珠江デルタ式来料加工から現地法人への組織変更

1.転換の理由

  • 国内販売(人民元取引)の開始
  • 国内調達比率の引き上げ
  • 労働許可の取得と個人所得税の徴税管理
  • 来料加工に関わる課税面での強化
  • 乱収費の回避と透明性の向上
  • 香港の会社に対する日本のタックスヘイブン対策課税の動き

2.形態変更の手続のポイントと注意点

(1)来料加工契約の終了条件
来料加工契約に、撤退条件が取り決められているか。
来料加工契約終了時の、償提供設備(中国語:不作価設備)の返却義務や、中国企業が有償で取得した設備の所有権の帰属が明記されているか。

(2)関係機関との交渉・許可の取得
来料加工契約の終了と外商投資企業の新設に関しては、対外経済貿易部門・税関を始めとする、関係機関の認可が必要となる。

(3)来料加工工場と新設法人が並存する場合
工場の場所、管理部門人員の兼務に関しては注意の必要有り。

(4)無償提供設備の扱い
以下の選択肢がある。

  • 国外に返却後、中国に再輸入し、新設の現地法人に対して現物出資・売却する。
  • 中国で税関の許可を受けた上で、新設の現地法人に売却する。
    当該設備が、税関の監督管理期間(5年)を経過していない場合は、税関の売却許可を取得した場合でも、関税・増値税を納税した上で売却する必要有り(但し、減価償却後の価格をベースとする)。

(5)中古設備輸入手続
来料加工の無償提供設備を、税関の許可を経て国内で継続使用する場合でも、若しくは、国外に返送して、中国に再輸出する場合でも、中古設備輸入の手続を行う必要がある。

(6)不動産の移管
通常の来料加工の場合は、取引内容が、中国企業に対する純粋な加工委託である為、来料加工契約の終了に際して、原則としては不動産(土地使用権・建物)の移管という問題は生じない。
但し、珠江デルタ式来料加工の場合は、来料加工工場が、実質的には外国企業の管理されるSPCである為、来料加工終了に際して、不動産の移管を始めとする資産の処分を検討する必要が生じる。
珠江デルタ式来料加工工場の不動産は、通常は賃貸借形式であるが、加工委託者(香港法人)が、不動産を保有し、無償貸与している場合も有る。
⇒ この様な場合は、対応が少々難しい。

<対応の選択肢>
(1) 新設現地法人に、不動産を保有している外国企業が賃貸する
(対外送金手続)
賃貸契約書を国土資源局に登記⇒登記証と納税証明書(企業所得税10%・営業税5%の源泉徴収)を銀行に提示⇒送金
(注意点)
・制度的には送金可能ながら、金額が高額な場合や、地方の銀行・外貨管理局が制度に不案内な場合など、送金が認められない事がある。
・元々保有している土地が、国土資源局に登記されていない場合は、賃貸・譲渡代金の対外送金が認められない。

(2) 新設現地法人に、不動産を現物出資する

(3) 第三者、若しくは新設現地法人に不動産を売却する

現物出資、売却の場合の課税は以下の通り。

中国での課税

1)契税(購入者負担)
不動産の名義変更に伴う税金で、譲渡額の1.5?6%(地方により異なる)。

2)営業税(販売者負担)
譲渡額に対して、5%が課税される。
⇒ 但し、営業税に関する若干の政策問題の通知(財政部・国家税務総局:財税[2003]16号)により、現時点では、営業税の課税対象額は「販売収入?不動産取得原価」に減免されている。
★ 現物出資の場合は免除。

3)企業所得税(販売者負担)
不動産の購入額と譲渡額の差額に対して課税される。
非居住者の場合は、譲渡益に対して10%が源泉徴収される。

4)土地増値税(販売者負担)
不動産の購入額と譲渡益(値上がり益)に対して課税される。
値上がり益に対して、30?60%の超過累進課税。

(7)従業員の移管
(珠江デルタ式)来料加工工場の従業員を、外商投資企業に移管する場合は、一旦、来料加工工場との間の雇用契約を解除し、外商投資企業で再雇用する必要がある。

  • 雇用者側の都合による解雇の場合、労働法に基づけば、30日以上前の事前通義務有り。
  • その他、経済補償金の支払が義務

(8)備品等の移管
来料加工工場の、非保税物品(動産)は、中国内で販売可能。
物品の販売に際しては、増値税が課税されるが、自己使用した物品の販売に付いては、以下の通りの扱いになる(財税[2002]29号:中古品及び車両等に関する増値税政策の通知)。

車両・運搬具以外の中古資産の売却
納税者が車両運搬具以外の中古資産を売却した場合は、一般納税義務者・小規模納税義務者の区別無く、4%の税率に基づき半減した上で(つまり、2%の税率)で増値税を徴収。

車両・運搬具の売却
自己使用の中古自動車・バイク・ヨット(消費税の課税対象となるもの)を売却する場合は、以下の通り増値税の課税が行われる。

  • 自己使用の中古車両・運搬具の売却に付いては、販売価格が購入価格を超過する場合は、2%(4%の税率に基づき半減)の税率で増値税が課税される。
    販売価格が購入価額以内となるものに付いては、増値税の課税が免除される。
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