中国・ベトナムにおけるリースに対する課税・貨物代金決済期限について【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】 ダイジェスト版Vol.122

2026-07-16

【中越ビジネスマニュアル 第122回】

中国・ベトナムにおけるリースに対する課税について

中国・ベトナムのリースに対する課税について解説します。

1.中国

リース収入に対しては、企業所得税と増値税が課税されますが、課税方法は、以下の通りとなります。

(1)中国内でのリース

ファイナンスリースとオペレーティングリースで、課税方法は以下の通り違います。

1)ファイナンスリース

●企業所得税
リース会社は賃借人よりリース料を受領しますが、そのリース料収入が企業所得税の課税所得となります。

●増値税
ファイナンスリース、融資性セール・アンド・リースバック取引をした場合、取得した全ての代金・価格外費用から、支払金利・債券利息・車両交通税を控除した価格が課税対象となります(財税[2016]36号・付属文書2第1条(三)4)。

2)オペレーティングリース

●企業所得税
リース料収入が課税所得となります。

●増値税
オペレーティングリースの場合は、ファイナンスリースのような優遇(支払金利等の控除)が認められませんので、リース料全体に対して増値税が課税されます。

(2)クロスボーダーリース

1)ファイナンスリース

クロスボーダーのファイナンスリースは、外債に準じて扱われますので、総量規制(投注差・マクロプルーデンス)の対象となります。税務上は、以下の通り扱われます。

●企業所得税
「非居民企業所得税管理に関する若干の問題の公告(国家税務総局公告[2011]24号)」第4条により、リース料から設備代金を控除した金額に対して10%の源泉徴収課税が行われます。

●増値税
リース料全体に対して13%の増値税が課税されます。

2)オペレーティングリース

●企業所得税
リース料全体に対して10%の企業所得税が課税されます。

●増値税
リース料全体に対して13%の増値税が課税されます。

2.ベトナム

(1)ベトナム内でのリース

リース収入に対しては、法人税(CIT)・付加価値税(VAT)が以下の通り課税されます。

1)ファイナンスリース

●法人税
リース料収入が課税所得となります。

●付加価値税
ファイナンスリースは金融サービスとして扱われるため非課税となります。

2)オペレーティングリース

●法人税
リース料収入が課税所得となります。

●付加価値税
リース料全体に対して課税されます。

(2)クロスボーダーリース(外国契約者税)

1)ファイナンスリース

●法人税
海外法人に支払う利息相当額に対して5%が課税されます。

●付加価値税
クロスボーダー金融サービスとして扱われるため非課税となります。

2)オペレーティングリース

●法人税
リース料全体に対して5%が課税されます。

●付加価値税
リース料全体に対して5%(機械設備の場合)が課税されます。


中国・ベトナムにおける貨物代金決済期限について

貨物代金決済に際しての、前受け・前払い・ユーザンス規制について解説します。

1.中国

(1)前受け・前払い・ユーザンスの定義

貨物代金決済に際して、以下の取引は貨物代金決済管理システム(モニタリングシステム)上、インプットすることが義務付けられています。

●通関の30日超前に、貨物代金の一部・全額が支払われる場合

これは、輸出貨物代金前受け、および輸入貨物代金前払いを指します。

●通関の90日超後に、貨物代金の一部・全額が支払われる場合

これは、輸出・輸入ユーザンス取引を指します。

(2)総量管理

上記の取引に関するインプット残高は以下の範囲内に収める必要があり、これを超過すると外貨管理局の立ち入り検査を受ける可能性があります。この管理は個別取引に関するものではなく、直近12カ月の貨物代金決済金額とインプット額の総量で行われますので、少額取引や信用状(L/C)付き取引も例外とはなりません。

●残高比率は25%以内(注1)

●期間1年以上の取引の発生比率は10%以内(注2)

注1:

前受け・前払い・ユーザンス残高と、直近12カ月の貨物代金決済累計額の比率です。

輸出貨物代金前受けと輸出ユーザンスの場合は分母は輸出決済額、輸入貨物代金前払いと輸入ユーザンスの場合は分母は輸入貨物代金となります。

注2:

この基準では、残高ではなく発生額(取引額)が分子となります。ただし、同時に注1の残高管理も実施されます。

(3)輸出代金の回収期限

輸出ユーザンスに関しては、外貨管理上の規制だけではなく、増値税輸出還付が受けられる期限も考慮する必要があります。この基準は、2026年1月1日の増値税法施行に伴い制度が変更されました。

過去には、増値税輸出還付を受けるための輸出貨物代金入金期限の明確な規定はなく、所管税務機関の判断に委ねられていました。これが、「増値税と消費税の輸出業務政策に関する公告(財政部・税務総局公告2026年第11号)」第9条に、増値税輸出還付を受けるためには輸出申告日から36カ月以内に代金を受領する必要があることが規定されました(保税区経由の場合は、出境備案の日付より36カ月以内)。

2.ベトナム

ベトナムでは、前受け・前払い・輸出入ユーザンス取引に関して、中国のような包括的な外貨管理上のモニタリング規制や総量管理規制は設けられていません。

(1)前受け・前払い・ユーザンスの定義

前受け・前払い、ユーザンス取引に関して、中国のように30日超、90日超といった日数基準による定義づけはされていません。

(2)取引の管理

前受け・前払い・ユーザンス取引について、中国のような日数制限や残高管理規制は設けられておらず、契約当事者間の合意に基づき受払条件を設定することが可能です。

ただし実務上は、外国送金時に銀行から契約書、インボイス、通関書類等の提示を求められることが一般的であり、取引内容との整合性は確認されます。

(3)輸出代金の回収期限

ベトナムでは、輸出取引に係る付加価値税(VAT)還付について、還付申請を行わず翌期以降へ繰越処理を行うことも可能です。

また、VAT還付の適用に関し、中国のように「輸出申告日から36カ月以内に代金回収が必要」といった明確な法定回収期限は定められていません。

以上