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掲載日:2008年9月3日
非居住者である董事・高級職員の個人所得税における扱いについて(個人所得税)

取締役報酬の課税権は、租税条約上、賃金給与の判定方法(183日ルール)とは違った方法が適用されます。
ここでは、中国非居住者が、中国の会社の董事・高級職員を務める場合の個人所得税の扱いに付いて解説します。

  1. 中国非居住者が兼務する高級職員の扱い
    日本の居住者が、中国の現地法人の董事を兼務する事は少なくありません。
    この様な董事の報酬については、租税条約上、滞在地・給与の支払い場所を問わず、中国に一義的な課税権が認められています。
    これは、役員の提供する役務が、会社経営であるという性格上、必ずしも所在地と役務提供地が一致しない事を考慮し、給与所得とは異なるルールを適用しているものです。
    但し、従来の国内法では、董事だけでなく、高級職員(総経理・副総経理・総会計士・総工程士・総監査人及びこれらに準じる会社の管理人員)についても、中国に一義的な課税権を認めていた為、租税条約と齟齬が生じる向きがありました。
    2004年に公布された「中国内に住所のない個人に対して租税協定及び個人所得税法を施行するにあたっての若干の問題に関する通知」では、中国が諸国と締結した租税条約の役員条項に、高級管理職員を含むと明確に述べていない場合、高級職員の扱いは、一般職員に準じて取り扱う事が規定され、調整が行われています。日中租税条約もこれに該当します。
    つまり、日本居住者が兼務する、中国法人の高級職員の場合は、中国滞在日数(183日ルール)、中国機構が負担する給与の有無に基づいて、中国での納税義務を判定する事となります。
  2. 実務運用上問題が生じる余地がある点
    日本居住者が兼務する、中国の法人・機構の董事・高級経理の納税義務の判定に当たっては、以下の様な実務上の問題が考えられます。
    1. 上記通知に規定される実質判定
      上記通知では、高級職員が董事を兼務している場合や、形式的には兼務していないものの、実質的には董事としての権限を有していると認められる場合は、高級職員給与の名目で支払われた報酬についても役員報酬に準じた扱いを行う事が規定されており、この判定に困難が生じ、税務局との間で納税義務の判定に解釈の相違がでる可能性があります。
    2. 使用人兼務役員
      日本居住者が中国法人の董事のみを勤めている場合は解釈に問題が生じる余地はありませんが、日本法人に対しても役務提供を行っている場合(役員・それ以外の任務に付いている場合)、中国法人の董事以外の任に付いている場合等は、提供する役務の配分と、取得する報酬の紐付けに、実務上の困難が生じます。
    3. 在中出張所(常駐代表所)の総経理の扱い
      日本の居住者が、中国にある出張所(日本法人の在中常駐代表所)の首席代表等の登記を行っている場合、給与が日本で支払われ、中国滞在日数が暦年183日以内の場合でも、原則として、中国で個人所得税の納税義務が生じます。
      これは、中国の機構が、法人税を納税していない、若しくは、見做し利益方式で納税している場合、当該機構に帰属する非居住者の給与は、当該機構が負担していると見做され、以下の算式に基づいて個人所得税を計算する事が要請される為です。
      納税額 =
                            当月中国内労働日数
      (当月の給与総額 x 適用税率?速算控除額) x ----------------------------
                             当 月 日 数
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