中国・ベトナムにおける外資企業の役職、株主総会・取締役会について【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.119
2026-04-13【中越ビジネスマニュアル 第119回】
中国・ベトナムにおける外資企業の役職について
中国・ベトナムの外資企業の役職に関し解説します。
1.中国
2024年7月1日施行の会社法(現行会社法)に基づく役職は以下の通りです。
(1)法定代表人
旧会社法・第3条では、董事長、総経理のいずれか(執行董事制を採用する場合は執行董事)を法定代表人にすると規定していました。
現行会社法(第10条)では、会社を代表して業務を執行する董事もしくは経理(総経理を意味する)と規定され、選択の範囲が広がっています。
なお、非居住者でも法定代表人は就任可能です。
(2)董事会と董事
有限会社が董事会を設置する場合、3名以上とする必要があり、従業員数300名以上の会社の場合、従業員代表を董事会メンバーに加える必要があります(第68条)。
会社規模が小さい場合(基本的には出資者が1名の場合)、董事会を設置せず、1名の董事に権限を集中させることもできます(第75条)。
このような1名董事は、旧会社法では執行董事と呼称されていましたが、この呼称は廃止されました。
董事も(董事長・副董事長・一般董事を問わず)非居住者就任可能です。
(3)総経理
総経理は董事会が任命・解任します(第74条)。
1名董事制の場合は、董事が総経理を兼務することもできます。
総経理はいわば現場監督なので居住者が原則ですが、非居住者の事例も多数あります。
(4)監事会と監事
監事会を設置する場合は3名以上であり、その3分の1以上を従業員代表とする必要があります(第76条)。
監事会を設置する場合は、会社法第68条の董事会構成員の従業員代表選任義務は免除されます。
監事も非居住者の就任は可能です。
2.ベトナム
21年1月1日施行の会社法(現行会社法)に基づく役職は以下の通りです。
(1)法定代表人
二人以上社員有限会社(出資者2人以上の有限会社)では、社員(出資者)総会会長もしくは社長の少なくとも1名は法定代表人であることが求められています(第54条)。
他方、一人社員有限会社(出資者1人の有限会社)において出資者が組織(法人)の場合、社員総会会長、会社会長もしくは社長の少なくとも1名は法定代表人であることが求められており(第79条)、出資者が個人の場合、会社会長、社長が会社組織であるため(第85条)、少なくともどちらかが法定代表人となります。
なお、非居住者でも法定代表人は就任可能ですが、少なくとも1名はベトナムに居住することが求められています(第12条)。
(2)社員総会と会社会長
二人以上社員有限会社が社員総会を設置する場合、構成員は出資者全員ですが、一人社員有限会社の場合、3~7名を選任します。
他方、一人社員有限会社において出資者が組織の場合、社員総会を設置せず、1名の会社会長に権限を集中させることもできます(第79条)。
また、一人社員有限会社において出資者が個人の場合、社員総会は設置されず、会社会長が意思決定を行います(第85条)。
(3)社員総会会長
二人以上社員有限会社では、会社所有者もしくは社員総会が社員総会会長を任命・選任します(第80条)。
社員総会会長は、会社の最高意思決定機関である社員総会の招集、議事運営を行います。
(4)社長
社長は社員総会または会社会長が任命・解任します(第82条)。
社員総会会長、社員総会構成員、会社会長が社長を兼務することもできます。
(5)監査役会と監査役
会社所有者が国営企業でない限り、監査役会、監査役の設置は任意となっています(第79条)。
3.中国とベトナムの役職の相関関係
上記1、2を踏まえて以下の通りとなります。
●法定代表人(中国)=法定代表人(ベトナム)
●董事会(中国)=社員総会(ベトナム)
●董事長(中国)=社員総会会長(ベトナム)
●一名董事(旧執行董事)・(中国)=会社会長(ベトナム)
●総経理(中国)=社長(ベトナム)
●監事(中国)=監査役(ベトナム)
中国・ベトナムにおける株主総会・取締役会について
株主総会・取締役会・監査役会について、中国とベトナムの制度を解説します。
1.中国
(1)株主総会(股東会)
会社の最高権力機構と位置付けられています(会社法・第58条)。
旧三資企業法時代は、中外合弁企業の最高意思決定機関は董事会。外資100%出資企業の場合は股東会(ただし、出資者が1名の場合は出資者)と決められていましたが、2020年1月1日に外資三法が廃止された結果、股東会に統合されました。
股東会は董事会が招集し(会社法・第63条)、出資者は各々の出資比率に応じて議決権を行使します(第65条)。
決議は過半数決議が原則ですが、「定款修正、増減資、合併・分割・解散・会社形態の変更」に関しては、例外的に3分の2以上の決議となります(第66条)。
(2)董事会
有限責任会社は、董事会の設置が義務付けられています(会社法・第67条)。
ただし、会社法・第75条には、規模が小さい・株主の数が少ない場合は、董事会を設置せず、董事1名に全権集約することが認められています。
この規模・出資者数についてご質問をいただくことが多いのですが、考えとしては出資者1名の非上場会社と考えてよいと思います。
これは、複数出資者がいる場合は董事を派遣しないことには抵抗があるはずであるためですが、もちろん複数出資者がいる場合でも、他の出資者が同意すればその限りではありません。
董事会は3名以上で構成し、かつ従業員が300名以上の場合は、例外(監査役会を設置し、そこに所定数の従業員代表を任命する場合)を除き、従業員代表を董事会メンバーに加えることが義務付けられています(会社法・第68条)。
従業員代表の任命は24年7月1日の会社法改定で義務付けられたものですので、この選定方法に関する質問をいただくことが多いです。
ただ会社法・第68条に「民主的選挙により選出する」と規定されていますので、経営者の任意での選定は認められない状況です。
2.ベトナム
(1)社員総会(出資者総会)
有限会社の最高意思決定機関と位置付けられています(会社法・第55条)。
社員総会は社員総会会長もしくは10%以上の出資比率を有する出資者が招集します(会社法・第56条・57条)。
二人以上社員(出資者二人以上)有限会社の出資者は、各々の出資比率に応じて議決権を行使します(第59条)。
一人社員(出資者1人)有限会社の場合、社員総会の各構成員の議決権が同等となります(第80条)。
二人以上社員有限会社の場合、決議は出席者持分の65%以上の賛成が原則ですが、一人社員有限会社の場合、出席者の過半数の賛成が原則です。
「高額資産(総資産の50%以上もしくは定款で定めるそれ以下の金額の資産)の売却(二人以上社員有限会社の場合)、定款修正、会社再編、解散(二人以上・一人社員有限会社共通)、定款資本の一部・全部の譲渡(一人社員有限会社の場合)」に関しては、例外的に、二人以上社員有限会社の場合、出席者持分の75%以上、一人社員有限会社の場合、出席者の75%以上の決議となります。
(2)取締役会
ベトナムでの一般的な法人形態である有限会社には取締役会の設置は求められていません。
中国に比べ、より簡素な枠組みとなっています。
(3)監査役・監査役会
21年以降、国営企業以外の有限会社は、監査役・監査役会の設置は任意となっています(会社法・第54条・79条)。
以上