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非居住者に対する課税強化方針の決定と、請負工事・長期役務提供に対する影響

文件:非居住者の税収管理を一層強化する作業の通知
国家税務総局(国税発[2009]32号)
公布:2009年3月9日・施行:2009年3月9日
http://www.chinatax.gov.cn/n8136506/n8136593/n8137537/n8138502/8926960.html

文件:非居住者の請負工事と役務提供の税収管理暫定弁法
国家税務総局令2009年第19号
公布:2009年1月20日・施行:2009年3月1日
http://www.chinatax.gov.cn/n8136506/n8136593/n8137537/n8138502/8845149.html

文件:非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法
国家税務総局(国税発[2009]3号)
公布:2009年1月9日・施行:2009年1月1日
http://www.chinatax.gov.cn/n8136506/n8136593/n8137537/n8138502/8837102.html

非居住者に対する徴税管理の強化が明確に打ち出されています。
2009年3月9日に公布された、「非居住者の税収管理を一層許可する作業の通知」には、「2009年を、非居住者に対する独立した申告・徴税制度を確立する年度にする」、という方向性が明記されています。
また、これに先立ち公布されている、「非居住者の請負工事と役務提供の税収管理暫定弁法」、「非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法」には、非居住者に対する徴税管理強化の具体的な内容が、以下の通り記載されています。

1. 非居住者が受領する投資所得・譲渡所得・使用料所得(国税発[2009]3号)

当該通知は、中国内を源泉とする「配当等の投資収益、賃貸所得、特許権・使用料の技術の譲渡(貸与)に関する所得、財産譲渡所得、その他」を対象としています(第3条)。
この様な取引・行為に関する契約を結んだ場合、納税義務者は、契約に対する書名から30日以内に、税務所管部門に対して、源泉納付登記をする事が義務付けられています(第4条)。
契約の修正、補充、延長も、同様に30日以内の登記が義務付けられています(第5条)。
また、源泉徴収義務者は、毎回の支払時に、税額を控除・代理納付する事が義務付けられています(第7条)。
⇒ 匯発[2008]64号(US$ 3万/回以上の対外送金を行う際に、税務局に対する事前審査を義務付ける通知)の公布と同時に、匯発[1999]372号(非居住者に対する非貿易項目の対外送金時に、銀行に対して源泉徴収証明の提示を義務付ける通知)が廃止されましたので、匯発[2008]64号の位置づけは、規制強化と緩和の両面を併せ持つ、という解説を行いましたが(会報第13回)、今回の通知(国税発[2009]3号)の施行により、紛れもなく、規制強化の方向性が明確になりました。

尚、源泉徴収義務者が、源泉徴収・代理納税を行わない場合、所得を受領する非居住者が、所管税務局で申告納税を行う事が義務付けられています(第15条)。

2. 非居住者による中国内請負工事・役務提供(国家税務総局令2009年第19号)

非居住者の中国内請負工事・役務提供に関する徴税管理弁法が3月1日より施行されています。
当該弁法の対象となるのは、「非居住者が行う中国内での請負工事とは、建築、据え付け、組み立て、内装、修繕、装飾、調査」を指し、役務提供とは、中国内での加工、修理、輸送交通、倉庫保管、経営コンサル、設計、文化体育、技術サービス、教育教練、旅行、娯楽その他のサービス」と定義しています(第3条)。
実際に、上記サービスの内、中国内での営業許可の関係で、非居住者(中国内に機構を有する非居住者を含む)では、提供できない役務内容が多々含まれています。
例えば、非居住者の請負工事自体、(過去に、短期の工事請負の為の工事事務所の設置が、過去には認められていましたが)現時点では禁じられています。
よって、実際には、機器販売+監督役務(Supervising役務、以下 SV)形態での実質的な請負工事、長期出張ベースでのコンサルティング・技術指導等、各種の形態を含むものと判断されます。
この様な請負契約を結んだ場合、契約書の締結から30日以内に所管税務局に登記し、役務が終了した場合15日以内に登録抹消を行う必要があります(第5・6条)。
この様な登記を行った場合、非居住者は企業所得税の申告納税(四半期予納・年次確定申告)を行うと共に、完工時の精算を行う事が義務付けられています(第12条)。
この規定からすると、原則として対象となるのは、6か月以上役務期間(契約期間)が継続する場合(P/E認定される場合)と判断されます。 よって、単発的(短期間)なコンサルティング・技術提供契約、更には、中国外から情報提供等の形で役務提供する場合は、当該通知の対象外と推察されますが、この点、解釈の相違が生じる可能性があり、引き続き、運用を確認したいと思います。

非居住者の納税は、中国内の源泉徴収義務者が行う必要がありますが(第15条)、源泉徴収義務者がいない場合、若しくは、源泉徴収義務の履行ができない場合は、非居住者が自発的に、所管税務局で納税する必要があります(第16条)。

増値税・営業税等の流通税は、中国内に機構を有する非居住者の場合は当該機構が申告納税を行い(第19条)、ない場合は、代理人を指定し納税、また、代理人が存在しない場合は、請負工事・役務契約の受益者、発注・購入者が源泉徴収義務者となる事が規定されています(第20条)。

以上の通り、非居住者が、中国内で各種役務提供する場合の徴税管理の厳格化が図られる事となります。
当該弁法に定められた内容は、源泉徴収形式で納税が完了する様なものに付いても、契約書の提示・登記、進捗状況の報告と税務申告が要請される内容となっており、若干、too muchな内容とも言えますし、実務運用がどの程度規範化されるか疑問が残る内容です。
ただ、機器販売+SV方式での工事対応に関して、課税の範囲が機器に拡大する(P/Eの範囲が、請負工事全体に広がる)可能性、恒常的な技術提供・コンサルティング役務の提供が、P/E認定に繋がる可能性など、P/E認定のリスクが拡大する危険性を秘めた動きです。
親子間のコンサルティングフィー・技術指導料の送金に付いても、契約期間が6ヶ月以上であれば登記の対象となりますし、短期間であっても、恒常化すれば規制の対象となる可能性が高いと言えます。
何れにしても、親子間の受け払い管理が、従来以上に厳格化される事が予想されますので、役務内容・送金額の妥当性に注意すると共に、登記手続等の実務面を、所管の税務局と協議の上対応する様にして下さい。

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