保税区域の外貨管理 掲載日:2014年9月4日

2014-10-28

掲載日:2014 年 9 月 4 日

保税区域の外貨管理

保税区域の外貨管理規則は、保税区・輸出加工区・保税物流園区と、保税開発区毎に制定されていたが、2007 年に施行された「保税監督管理区域外貨管理弁法(匯発[2007]52 号)」・「保税監督管理区域外貨管理弁法操作規定(匯綜発[2007]166 号)」により統合された。
その後、2013 年 6 月 1 日に「税関特殊監督管理区域外貨管理弁法(匯発[2013]15 号)」が施行され(匯発[2007]52 号・匯綜発[2007]166 号は同日失効)、現在に至っている。
匯発[2013]15 号の意義、保税区域の外貨管理の原則は、以下の通りである。

1.改定の意義

保税区域の企業に対する外貨管理の特徴は、「非保税区域の外貨管理の適用対象であるが、特定の場合においては、例外措置が認められる事」である。
特定の場合とは、保税区域の企業が、保税区域での取引、オフショアで取引をする場合であり、この場合は、核銷制度(2012 年の貨物代金決済改革により廃止)の適用が免除される。
この様な、保税区域の企業が核銷制度の適用を認められる(=通関単の提示無しで、貨物代金決済が認められる)状況と、必要書類を定めたのが、従来の保税区域の外貨管理規則(匯発[2007]52 号・匯綜発[2007]166 号)であった。
但し、2012 年 8 月 1 日の貨物代金決済改革(
匯発[2012]38 号)により、核銷取引が廃止されたため、理屈からすると、従来の弁法は意義が無くなる。 これを踏まえ、非保税区域と保税区域の外貨管理を統合するのが、匯発[2013]15 号公布の意義と言える。

2.実務上の問題点

2012 年 8 月 1 日の貨物代金決済改革により、貨物代金決済改革時の輸出入報関単の提示は免除され、契約書、インボイス、報関単の何れか一つの原本を提示すれば、決済が認められる様になった。
従来の弁法は、保税取引形態(保税区域内の所有権移転、オフショア取引、etc.)に応じて、決済に必要な書類を定めたものであるため(通関単ではなく、入出境備案、倉庫会社の発行した所有権移転証明、その他の書類で決済を認める)、その意味では、貨物代金決済改革により意義を失ったと言っても良い。
但し、従来の弁法は、通関が伴わない変則的な取引に関して、どの様な取引の場合に決済が可能か、という具体的な指針となっており、これを廃止する事で、実務上の混乱が生じ得る。
それを踏まえ、実務上は、既に失効となった、匯綜発[2007]166 号(保税取引の内容に応じた決済可否と、必要書類を具体的に規定している)が、依然として操作の参考とされている。

3.保税区域が関係する決済

匯発[2013]15 号の規定は、以下の通り簡単なものである(第 5 条)。
保税区域と区外の貨物代金決済は、外貨、或は、人民元で決済を行う。
保税区域と区外の非貿易項目は、人民元決済が必要。
保税区域企業間の決済は、外貨、或は、人民元で行う(行政費用は人民元決済が必要)。

上記を読むと、外貨・人民元を任意で選択できる様な感想を受けるがそうではない。
詳細は、「保税区域外貨管理理解の注意点」参照。

4.実務操作上の規制緩和

「税関特殊監督管理区域における経常項目外貨管理改善に係る問題についての通知(匯発[2013]22 号)」では、保税区域の企業に対して、以下の通りの操作ルールを設定している。

① 保税区域の取引(第 3 条)
保税区域の企業は、第 1 条に基づいて、通関単、契約書、インボイスの原本の何れか一つに基づいて、貨物代金決済が認められるが、保税区域内での取引等を行う場合、通関単に代えて、入出境備案清単(貨物の保税区域搬出・搬入に関わる税関報告)の原本の提示が認められる。
また、輸入通関単・入境備案清単上の経営単位が、その他の機構になっている場合は、支払人と経営単位が一致しない原因についての書面説明と証憑を提示する事で、支払いが認められる。
経営単位と支払人が異なるケースとは、「倉庫会社が入境備案手続を行った場合(外国企業やその他の保税区域の企業が、当該保税区域の倉庫会社に入出境手続を委託した場合)」、「保税区域内で所有権移転が行われた場合」、「中国企業が輸入通関・入境備案手続をする前に、保税区域の企業がオフショアで売買を行った場合」等が、代表的な例として挙げられる。
⇒ ここに規定されている内容は、従来の保税区域の外貨管理と同じ。

② 換金(第 4 条)
保税区域の企業は、合法的な取引に基づく場合、輸入外貨支払い前に(事前に)人民元から外貨に換金し、外貨経常口座に預け入れる事が認められる。
この場合、事前換金と対外決済は、同一銀行で行う事が義務付けられる。

③ 非貿易項目決済の特例(第 6 条)
保税区域の企業が、1 件当たり US$ 5 万以下の非貿易項目に関する外貨の受払いを行う場合、証憑書類の審査が免除される。