中国企業の国外口座 執筆日:2017年2月26日

2020-05-30

中国企業の国外口座

1.国外口座とは

中国企業(外資企業を含む)の国外口座の開設は、「輸出貨物収入の国外留保管理実施に関する問題の通知(匯発[2010]67 号)、以下、67 号通知」によって認められました。

それ以前より、国外口座の開設を認める法規は有りましたが、あくまでも、国外での請負工事の場合の場合などに開設される臨時的なものでした。

国外口座の開設が正式に認められるようになった背景は、2008 年の外貨管理条例の改定(国務院令 2008 年・第 193 号)により、それまで禁止されていた国外外貨留保が、「国内機構・個人の受け取り外貨は、国内に回収する、或いは国外に留保する事ができる。国内に回収する、国外に留保する条件・期限は、国務院外貨管理部門が国際収支の状況、及び外国為替管理上の必要に基づき定める」と変更された事によるものです。

2.国外口座の開設条件と問題点

67 号通知では、国外口座の開設・運用に付いて、以下の条件を設定しています。

① 口座を開設できる企業は、輸出外貨収入が有る企業で、違法歴が無く、内部管理体制が構築されている企業である事。

② 口座を開設できるのは、中国の銀行の国外支店・現法、中国に支店・現法を持つ外資銀行である事。

③ 口座数は 5 口座以内であり、留保できる金額は登記済の輸出外貨収入の範囲内である事。

④ 国外口座開設に当たっては、所管の外貨管理局で登記をすると共に、バンクステートメントの回収など、真実性の確保に努めなくてはならない事。

外貨の国外留保期限は設定されておらず、企業のニーズに基づいて、海外に留保する事、中国内に回収する事が認められますが、その前提は、上記の通り、所管の外貨管理局に口座開設を届出る(備案する)事です。但し、過去に、外貨管理局にヒアリングした際には、この備案の受理に積極的でない姿勢が見受けられました。これは、国外での口座開設自体は、中国の外貨管理局が発行した書類の提示は不要であるため、既に、(外貨管理局の手続を踏まない状態で)開設されている口座が多く、備案を受理しだしても管理が徹底できないためです。

国外口座の正規の開設ステップは、開設後に速やかに外貨管理局に届出て、その口座の残高や移動を財務諸表に反映させる(国外で生じた収入も、当該企業の損益として計上し、課税所得として扱う)というものです。

但し、口座の備案が受理されていない事もあり、多くの国外口座が簿外口座になっている事が想定され、外貨管理上・税務上の問題の存在が懸念されます。

3.自主報告と罰則

その後、2017 年に、「外貨管理改革の一層の推進と真実性審査の改善に関する通知(匯発[2017]3 号)」が施行され、国外口座に関する管理が強化されました。

3 号通知では、中国内の企業が輸出収入・サービス貿易収入を国外に留保しているが、「貨物貿易外貨管理法規(匯発[2012]38 号)」・「サービス貿易外貨管理法規(匯発[2013]30 号)」の手続を行っていない場合は、通知の公布日(2017 年 1 月 26 日)より 1 ヶ月以内に、自発的に外貨管理局に報告する事を求めています。

つまり、従前より、国外口座での受け払いでも、匯発[2012]38 号(貨物代金の受け払いの場合)・匯発[2013]30 号(非貿易項目の場合)に対する手続、つまり、モニタリングシステムでの入力や、所管税務機関での備案が必要であり、これを行っていない場合は、外貨管理条例に基づく罰則の対象にし得るという態度を示しています。

この結果として、今後、国外口座を使用した租税回避行為などの摘発が実施される事が想定されます。