トップ  >  商事登記制度改革 掲載日 2014年9月4日

掲載日 2014年9月4日
商事登記制度改革

1.商事登記制度改革実施の経緯

2012年より、中国各地で商事登記制度改革が進められていましたが、「登録資本登記制度改革方案の通知(国発[2014]7号)」、「企業年度検査作業停止に関する通知(工商企字[2014]28号)」により、2014年3月1日より、本格的に全国的で施行される事となりました。

商事登記とは、商事主体(自然人、法人、その他の経済組織)の設立・変更・抹消事項に関する、商事登記機関(工商行政管理局)での登記を指し、商事登記制度改革とは、この様な登記制度・手続の合理化を指します。
商事登記制度改革の試行措置としては、深圳市での実施(2013年3月1日)が話題になりましたが(深圳経済特区商事登記の若干の規定)、その他の地域でも実施されています。
広東省では、仏山市順徳区(2012年4月:順徳区商事登記制度改革実施方案・試行)、東莞市(2012年12月:東莞市商事登記制度改革実施方案)、珠海市(2013年3月1日:珠海経済特区商事登記条例実施弁法)、広州市(2013年9月:商事登記制度改革試行の通告。全市での適用は2014年1月)等の地域で実施されていました。
また、広東省以外でも、厦門市(2014年1月:厦門経済特区商事登記条例)、長沙市(2014年1月:長沙市商事登記制度改革試行弁法)、その他の地域で実施されています。

2.商事登記制度改革の意義

商事登記制度改革の全国的な実施に関しての実務運用は、現時点では不明な点が多いため、試行地域の運用状況(主に、深圳市・広州市)を踏まえて、その意義を解説します。

1)営業許可証の簡略化
深圳市・広州市の営業許可証には、名称・企業類型・住所・法定代表者・設立年月日のみが記載されるようになり、従来、記載されていた経営範囲、登録資本金、払込資本金などの項目は、記載不要となっています。
但し、深圳市の営業許可証には、経営範囲が全く記載されないのに対して、広州市の場合は、主要営業項目の付記という形で記載されるなど、地域による運用の違いがみられます。
とはいえ、広州の場合でも、記載内容(工商行政管理局での登記内容も同じ)は、従来に比べて大幅に簡略化されています。
国際貨運代理会社を例にとると、従来は、「国際陸運代理業務、国内貨運代理業務、通関・検査業務、倉庫保管役務、及び、物流運送コンサルティング役務」というように、営業項目が詳細に記載・登記されていましたが、商事登記制度改革実施後は、「国際貨運代理」のみとなります。

2)資本金設定・払込み
「登録資本登記制度改革方案の通知(国発[2014]7号)」では、「出資額、出資時期、出資方法などに付いて、出資者が自由に取り決める事」を認めています(2014年3月1日施行の改正会社法にも同じ内容が織り込まれています)。 また、会社設立登記時には、登録資本金のみを登記する事となり(払込資本金の登記は不要)、検資報告書の提示も不要とされています。
尚、資本金の払い込み状況は、商事登記機関(工商行政管理局)に備案が必要となり、当該法人が、備案内容の真実性に責任を負う事となります。

これにより、内資企業に付いては、資本金額・資本金払込み期限等が自由化されました。
また、外資企業に付いても、「一部の行政法規に関する廃止と修正の国務院決定」により、国発[2014]7号と一致しない、三資企業法(外資企業法・中外合資企業法・中外合作企業法)の内容が修正されましたので、払込期限、現物出資比率、出資方法等に関する自由化は実現しました。

なお、総投資と資本金の比率については、従来からの根拠規定である工商企字[1987]38号とその他の現行規定に従う必要がありますので、現時点では変更はありません。

3)年度検査の廃止(年度報告への変更)
商事登記制度により、年次検査が不要となり、年次報告制度が採用されます。
これにより、複数の政府機関で年次審査を受ける必要はなくなり、工商行政管理局に対して、インターネットで「登記・備案を要する事項(定款、経営範囲、董事・監事、高級管理者氏名、分公司登記状況、再投資子会社状況、定款、会社住所、その他)、資本金払込み状況、年度貸借対照表・損益計算書」を報告すればよくなっています。
尚、年度報告を提出しない場合や登記された住所に連絡ができない場合等は、当該企業の記録は、厳重違法企業リスト(ブラックリスト)に掲載されます。
ブラックリストに登録されてから3年未満の期間に、正常な状況となった場合、工商行政管理局に正常企業への登記変更を申請する事ができますが、3年経過しても改善されない場合は、永久にブラックリストに掲載される事になります。 因みに、改善期間は、深圳市の場合は5年、広州の場合は2年と、地域によるバラつきがありましたが、今後は3年に統一されるものと思われます。

4)オフィス登記
商事登記制度改革により、企業住所(経営場所)の登記手続が簡略化され、合法的な使用証明を提示すれば、法人登記が可能となります。
経営場所の具体的条件に付いては、各地方政府が、実態に応じて法整備をする事が予定されています。
また、法律には織り込まれていませんが、深圳市・広州市では、1部屋(正しくは、物理的な部屋ではなく権利証の発行単位を指しますが、便宜的に1部屋と記載します)当たり、2組織の登録が認められる(一址多照)、同一区内の分枝機構開設は登記が免除される(一照多址)という規制緩和が実施されています。

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