中国・ベトナムにおける外資企業の売却(持ち分譲渡)について【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】 ダイジェスト版Vol.120
2026-05-19【中越ビジネスマニュアル 第120回】
中国・ベトナムにおける外資企業の売却(持ち分譲渡)について
外資企業を売却してエグジットする場合の手続き(持ち分譲渡手続き)を解説します。
1.中国
(1)持ち分譲渡手続き
外資企業の持ち分譲渡は、2020年1月の外商投資法施行により、手続きが簡素化されており、非ネガティブリスト外資企業の場合は、商務主管部門での手続きは不要。所管の市場監督局での営業許可証変更手続きを申請することになります(ネガティブリスト外資企業の場合は商務主管部門の許可手続きが必要です)。
(2)持ち分譲渡代金の決済
持ち分譲渡代金の決済は、当事者間で直接行い、外国企業間の売買であれば、資金が中国を経由する必要はありません。
一方、中国企業に売却する場合は、持ち分譲渡代金を中国から対外送金する必要があります。
過去には、対外送金に際しては外貨管理局での許可が必要でしたが、「直接投資に係る外貨管理政策のさらなる改善及び調整に関する通知(匯発[2012]59号)」により、これが免除されました。
上記(1)の市場監督局での営業許可変更情報を外貨管理局で登記(備案=届け出)すれば、その情報に基づき、対外送金が認められます。
ただし、非貿易項目の対外送金の一般ルールにより、送金額が5万米ドルを超過する場合、税務機関での登記(備案)が義務付けられ、この手続きが認められるのは譲渡益に対する納税申告手続き(3)後となります。
(3)譲渡益に対する課税
持ち分譲渡に際して譲渡益に対して10%の企業所得税課税が行われます(企業所得税法実施条例・第91条)。
譲渡益は譲渡額から出資額を控除した差額ですので、出資額以下で売却する場合は課税されません。
ただし、マイナスであっても税務申告手続きは必要となります。
2.ベトナム
(1)持ち分譲渡手続き
有限会社(ベトナムでの一般的な会社形態)の持ち分譲渡では、財務局(旧計画投資局)において、企業登記証の変更申請を行い(企業法・第30条)、その後、投資登記証の変更申請を行います(投資法・第33条)。
さらに、外国投資家は上記手続きの前段階として、以下のいずれかの要件に該当する場合、財務局での事前登録が求められます(投資法・第21条)。
1)外資条件付き投資分野で活動する企業への外国投資家の保有割合が増加する場合。
2)外国投資家・外資企業の保有割合が定款資本の50%超となる企業で、以下に該当する場合。
・外国投資家の保有割合が50%以下から50%を超えて増加する場合。
・50%を超えている外国投資家の保有割合がさらに増加する場合。
3)外国投資家が国防・治安維持に影響する区域の土地使用権を有する企業へ出資、持ち分取得を行う場合。
(2)持ち分譲渡代金の決済
持ち分譲渡代金は、ベトナム居住者間の譲渡もしくはベトナム非居住者間の譲渡の場合、現・新出資者間で直接決済しますが、ベトナム居住者と非居住者間の譲渡は、持ち分譲渡対象企業の資本口座を通じて決済します(中央銀行通達・第06/2019/TT-NHNN号)。
(3)譲渡額に対する課税
持ち分譲渡に際して譲渡額に対して2%の法人税課税が行われます。ただし、再編後もベトナム事業を直接的・間接的に所有する最終親会社に変更が無く、譲渡益が生じていない場合は対象外となります(法人税実施細則・政令第320/2025/ND-CP号・第12条)。