【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.57(2021年11月22日発行)

2022-01-10

【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.57 (2021 年 11 月 22 日発行)

【中越ビジネスマニュアル 第 57 回】

ベトナムの付加価値税について

ベトナムの付加価値税制度を解説します。

■ 1.付加価値税の概要

付加価値税(Value Added Tax:VAT)とは、生産や消費の流通過程において生じる付加価値に対して課される税金であり、ベトナム国内で販売・提供される物品・サービス、ならびに、外国からの輸 入貨物に対して課されます。
日本の消費税に近い税目であり、標準税率は 10%です。
計算方法は、控除方式と付加価値に基づく直接方式があり、申告・納付は、月次、もしくは、四半期ごととなっています。確定申告はありませ ん。

<1> 担税者および納税義務者

付加価値税は、日本の消費税と同じ間接税です。物品やサービスの購入時に税金を負担する者が、直接税金を納めないことから間接税と呼ばれ ます。税を負担する者が担税者、税を納める者が納税義務者です。納税義務者は、ベトナム国内法人・個人事業主、輸入を行う組織・個人のみ でなく、ベトナムで事業を行う外国法人・個人も含まれます(財務省通達・第 219/2013/TT-BTC 号・第 10 条)。

<2> 課税対象および非課税対象

付加価値税は、物やサービスの流通に課される税金ですので、ベトナム国内における売買および輸入貨物に対して課税されますが、非課税対象 物品・サービスも定められています(付加価値税法・第 13/2008/QH12 号・第5条、改正付加価値税法・第 31/2013 /QH13 号・第1条)。

  • 非課税対象物品・サービス 未加工の農林水産物、動植物の繁殖・交配による生産物、上下水道、土地開拓、農業用水路、農産品の収穫、製塩、土地所有権の移転、生命保 険、健康保険、学資保険、動植物保険、船舶・漁業設備保険、再保険、財務・金融・証券サービス、医療・獣医サービス、公的郵便・電話・イ ンターネットサービス、動物園・公園・街路樹・街路灯のメンテナンス、葬儀サービス、文化・芸術的建造物の維持・修理等、教育・職業訓 練、国家予算下における放送・放映、新聞・書籍等の出版・輸入、プロパガンダ用写真・横断幕の印刷、造幣、バス・電気自動車による公共交 通機関、国内生産されておらず科学研究・技術開発・石油採掘のために輸入が必要な機械・設備・部品、材料等、国防上必要な兵器、人道支 援・無償支援等のための輸入品、ベトナムを経由地とする運送品、一時的に輸出入された物品、輸出用製品製造・加工のための輸入原材料、外 国組織等と非関税地域・非関税地域間で売買される物品・サービス、技術・知的財産の移転、コンピューターソフトウェア、宝飾品等に加工さ れていない輸入金地金・金箔、未加工の輸出資源・鉱物、義肢、障害者用車いす等、年収 100 億ドン未満の個人事業主が提供する物品・サー ビス。

■ 2.付加価値税の税率

付加価値税の標準税率は 10%です。
また、以下の通り、0%、5%の軽減税率対象が定められており、それ以外の物品・サービスに対しては、10%の標準税率が適用されます (付加価値税法・第 13/2008/QH12 号・第8条、改正付加価値税法・第 31/2013/QH13 号・第1条)。

<1> 0%軽減税率対象

財貨・サービスの輸出、国際輸送、輸出する非課税対象物品・サービス。
ただし、以下の内容は、0%税率適用対象から除外されます。

  • 適用から除外される項目 技術・知的財産の国外移転、国外の再保険、金融サービス、資本譲渡、通信・郵便、未加工の輸出資源・鉱物。
<2> 5%軽減税率対象

製造・生活用水、肥料、肥料用鉱石、動植物用殺虫剤・成長促進剤、牛・家畜等飼料、農業用水路・溜池等の造成、作付け・害虫駆除、農産品 の半加工・保管、半加工のゴム・樹脂、漁網用の網・縄・繊維、生鮮食品、製糖、黄麻・竹・スゲ・籐・ヤシ・ウォーターヒヤシンス製品、農 産手芸品、半加工綿、新聞印刷用紙、農業用機械・設備、医療用機器、医療用ガーゼ・包帯、予防・治療薬、医薬品・原材料、黒板・チョー ク・定規・コンパス等の教材・学習道具、教育・研究・科学実験に用いられる器具、文化活動、展示、体育・スポーツ活動、芸術活動、映画製 作、映画輸入・配給、子供用ゲーム、書籍(新聞、学術書等を除く)、科学技術サービス、文化住宅の販売・リース・割賦販売。

