中国・ベトナムにおける非貿易項目の対外送金に関する源泉徴収について【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】 ダイジェスト版Vol.121
2026-06-23【中越ビジネスマニュアル 第121回】
中国・ベトナムにおける非貿易項目の対外送金に関する源泉徴収について
中国・ベトナムから国外に対外送金をする際の源泉徴収課税について解説します。
1.中国
(1)貨物代金と非貿易項目
外国企業が中国に貨物を輸出し、輸入者である中国企業が貨物代金を対外決済する場合は、源泉徴収課税は行われません。
これは、貨物の輸入段階課税(関税・増値税、及び輸入品目によっては消費税も課税)は、輸入者(中国企業)を納税義務者とし、外国企業が負担すべきものではないこと、さらには(各国との租税条約にも規定されていますが)国際課税の原則として「物品売買益に対する企業所得税は、恒久的施設(PE)が無ければ、非居住者に対しては課税しない」ためです。
一方、非貿易項目の場合、PEが無くても所得源泉地は課税権を持っていますので、源泉徴収課税が実施されます。
(2)源泉徴収される税金
対外送金に際して源泉徴収されるのは、企業所得税・増値税の2種類です。
1)企業所得税率
10%の税率が適用されます(企業所得税法第4条・同法実施条例第91条)。
2)増値税
非居住者に対しては、一般納税人の税率で課税されます(増値税法第15条)。
非貿易項目に対する基本税率は6%ですが、リース料・加工補修役務に対しては13%、建築・不動産などに関しては9%の税率となります(増値税法第10条)。
なお、2010~21年には、城市建設税・教育費付加・地方教育費付加(増値税・消費税に対して課税される一種の付加税)が外国企業にも課税されていました。これが、21年9月1日の城市維持建設税法の施行により、教育費付加も含めて課税が行われなくなりました。
(3)源泉徴収される税金の負担者
源泉徴収される税額の負担者は、当事者間で決定できます。つまり、全額外国企業負担とすること(差引額を対外送金する)も、全額中国企業が負担すること(手取り保証契約のような形)も可能ですし、さらに税種ごとに取り決めることもできます。
なお、中国企業が負担した税金は、報酬として課税所得金額に加算する必要があります。
2.ベトナム
(1)貨物代金と非貿易項目
外国企業がベトナムに貨物を輸出し、輸入者であるベトナム企業が貨物代金を対外決済するに際しては、原則として、源泉徴収課税は行われません。
これは、(各国との租税条約にも規定されていますが)国際課税の原則として「物品売買益に対する法人税は、PEが無ければ、非居住者に対しては課税しない」ためです。ただし例外として、貨物の販売に付随してベトナム国内でのサービス提供が伴う場合などは、PEの有無にかかわらず源泉徴収課税が行われます。具体的には、FOB(本船渡し)条件であればベトナム国内輸送サービスを含まないため課税されませんが、ベトナム国内輸送を含むCIF(運賃・保険料込み)等の契約では課税となります。また、貨物の販売に付随して、据付、試運転、保守、保証サービスが含まれる場合なども課税となります。
貨物価格とサービス価格を明確に分離しておかないと、契約価格全体に課税されるため注意が必要です。
一方、非貿易項目の場合、PEが無くても所得源泉地は課税権を持っていますので、源泉徴収課税が実施されます。
(2)源泉徴収される税金
企業への対外送金に際して源泉徴収されるのは、原則として、法人税・付加価値税の2種類となります(例外として、税目以外の国庫に納付する料金などが別途生じることがあります)。
1)法人税率
サービスが付随する貨物販売1%、一般サービス5%、貸付への利息5%など、販売、サービス内容に応じて0.1~10%の税率が適用されます。
2)付加価値税
一般サービス5%、レストラン・ホテル・カジノの管理サービス5%、運輸サービス3%など、販売、サービス内容に応じて2~5%の税率が適用されます。
(3)源泉徴収される税金の負担者
外国契約者の負担が原則ですが、源泉徴収される税額の負担者は契約で決められます。つまり、全額外国企業負担とすること(差引額を対外送金する)も、全額ベトナム企業が負担すること(手取り保証契約のような形)も、税種ごとに取り決めることもできます。この際、ベトナム企業が負担した税金は、外国契約者への報酬として課税所得金額に加算する必要があります(いわゆるグロスアップ)。なお、ベトナム企業が負担した法人税は損金算入できませんが、付加価値税に関しては控除が可能です。
以上