値税の免税取引であり、これに基づいて支払った増値税は控除・還付の対象とはならない。
以上の理由により、仕入れ時に支払った増値税はコストとなる。

(3)来料加工製品の国内販売

加工貿易は、製品の輸出を前提に、原材料の保税輸入を認める制度であるため、原則として商品の輸出が義務付けられる。
但し、事前許可の取得を前提に、例外的な国内販売が認められる。
以前は、国内販売許可は加工貿易契約を認可した商務主管部門の、一級上の機関と規定されていたが、「商産発[2007]133 号」の施行により、原認可機関に権限移譲された。
更に、「署加発[2009]196 号」により、実務的にも国内販売が増加した。

<国内販売の手続>
直接販売の手続は、以下の通り。
・ 国内販売申請 ⇒ 対外経済貿易部門(加工貿易の原認可機関)より内販許可証の取得
⇒ 税関に対する資料送付 ⇒ 税関より税額計算書を取得 ⇒ 納税後国内販売

以前は、内販許可の取得にあたり、税関の核銷部署(保税在庫有り高管理を行う部署)の審査を受ける必要があったが、署加発[2009]196 号により、これが免除された。
また、A 類企業に付いては、税関の許可を取得(場合によっては、要保証金差入)する事を前提に、集中通関方式(事後のまとめ通関方式)を採用する事ができる。
尚、国内販売に際しては、原材料輸入段階の関税・増値税を、延滞利息付きで納付する必要があるが、この際に適用される金利率は、「税関総署公告 2009 年第 13 号・第 14 号」により、借入金利から預金金利に引き下げられている。

この様に、加工貿易製品の(税関許可を取得した上での)国内販売は可能となっているが、進料加工の場合は、販売対象となる商品の所有権が進料加工企業に有り、売却代金を人民元で回収すれば済むのに対し、来料加工の場合、商品の所有権が外国企業にある事から、売却代金を国外に送金する必要が生じる。実務上は、この外貨送金が困難である。