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掲載日:2014年9月1日
上海自由貿易区における税関優遇措置

2014年上半期(5~6月)に、14項目の税関関連優遇措置が、上海自由貿易区で実施されています。これらの試験措置は、現段階では、限定した企業のみを対象としていますが、今後、条件に適合した区内企業に適用範囲が拡大される予定です。
試験措置の主要な内容を、上海市政府の発表内容に基づき、以下、解説します。

1.入区後税関検査

本来、輸入貨物が保税区域に到着した場合、税関で入境備案手続を行った後に貨物の引き取りが認められます。試験措置の適用を受ければ、自由貿易区企業は、貨物到着データに基づき貨物を引き取り、事後で入境備案手続を行う事が認められます。
この試験措置により、貨物の引き取り期間の2~3日の短縮が見込まれています。
当該措置は、47社を対象に試験が行われ、その後、区内の条件に適合する企業に、適用対象が拡大されます。

2.自由貿易試験区内移動の一般車使用

自由貿易区は、外高橋保税区・保税物流園区、洋山保税港区、浦東空港総合保税区という4つの保税区域が統合されたものですので、飛び地になっています。
これらの区間の貨物の移動は、保税転関手続に基づくため、監管車の使用が義務付けられていますが、今後、一般車(税関に登録した自社車両等)の使用を認める措置が実施されます。
この試験措置は、7社を対象に実験を行った後、区内の全企業に適用が拡大されます。

3.加工貿易企業の単耗管理廃止

自由貿易区内の生産型企業は、一般区域(非保税区域)の加工貿易企業と同様、単耗(歩留り率)を税関に登録し、それに基づく管理(保税品の有高管理)を受けています。
試験措置によれば、条件に合致する企業に付いては、単耗管理が廃止され、企業の実際数値に基づく保税品管理が認められます。
税関に受理された単耗数値が、実際の歩留まり率と異なるケースも少なからず見受けられるため、実数管理への変更で、加工貿易企業の保税品管理業務の効率化、税コストの削減が期待できます。

4.保税展示販売

通常は、保税品の展示は保税区域内(自由貿易区内)でのみ認められていますが、試験措置の適用を受ければ、自由貿易区内の企業は、税関に担保(保証金、若しくは、銀行保証)提供をする事を前提に、区内のみならず区外でも、保税品の展示・販売が認められます。
試験措置の発表前に、外高橋保税区の森兰商都において、保税品の展示販売が試験的に実施されていました。この事例では、保税状態の商品を展示し、販売済み商品に付いては1ヶ月以内に集中通関(関税・増値税等の納付)を行い、未販売商品に付いては、3ヶ月以内に試験区に返送する方式が採用されていましたので、これと同様の対応が採られるものと予想されます。
政府発表では、自由貿易区内で、当該業務を希望する全ての企業に対して、当該措置の適用が認められる事になっています。

5.ファイナンスリース

現在、浦東空港総合保税区でのみ実施されているファイナンスリースの試験措置が、自由貿易区全体に拡大されます。
当該措置の適用を受けたファイナンスリース企業は、輸入関税・増値税を一括納税するのではなく、リース料受領期間に応じて、分割納税する事が認められます。

6.通関措置の簡素化

従来、通関申告は、通関単毎の手続(一票一報)が原則でしたが、試験措置により、まとめ通関(多票一報)が認められる様になります。
政府発表では、2014年上半期に2線(自由貿易区と国内区外の往来)で規制緩和を実施し、下半期に、1線(国外と自由貿易区の往来)の規制緩和を実施する事が予定されています。
また、通関申告に際しては、税関に契約書、インボイス、船積書類等の書類提示が求められていますが、1線税関手続(入出境備案)と2線の保税取引に関しては、書類審査を免除すると発表されています。
これらの措置は、自由貿易区内の全ての企業に適用されますが、税関の証憑提示要求があった場合は、企業は書類提示が義務付けられます。

7.区内加工製品の国内販売時課税

自由貿易区内で加工した製品を、中国国内(国内の一般区域)に販売する場合、現在では、外高橋保税区を除き(注)、完成品の販売価格に基づいて輸入段階課税(区外搬出時の関税・増値税の課税)が行われていますが、今後、区内の全ての加工企業に対して、課税基礎を輸入原材料とするか、完成品価格とするかの選択が認められます。
注:
保税区の場合、保税区税関監督管理弁法・第22条により、国外から輸入した原材料、部品を一部含んだ完成品を非保税区で販売する場合、その完成品に含まれる輸入原材料・部品に対して税金を徴収する事が認められている。
その他の保税区域に付いては、この様な特例は認められていない。

8.集中通関

自由貿易区内の税関分類B類以上の企業は、税関に対する担保提供を前提として、集中納税制度(貨物引渡後、1ヶ月以内のまとめ納税)の適用が認められます。

9.その他

上記の試験措置以外に、区内での補修業務の許可、区内の税関申告様式(備案清単規格の統合)、保税監督システムの構築等が発表されています。

これらの規制緩和措置は、発表間がなく、実務運用状況が十分確認できていない状況ですが、政府発表通りに実施された場合、区内企業の業務の効率化、コスト削減に有益な施策も多く含まれています(特に、単耗管理廃止、区外での保税展示販売の容認、区内加工製品の国内販売に関する課税制度等)。
自由貿易区が設置されてから打ち出された規制緩和措置は、金融・外資企業管理方面が主体であり、税関管理面の優遇は、殆ど無い状況でした。
この試験措置実施を皮切りに、今後、実験的な規制緩和措置が打ち出される可能性もありますので、今後の進捗を見たいと思います。

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