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【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.72

【INDEX】

【中国ビジネス・トレンド】
外資企業設立・登記内容変更の備案制移行

【水野真澄セミナー情報】
MCHグループ主催 ベトナムビジネスセミナー

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【中国ビジネス・トレンド】

外資企業設立・登記内容変更の備案制移行

2016年10月1日に三資企業法の改定が実施され、外資企業の設立、登記変更手続の規制緩和が実施されました。
これは、一定の外資企業に対して、従前の商務主管部門での許可取得を廃止し、オンラインでの報告のみとするものです(ネガティブリスト管理・備案管理への移行)。
今回の規制緩和が実務に与える影響を解説します。

1.三資企業法の改定と届出制への移行

三資企業法(外資企業法・中外合資企業法・中外合作企業法)が2016年10月1日に改定され、同日、「外商投資企業設立・変更備案管理暫定弁法(商務部令2016年第3号)、以下、備案管理弁法」が施行されました。

三資企業法の改定は非常に簡単なもので、従前の内容に、「参入特別管理措置に該当しない場合、設立・登記変更・経営期限の変更に付いては、審査許可事項を届出管理に移行する」という内容が追加されたものです。

制度変更(規制緩和措置)の対象となるのは、「発展改革委員会・商務部公告2016年第22号」に、外商投資産業指導目録(2015年改定)の制限類・禁 止類、及び、奨励類で出資比率・高級役員に規制が無いものと規定されています。つまり。奨励類・許可類で、特段の出資比率制限や、高級管理職に関する要求 (外国人の就任制限等)がない場合、設立や登記変更に関して商務主管部門の許可審査は不要となり、備案(届出)手続で対応できる事になりました。

2.備案手続

備案の手続ですが、設立に付いては、備案管理弁法第5条に、「営業許可発給前、若しくは、発給後30日以内にオンラインで届出を行う」事が規定されています。
また、合併・分割・出資比率変更・増減資・経営期限の変更等の登記変更事項に付いては、同第6条に、「変更が生じた後、30日以内にオンラインで届出を行 う事」が規定されています。つまり、従前は、商務主管部門に事前許可申請をしなくてはならなかったものが、事後のオンライン報告のみで対応できるようにな りました。

3.実務面での影響

今回の制度変更で、奨励分類・許可分類の大部分に付いて、商務主管部門の許可取得が不要となり、備案制に変更されます。備案制の意義 は、提出書類に相違が無ければ審査不要で受理されるというものですが、非貿易項目の送金(税務機関での備案)や、技術輸入(商務主管部門での備案)等の様 に、備案時に審査が行われ、許可審査と実質的な状況が変わっていない事例も有ります。よって、今回の制度変更も、今後の実務状況を確認する必要があります し、対象となる行為(設立、合併・分割、増減資等)によっても、規制緩和の影響は異なると思われます。

この様に、現段階では不透明な部分が有り、筆者の私見に基づく面もありますが、各種の登記業務に関する制度変更の影響を解説します。
尚、ネガティブリスト管理・備案管理制度は、自由貿易試験区で先行して試行されていますので、その運用状況も参考にしています。

1)外資企業の設立
ネガティブリスト以外の外資企業を設立する場合、工商行政管理局での社名登録後に、直接(同じく工商行政管理局で)営業許可証の取得手続ができるようになりました。
商務主管部門での手続(オンラインでの備案)は、その間、若しくは、営業許可証取得後30日以内に行えばよくなりますので、理論的には、商務主管部門が行政指導を行うステップが無くなり、実質的な規制緩和につながる可能性は高いと思われます。
勿論、従前より審査が不要で、直接、法人登記を行う事ができた内資企業でも、工商行政管理局より10万元程度の資本金を指導される事例が少なくありませんでした。
この様な指導が、社名登記時に実施される可能性は有りますが、外資であるがゆえのより高額な資本金要求は少なくなると思われます。

上海自由貿易試験区にヒアリングしましたが、外資企業に対する資本金額の行政指導はしないと回答していますし、今までの当社の経験でも、常識的な金額を設定した場合、行政指導を受けていません(10万元未満の案件については、対応経験がない状況です)。
2014年の会社法改定で最低資本金制限が撤廃され、商務部令2015年第2号等で、業法の最低資本金制限の撤廃が進む状況の中で、今回の制度変更により、資本金規制の実質的な緩和が進む事が期待されます。
また、商務主管部門の審査が免除された事で、申請書類の中で、一番手間がかかるフィージビリティスタディ(可行性研究報告)の作成が不要となる点は、業務の合理化に役立ちます。
因みに、商務主管部門での備案のタイミングに付いて、上海市内の工商行政管理局(浦東新区・自由貿易試験区・徐匯区・黄浦区・長寧区)にヒアリングしまし たが、共通して、「設立に関しては、営業許可発給前の商務主管部門での備案を行う事を推薦する」との回答ではありました。

では、今回の制度変更により、どの程度の設立期間が短縮されるのか、という点ですが、奨励分類・許可分類の非生産型外資企業設立(販売 会社等)の場合、全行程は4ヶ月程度、その内、商務主管部門の審査に要する時間は3~4週間程度という状況です。この部分が短縮されますので、1ヶ月程度 の所要期間短縮が期待できます。
ただ、それ以外の登記(税務、税関、外貨、その他)に付いては、従来と同様ですので、この部分の短縮は期待できません。

2)増減資
増資に付いては、従前より認可取得に問題が生じる事はまずなかったので、難易度の面では変わりませんが、商務主管部門の認可取得に要する手間と時間の簡略化は確実に実施されると思われます。

一方、減資に付いては、従前は、有償・無償を問わず、商務主管部門の許可取得が極めて難しい状況でした(財務状況不十分な状況下の減資は原則不可であるため、無償減資の方が、より実行困難)。
これが、資本金額の変更後に商務主管部門に報告すれば良くなるため、減資の対応可能性が高まる事が予想されます。ただ、この点に付いては、今後の実務運用状況を確認する必要があります。

3)区外への住所移転
従前より、区を跨ぐ移転は対応困難(市を跨ぐ移転は原則不可)でしたが、この理由は税務機関の対応によるものでした。
税務所管は区単位ですので、所管を跨ぐ移転を行う場合、移転前の区で税務調査を受け、税務登記を抹消した上で、移転先で新規の税務登記を行う必要が有りま す。新規の税務登記は数日で終了するのですが、問題は課税権を喪失する移転元の税務機関での登記抹消申請受理・税務調査・抹消という手続で、これが受理さ れない、若しくは長引くと、移転できない、発票が起票できない空白期間が長期に渡り発生する、という事態が生じます。
よって、今回の制度変更は、税務機関の手続変更を伴いませんので、住所移転には規制緩和が期待できないと思われます。

4)撤退
中国の会社清算手続は1年以上の時間を要するもので、難易度が高い業務の一つです。ただ、撤退に関しても商務主管部門の許可は従前より1ヶ月程度で取得でき、この段階で問題が生じる事例はあまり多くありませんでした。
実務上の困難が発生するのは、労務、税務、税関対応等であり、この点は、今後も同様と思われます。

5)合併・分割
合併・分割は、商務主管部門の許可取得が相対的に難しい分野でしたので、この点は、規制緩和の恩恵が期待できます。
但し、合併・分割は、組織再編場多くの検討点が有りますので(特に、税務、税関対応)、この点に付いて慎重な対応が必要となる事は、今後も変わりません。

以上 


 【水野真澄セミナー情報】

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