中国・ベトナムにおける外資企業の国内拠点(支店・再投資子会社)について【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.117
2026-02-24【中越ビジネスマニュアル 第117回】
中国・ベトナムにおける外資企業の国内拠点(支店)について
中国・ベトナムに設立した外資企業の国内支店の開設について解説します。
1.中国
中国では、支店は分公司と呼称されます。
(1)分公司の種類
分公司は、(正規の用語ではないですが)概念的には営業活動を行う経営性分公司と、連絡活動のみを行う非経営性分公司に分かれます。
経営性分公司は、増値税の納税人登記を行い、発票(領収書)を発行することができます(収益が発生する)。つまり、分公司としての収益が発生するため、独立した会計記帳、税務申告が必要となります。一方、非経営性分公司は、増値税・企業所得税の納税単位とはならず、収益が発生しないため、分公司としての独立した会計処理は不要で、総公司の一組織として、経費を計上するのみとなります。
(2)経営範囲
かつては、分公司の経営範囲は総公司の範囲内と規定されていました(国家工商行政管理局令2015年第76号・廃止)。ただし、76号令が「市場主体登記管理条例施行細則」施行に伴い廃止されたため、この制限はなくなったと一般的に解釈されていますが、引き続き同様の管理を行う地域もあります。
なお、分公司の区分(経営性か非経営性か)は、かつては登記・営業許可証から判別できましたが、現在ではこのような判別ができません。非経営性分公司でも総公司の営業範囲をそのまま記載している場合もあります。
(3)税務上の扱い
経営性と非経営性の税務上の区分は以下の通りです。
1)経営性分公司
経営性分公司は、増値税・企業所得税の納税主体となります。また、分公司の従業員の雇用が発生するため、個人所得税・社会保険も分公司所在地で納付します。
2)非経営性分公司
非経営性分公司も雇用単位になれますので、個人所得税・社会保険は、分公司所在地で納付されます。ただし、増値税・企業所得税の納付単位にはなりません。
2.ベトナム
(1)支店の種類
支店は、本店とは独立した会計単位として財務諸表を作成する独立支店と、本店から独立した会計単位ではない従属支店に分かれます。独立支店は会計単位として独立していますので、独立した会計記帳、税務申告が要求されます。
一方、従属支店は法人税の納税単位とはならないため、支店単位の会計処理は要求されませんが(本店の一組織として、経費が計上されるのみ)、管轄税務局が異なる場合、事業税、個人所得税、付加価値税の申告が求められます。
(2)経営範囲
支店の経営範囲は本店の登記内容に限定されます。支店の経営範囲を広げたい場合、支店登記の前に、まずは本店の企業登記証(ERC)の変更通知(ただし、増資が必要な場合等は通知ではなく変更が求められる)および投資登記証(IRC)の変更が必要です。
(3)税務上の扱い
支店登記にて発行される支店活動登記証明書において、独立支店と従属支店との区分はありません。両者の区分は、税務登記上の区分となります。支店登記において、財務局に提出する支店活動登記通知書に会計処理方法のチェック欄がありますので、「独立」もしくは「従属」のどちらかにチェックマークを付けて選択します。
中国・ベトナムにおける外資企業の国内拠点(再投資子会社)について
中国・ベトナムに設立した外資企業の持分出資子会社の設立について解説します。
1.中国
(1)国内持分出資の原則
中国において、持分出資の営業許可を取得できる企業形態は、一部の例外を除き、投資性公司のみです。ただ、それ以外の会社形態であっても(経営範囲内容には含まれていなくても)持分出資は可能であり、多数の事例があります。
また、外資企業の持分出資に関しては、被出資会社が非ネガティブリスト業種であれば、内資企業同様、市場監督局での手続きで(商務主管部門での手続は不要で)持分出資ができます。
(2)持分出資の制限
中国内の外資企業(非投資性公司)の持分出資に関しては、過去には出資会社の資本金払い込み完了後対応可能であり、出資金額は自己資本の50%以内等の制限がありましたが、これは、「外商投資企業の審査・認可・登記管理の法律適用範囲に関する若干の問題に付いての執行意見を実施する事に関する通知(工商外企字[2006]第102号)」・「一部の規則及び規範性文書の改正に関する決定(商務部令2015年第2号)」により廃止されました。
(3)出資の原資
投資性公司以外の外資企業の出資は、経常項目口座内資金からの支払いに限定されており、資本性口座(資本金口座・借入金口座など)を原資とした出資は認められていませんでした。ただし、「資本項目外貨決済管理政策の改革と規範化に関する国家外貨管理局の通知(匯発[2016]16号)」・「クロスボーダー貿易・投資の一層の利便化の促進に関する通知(匯発[2019]28号)」・「クロスボーダー人民元政策の一層の改善による貿易・外国投資の安定化指示に関する通知(銀発[2020]330号)」により、資本金口座内資金を国内持分出資に使用することが認められました。
ただし、借入金口座・外債口座内資金の使用は、依然として禁止されています。
2.ベトナム
(1)国内持分出資の原則
外資企業は、投資禁止分野や外資規制分野を除き、持分出資が可能です。外資企業の国内持分出資根拠は、「企業法・第59/2020/QH14号・第17条」であり、手続きは以下の通りとなっています(投資法・第61/2020/QH14号・第23条)。
<国内持分出資の手続き>
●被出資会社が以下のいずれかに該当する場合は、被出資会社所管の財務局で投資登記証明書取得申請、企業登記証明書取得申請の順に手続きを行う。
(1)外資企業(外国投資家が定款資本の50%超を保有)が定款資本の50%超を保有する会社。
(2)外国投資家と外資企業(外国投資家が定款資本の50%超を保有)が定款資本の50%超を保有する会社。
●被出資会社が上記会社に該当しない場合は、投資登記証明書取得申請は不要であるため(内資企業と看做される)、被出資会社所管の財務局で企業登記証明書取得手続きのみを行う。
(2)持分出資の制限
企業法・第17条・第2項・3項には、企業設立の権利、企業への出資が認められない組織が定められていますが、当該規定に外国投資家と外資企業は含まれていません。
(3)出資の原資
中銀通達・第06/2019/TT-NHNN号・第6条2項には、資本口座を通じた支払い項目が列挙されていますが、持分出資に関する記載はありません。したがって、外資企業の出資は、通常決済用の経常口座を使用します。
以上