トップ  >  保税区・保税物流園区の非居住者在庫オペレーションにおけるP/E認定の可能性 掲載日:2008年9月3日

掲載日:2008年9月3日
保税区・保税物流園区の非居住者在庫オペレーションにおけるP/E認定の可能性

保税区・保税物流園区等の保税開発区には、区内企業のみならず、外国企業でも(区内の物流会社に委託すれば)在庫を保管する事ができます。
この様なオペレーションが行われるケースとして主要なものは、以下の様なものです。

  1. 保税区域を活用したVMIオペレーションの実施
  2. 加工貿易貨物を、再度中国内に搬入する為の経由地(香港遊に代替する物流園区遊)

では、この様な取引を、区内に法人を作らず、非居住者が直接行った場合に、P/E認定のリスクは生じないのでしょうか。

P/E認定の可能性

P/E(恒久的施設=Permanent Establishment)認定のリスクとは、非居住者が外国(この場合中国)において、常習的にビジネス活動を行っている場合、そこに一種の機構が存在していると見なされ、非居住者自身が企業所得税の課税対象となるリスクを指します。
日本企業の場合は、日中租税条約に、P/Eの定義が規定されていますので、先ず、その定義を確認する必要があります。
この取引に該当するケースとして、以下の内容が租税条約上定められています。

  • 非居住者(日本企業)の所有する物品、若しくは商品を、保管・展示・引渡しの為だけに、中国の設備を利用する場合は、P/Eに該当しない。
  • 非居住者(日本企業)が、物品、若しくは商品を、保管・展示・引渡しの為だけに、中国に保有する場合は、P/Eに該当しない。

以上の通り、商品の単純な引渡しの為の中国内設備(倉庫等)の使用、若しくは、商品保管の場合は、P/Eとは認定されないという事になります。
但し、ここで注意する必要があるのは、VMIを行う場合は、出荷管理・物流手段の手配等の機能を果たす必要が有りますし、物流園区遊を行う場合は、(非居住者の利益確保の為に)物流園区内で付加価値(非居住者利益)が付けられるのが通常だという点です。
この場合、必ずしも単純な保管・設備の使用とは言えなくなりますので、P/E認定を受けるリスクは理論上生じ得る事になります。

実務的な対応

上記の理論上のリスクはさておいて、保税物流園区・保税区は、この様なオペレーション(1-(1)・(2))の推進を目的の一つとしている事もあり、この様なオペレーションがP/E認定に直結するケースはあまり聞いたことがありません。
但し、区内で付加価値が付けられた場合、区内に現地法人・非居住者の機構がなければ、その利益が中国で課税されないまま海外に移転する結果になるのは確かです(保税区域によっては、区内で価格を変更する事が認められない場合もあります)。
よって、今後、保税区域を利用したこの様なオペレーションが成熟すれば、将来的にP/E課税の問題が生じる可能性は無いとは言えません。
よって、状況に応じて、「区内に現地法人を設立する」、「区内の物流会社にオペレーションを完全に委託する」等の対応を検討する必要があります。
少なくとも、出張者を常駐させ、保税区域のオペレーションを監督させる事は避けた方が良いでしょう。

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