■ 3.付加価値税の計算方法

付加価値税の計算方法には、控除方式と付加価値に基づく直接方式があります(付加価値税法・第 13/2008/QH12 号・第9条・第 10 条)。

<1> 控除方式

控除方式とは、付加価値税(VAT)インボイスに基づき、仮受(売上)VATから仮払(仕入)VATを控除して計算する方法を指します。
仮払(仕入)VATが仮受(売上)VATを上回る場合、その超過額は次回の申告期間に繰り越します。

<2> 直接方式

付加価値に基づく直接方式は、宝飾品(金、銀、宝石)の取引と、それ以外の取引とで計算方法が異なっています。
宝飾品は、売上から仕入を控除し税率を乗じて計算します。これに対し、それ以外の物品・サービスは、その内容に応じて、収益に対して1% から5%の税率を乗じて計算します(改正付加価値税法・第 31/2013/QH13 号・第1条)。
ただし、付加価値に基づく直接方式は、個人事業主等に適用される方式ですので、通常、企業は控除方式で計算を行う事になります。

■ 4.申告及び納付

付加価値税の申告・納付は、月次、もしくは、四半期で行います(財務省通達・第 156/2013/TT-BTC 号・第 11 条)。
設立初年度、および、前年度売上高が 500 億ドン以下の場合、四半期申告となります(財務省通達・第 151/2014/TT-BTC 号・ 第 15 条)。申告・納付の期日は、月次申告の場合は翌月 20 日、四半期申告の場合は翌月 30 日です(改正租税管理法・第 38/2019 /QH14 号の施行により、2020 年7月1日以降は、翌月 30 日から翌月末日に変更)。年次の確定申告はありません。

■ 5.付加価値税の還付制度

控除方式において仮払(仕入)VATが仮受(売上)VATを上回る場合、その超過額は次回の申告期間に繰り越すのが原則ですが、操業準備 中の新設企業、および、物品・サービスの輸出企業には、還付制度が設けられています(付加価値税法等の一部条項にかかわる改正法・第 106/2016/QH13・第1条)。
操業準備中の新設企業の場合、仮払(仕入)VAT超過額が3億ドン以上であれば年次での還付申請が可能です。ただし、資本金の拠出が十分 でない場合、条件付き投資分野において条件を十分に満たしていない、もしくは、維持していない場合、2016 年7月1日以降に認可された 天然資源・鉱物開発事業等の場合、還付申請は認められません。
輸出企業の場合、月次、もしくは、四半期の課税期間において、仮払(仕入)VAT超過額が3億ドン以上であれば還付申請が可能です。ただ し、税関法で規定された税関手続きを経ていない輸出はその対象外です。調査前還付制度も設けられており、税法または関税法への違反が2年 間ない製造業または輸出業者、および、租税管理法において規定される高リスク納税者でない企業がその対象となります。

■ 6.VATインボイス制度

控除方式が適用される事業者は、物品・サービスの販売・提供時にVATインボイスを発行しなければなりません。VATインボイスは、税務 局から購入し発行する、もしくは、自己印刷するかの二択でしたが(政令・第 89/2002/ND-CP・第5条)、2011 年1月1日か らは、電子インボイス(E―インボイス)の発行、注文印刷インボイスの購入・発行も認められ、段階的に税務局からの購入は廃止されました (政令・第 51/2010/ND-CP 号・第4条・第 33 条)。
さらに、2018 年 11 月1日からは、段階的に電子インボイスへの移行が図られており、2020 年 11 月1日からは、電子インボイスのみ での運用となります(政令・第 119/2018/ND-CP 号・第 36 条)。
なお、税務局から購入するVATインボイス、および注文印刷インボイスは、3部複写式になっており、購入者控えである2部目が朱色である ことから、レッドインボイスと呼ばれてきましたが、電子インボイスの導入に伴い、今後はレッドインボイスという呼称もなくなっていくもの と思われます。

以上


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