Q 発票基準から発生基準への変更は可能ですか?



中国の会計規則(企業会計制度・企業会計準則)には、収益の認識は、「契約の締結・所有権と付随するリスクの移転」、「収入とコストの適切な計測」という条件を満たした段階と定めています。つまり、発生基準での収益認識を規定したものです。

そうであるにも拘わらず、俗に、発票基準と呼ばれる会計処理が一般的に採用されているのはなぜでしょうか。


1.増値税暫定条例の規定

発票というのは、増値税インボイスを指しますが、増値税の根拠となる増値税暫定条例は、物品売買の納税義務発生時期を、以下の通り規定しています。

● 販売代金の受領、または販売代金請求書を取得した当日。

但し、先に発票を発行する場合、発票発行の当日。


つまり、ユーザンス取引を例にとれば、会計上は、商品引き渡し時点で売上を計上し、支払時点で増値税の納税をするのが、制度上は正しい処理方法ですが、実際には、この方法が、税務機関に求められません。この理由は、毎月提出する増値税申告表において、税務機関が、売上・売掛金の計上と、増値税納税額の一致を要求するためです。


2.ユーザンス取引における実務対応

上記1の問題を解消する方法として、実務上は、以下の方法が採られています。

前提:売上金額1,000 増値税130 

引渡し時期10月 支払時期12月


1)引き渡し時(10月)の処理

売掛金 1,130 | 売上 1,000

         未払税金(未開票収入)130

 

2)回収期限(12月)の処理

 売掛金 ▲
1,130 | 売上 ▲ 1,000

           未払税金(未開票収入)▲130


売掛金 1,130 | 売上 1,000

         未払税金(開票収入)130


この処理の意義は、増値税申告表に、「未開票収入」の項目があるため、引き渡し時(10月)には、発票を発行しない状態で増値税を納税し、未開票収入の欄に売上高と増値税額を記載。その後、本来の回収期限(12月)に、10月の逆仕訳を入れてキャンセルし(増値税申告表にもマイナス記載)、正規の計上を改めて行うというものです。

この方法により、発票は回収期限に発行するものの、売上計上時に納税を行う事ができる事になります。


ただ、未開票収入項目を使用した場合、状況説明書の提出が求められる税務局があります(上海を例にとれば、徐家?税務局は不要だが、外高橋税務局は提出必要など)。

また、稀の使用(年1~2回程度)は可能ながら、頻繁に使用する事は認められません。

つまり、この方法は、例外的な処理としてのみ認められ、常時、使用する事は認められていないのが現状です。

勿論、個別税務機関の対応次第ですが、この様な理由で、依然として、発票基準を採用せざるを得ない状況が生じている訳です。