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執筆日:2015年12月12日

保税・免税輸入設備の中国外への再輸出

加工貿易企業が保税形態で輸入する設備(無償提供設備)、奨励分類外資企業が免税輸入した設備を、再度、中国外に輸出する場合の注意点は以下の通りとなる。

1.保税輸入設備(無償提供設備)

① 輸入段階
加工貿易企業の無償提供設備の根拠法は、「加工貿易において輸入する設備に関する通知(税関総署・対外貿易経済合作部[1998]外経貿政発383号)」となる。
無償提供設備は、従前は、関税・増値税共に保税措置の適用が受けられたが、2009年1月1日に増値税の免税措置が打ち切られ(財政部・税関総署・国家税務総局公告2008年第43号)、現在では、関税の保税措置適用が受けられる。

増値税の免税措置打ち切りの理由は、2009年1月1日の増値税暫定条例改定により、設備機械購入時に支払った増値税の控除・還付が受けられるようになった事によるもの。
但し、無償提供設備の輸入段階課税に付いては、本来、設備の所有権者である外国企業が負担すべき税金という理由で、加工貿易企業側で還付・控除が受けられず、原価処理する必要が生じている。

② 監督解除
無償提供設備には5年間の監督解除期間が設定されている。
この期間を経過すれば、所管税関に監督解除(税関リストからの削除)を申請する事ができるが、税関によって対応方法が異なるため、個別確認が必要となる。
<監督解除>
無償提供設備の監督解除は、原則として企業の申請に基づく(5年経過しても、自動的に監督解除される訳ではない)。
これは、無償提供設備の監督解除は機電輸入許可取得手続・所有権者の変更を伴うため(監督解除に際して、外国企業から加工貿易企業への設備の無償譲渡という処理を税関が行う)、免税輸入設備とは異なり自動解除が行われないもの。
但し、監督期間を満了した時点で速やかに監督解除申請を行うよう税関が指示する地域、監督解除に際して、自社工場での使用に限定という条件が付く地域等があるため、実務対応を所管税関で確認する必要が有る。

尚、「税関総署公告2001年第16号」・第3条には、監督期間を満了した設備は国外に積み戻すのが原則であり、そうしない場合は輸入手続を採るべき事が規定されているが、実際には5年経過した段階で再輸出する事例は極めて少ない。

<納税>
無償提供設備の監督解除時に、輸入から5年(監督期間)が経過していれば、輸入段階で課税留保された関税・増値税の追納は不要です。
未経過の場合は、未経過期間に対して月単位で関税・増値税を納付する必要が有る。

③ 再輸出
無償提供設備を再輸出する場合、監督解除済みか否かで手続が異なる。

1)監督解除されていない場合
監督解除されていない場合は、国外に無償で積み戻す事ができる。
輸出に当たり、関税・増値税の課税を受ける事はない。

2)監督解除されている場合
監督解除の一義的な意義は、税関リスト(処分制限リスト)からの削除であり、設備の所有権に本質的な変更を与えるものではない筈だが、実務上、監督解除は輸入手続を伴う(監督解除時に加工貿易企業が機電輸入許可を取得し、輸入手続きを行う)事から、この段階で「外国企業から中国企業(加工貿易企業)に対して設備の無償譲渡が行われた」と見なした税関処理が行われる。
結果として、監督解除済の無償提供設備は、外国企業に対する返却ができず、一般貿易形態での輸出が必要(税関許可が必要。また、適切な輸出貨物代金の設定が必要となる)。
尚、一般貿易形態の輸出に関しては、増値税の免税措置が適用され、輸出に際しての課税は無いが、輸出還付も受けられない(無償提供設備の輸入段階で課税される増値税は還付・控除が認められないため)。


2.免税設備(奨励類外資企業の免税輸入設備等)

① 輸入段階
奨励分類外資企業が総投資の範囲内で輸入する自己使用設備は、「国務院の輸入設備税収政策を調整する事に関する通知(国発[1997]37号)」に基づき免税輸入が可能となる。
従前は、関税・増値税双方の免除措置が適用されていたが、2009年1月1日より増値税の免税措置は打ち切られたため(財政部・税関総署・国家税務総局公告2008年第43号)、現在では関税のみが免税対象となる。
奨励分類企業の免税輸入に関しては、(無償提供設備とは異なり)輸入者である外資企業が所有権を有するため、輸入段階で課税された増値税は還付・控除が認められる(一般納税義務者である事が前提)。

② 監督解除
免税設備の監督期間は無償提供設備と同様5年。
無償提供設備とは異なり、免税輸入設備の場合は、5年経過すれば自動的に監督解除が行われる(税関総署令2009年179号)。
⇒ 奨励分類企業の免税輸入の場合は、既に、所有権移転・輸入手続が完了している為、監督期間満了により、自動的に監督解除が行われる。

③ 再輸出
免税輸入設備を再輸出する方法には、「監督解除後の設備を一般貿易形態で輸出する場合」と「免税状態のまま積戻す(退運)方法」の2種類がある。
双方、輸出=売却行為になるため、適切な輸出代金を設定する事が義務付けられる。

1)一般貿易形態(監督解除後の再輸出)
この方法で再輸出を行う場合、5年未経過の設備の場合は、税関に監督解除申請をし、関税・増値税を追納した上で輸出許可を申請する。許可取得後、検験検疫局に消毒申請をした上で輸出する事になる。
輸出に際しては免税措置が適用される(5年未経過の状態で監督解除した場合、支払った増値税の輸出還付は受けられない)。
⇒ 「中古設備輸出増値税還付(免税)暫定弁法(国税発[2008]16号)に、免税輸入設備を再輸出した場合、増値税の輸出還付は受けられない事が明記されている。

2)積戻し
免税措置を継続のまま再輸出する方法であり、監督期間中の再輸出でも輸入段階課税の追納は不要。
但し、手続が規範化されておらず、所管税関や関連政府機関(商務主管部門等)の運用に委ねられる面が有る点、注意を要する。起こり得る問題は、以下の通り。
● 当該設備が現物出資されたものである場合、減資要求を受ける場合がある(外資企業
の減資許可取得は極めて困難)。
● 輸入価格と同額で再輸出する事を要求される場合が有る。

この形態の再輸出に付いても、増値税の免税措置が適用される。
⇒ 関税も増値税も課税されないまま再輸出される(増値税の還付もない)。
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