加工貿易の端材・不良品・副産物等の処分について 執筆日:2021年3月20日

2021-03-20

執筆日:2021 年 3 月 20 日

加工貿易の端材・不良品・副産物等の処分について

加工貿易企業が、端材・不良品・副産物などを処分する場合の方法と、それに対する課税について、解説します。

1.処分の原則

加工貿易に使用する原材料は、保税状態での輸入が認められますので、加工後の製品は、原則として輸出が義務付けられます。また、製造過程で発生する端材・不良分・副産物なども、保税状態であることから、これを、中国内で処分する場合は、一定の税関手続や納税が必要となります。この根拠となるのは、「加工貿易の端材・余剰原材料・副産物・不良品・被災貨物に関する管理弁法(税関総署令 2004 年第 111 号)、以下、111 号」と、「加工貿易貨物の廃棄処分に関する公告(税関総署公告 2014 年第 33 号)、以下、33 号」です。尚、111 号は、その後、何度か修正が行われていますが、最終改定は、「税関総署令 2018 年第 243 号」となっています。

その内、国内販売方式での処分に付いては 111 号。廃棄処分に付いては 33 号に基づく事となります。

2.国内販売方式

国内販売方式を採用する場合は、税関での手続が必要となり、以下のような課税が行われます。

1)端材

端材の国内販売を行う場合、税関が査定する価額と税率分類に基づいて、関税・増値税が課税されますが、延滞金利の徴収は免除されます(第 4 条)。

2)余剰原材料

余剰原材料を国内販売する場合、原材料価格に対して、輸入時に課税保留された関税・増値税(品目によっては消費税も課税される。以下、同じ)の納付が必要となります。また、延滞利息の支払いも必要となります(第 6 条)。

尚、余剰原材料で生産した製品を国内販売する場合、税関は対応する輸入原材料価格に基づき、同様の原則で課税を行います(第 6 条)。

3)不良品

不良品を国内販売する場合、対応する輸入原材料価格に基づき、上記2)の原則に基づき課税します(第 7 条)。

4)副産物

副産物を国内販売する場合、税関の査定価額・税率分類に基づいて、輸入段階で留保された関税・増値税と、延滞利息を徴収します(第 8 条)。

3.廃棄

加工貿易貨物の廃棄処分とは、加工貿易企業が、何らかの理由により、国内販売・再輸出できない端材・余剰原材料・不良品・副産物・被災貨物を、税関に申告し、焼却、埋め立て、その他の無公害化方式、貨物の物理・化学特性を変更する処理活動をいうと規定されています(第 1 条)。廃棄に際しては、適切な廃棄物処理の営業許可を有する企業に、廃棄を委託する必要があり(第 2 条)、また、処分に際しては、税関に以下の書類を提出する必要があります(第 3 条)。

●  税関加工貿易貨物処分申請書、及び処分案

●  加工貿易貨物が国内販売・再輸出できない理由の説明

●  処分を委託する企業の資格証明、及び、加工貿易企業と廃棄企業間の委託契約書

●  税関が要求するその他の書類

尚、来料加工貨物の場合は、貨物所有者(外国の委託者)の廃棄声明が必要となります。

この形態での処分は、原則として無収入で行われますので、課税は行われません。但し、収入を得る場合は、税関の査定価額・税率分類に基づいた課税され、延滞利息は不要となります(端材の国内販売に関する課税方式に準じる)。