【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.58(2021年12月20日発行)

2022-01-10

【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.58 (2021 年 12 月 20 日発行)

【中越ビジネスマニュアル 第 58 回】

ベトナムの外国契約者税について

非居住者が、ベトナムでビジネスをする際に課税される、外国契約者税について解説します。

■ 1.外国契約者税とは

外国契約者税(財務省通達・第 103/2014/TT-BTC 号)とは、ベトナムで事業を行う、もしくは、ベトナムから所得を得る非居住 者等(外国契約者)に対して課税される、付加価値税・法人税・個人所得税等の総称であり、特定の税目ではありません。

外国契約者とは、外国の企業、および、個人事業主であり、外国企業がベトナム国内にPE(Permanent Establishment =恒久的施設)を有するか否か、もしくは、外国の個人事業主がベトナム居住者か否かは問いません。

外国契約者税=源泉徴収税というイメージを持たれる方が多いですが、申告・納付は、外国契約者が直接行う方式と、契約相手であるベトナム 企業・個人等が源泉徴収する方式があり、それぞれ異なる税率が定められています。

■ 2.外国契約者税の課税対象

付加価値税、および、法人税の課税対象は、以下の通りとなります。

なお、個人所得税、および、その他租税公課に関しては、外国契約者税の課税対象として、別途の規定はないため、個人所得税法等の一般規定 に基づき課税されます。

<1>付加価値税(Value Add Tax:VAT)

外国契約者に対して課税される付加価値税は、以下の通りです。

1)ベトナム国内での製造・販売・消費に用いられる、外国契約者によって提供される付加価値税課税対象サービス、もしくは、物品に付帯す るサービス。
2)ベトナム国内で搬送される物品。ただし、国際輸送、もしくは、他企業により加工される物品の保管用に、倉庫、もしくは、内陸コンテ ナーヤードを使用する場合は除く。
3)据付、試運転、保証、保守、交換、その他ベトナム国内で提供されるサービスに付帯する物品の供給。

なお、付加価値税は、サービス価額に対して課税されるのが原則ですが、契約書上、物品とサービス価額が分かれていない場合、契約価額全体 に対して付加価値税が課されます。

<2>法人税

外国契約者に対して課税される法人税は、以下の通りです。

1)ベトナム国内で提供する物品、サービス、物品に付帯するサービスから派生する所得。ただし、外国契約者が、ベトナム国内での責任、費 用、運送、リスク負担を伴わない物品提供から派生する所得は除く。
2)所有権、商標権の譲渡と使用、資産の譲渡、貸付利息、株式譲渡など、ベトナム国内で得られる所得。

なお、建設・据付サービスを伴う、材料・機械・設備の販売に際して、契約上、サービス価額と物品価額が分かれていない場合、建設・据付 サービスに対する税率が契約額全体に対して課されます。

また、法人税率が異なる複数のサービスを提供するに際して、契約書にそれぞれのサービス価額の記載がない場合、契約額全体に対して、該当 するサービスの中で最も高い税率が課されます。

この様に、物販の販売や、役務の提供に際して、明細が明記されていない場合は、高額な課税につながるリスクがありますので、契約に際して 注意が必要です。

■ 3.外国契約者税の計算方法

外国契約者税の計算方法には、ベトナム側契約者が、外国契約者の収益に対して、一定の税率を計算して源泉徴収する直接方式(ベトナム側契 約者の源泉徴収)、外国契約者がベトナム会計制度に準拠して申告する申告方式(外国契約者の直接申告)、直接方式と申告方式の混合方式 (外国契約者が申告を行うハイブリッド方式)の3種類があります。

<1>直接方式

外国契約者が提供する事業内容に応じて課税率(付加価値税率・法人税率)が定められていますので、これを使用して源泉徴収課税する方法で す(財務省通達・第 103/2014/TT-BTC 号・第 12 条・第 13 条)。

ベトナム側契約者は、外国契約者に対価を支払う際に、付加価値税・法人税を源泉徴収し、申告・納付することになります。

<2>申告方式

外国企業が、ベトナム内の企業と同様の方法で、付加価値税法・法人税法の一般規定に基づいて計算を行う方法です。外国契約者が、申告方式 を採用するには、以下の全ての条件を満たす必要があります。

1)外国契約者がベトナム国内にPE(Permanent Establishment =恒久的施設)を有する、もしくは、ベトナム居住者である。
2)ベトナムでの事業活動期間が、契約発効日から 183 日以上である。
3)ベトナム会計基準適用の下、税務登記がなされ、税務ID番号が発行されている。
<3>ハイブリッド方式

外国契約者が、以下の全ての条件を満たすことを前提に、会計法、および、財務省指針に準拠し、「付加価値税に関しては、ベトナム企業と同 様の控除方式に基づき計算」し、「法人税に関しては、直接方式と同様、収益に対して一定税率を乗じて計算」する方式です。

1)外国契約者が、ベトナム国内にPEを有する、もしくは、ベトナム居住者である。
2)ベトナムでの事業活動期間が契約発効日から 183 日以上である。

■ 4.外国契約者税の税率

直接方式に基づく付加価値税率、および法人税の税率。さらには、ハイブリッド方式の法人税率は、以下の通りです。

<1>付加価値税
1)5%:サービス一般。機械・設備のリース。保険。原材料・機械・設備の供給を伴わない建設および据付。
2)3%:製造。輸送。物品に付帯するサービス。原材料・機械・設備の供給を伴う建設および据付。
3)2%:その他の販売。
<2>法人税
1)10%:レストラン・ホテル・カジノ管理サービス。商標権からの所得。
2)5%:機械・設備・油田掘削装置リース。保険。貸付利息。
3)2%:金融派生商品サービス。航空機・航空機エンジン・航空機部品・船舶リース。建設および据付。輸送。その他の事業。
4)1%:販売。流通。物品・原材料・備品・機械・設備の供給。ベトナム国内でのサービスが付帯する物品・原材料・備品・機械・設備の流 通。
5)0.1%:有価証券・譲渡性預金の譲渡。海外売再保険。再保険手数料。

■ 5.申告および納付方法

<1>直接方式(源泉徴収方式)

ベトナム側契約者が源泉徴収する直接方式での付加価値税・法人税の申告・納付の期日は、その発生日から 10 日、解約時は解約日から 45 日 です(租税管理法・第 78/2006/QH11 号・第 32 条・改正租税管理法・第 38/2019/QH14 号・第 44 条)。

<2>申告方式

外国契約者が納税義務者となる申告方式では、付加価値税・法人税の一般規定に準拠するため、付加価値税の申告・納付の期日は、月次申告の 場合は翌月 20 日、四半期申告の場合は翌月 30 日(2020 年7月1日以降は、四半期翌月の末日)です。法人税の予定納付は四半期翌月 30 日、確定申告は、会計年度終了後 90 日(2020 年7月1日以降は、会計年度終了日から3カ月目の末日)です。

<3>ハイブリッド方式

直接方式と申告方式の混成であるハイブリッド方式では、付加価値税は一般規定に準拠するため、申告・納付の期日は、月次申告の場合は翌月 20 日、四半期申告の場合は翌月 30 日(2020 年7月1日以降は、四半期翌月の末日)です。法人税は、直接方式に準拠するため、申告・ 納付の期日は、その発生日から 10 日、解約時は解約日から 45 日です。

以上


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