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掲載日:2014年9月4日
クロスボーダー人民元決済

1.人民元建ての貿易契約

<ポイント> クロスボーダー人民元決済が認められる前から、人民元建ての貿易契約は認められていた。
人民元建て外貨払いの貿易取引の場合は、人民元金額を当日のレートで外貨に換算し、決済する事が義務付けられている。

人民元を貿易契約の建値とする事は、「国内機構が対外貿易において人民元を計算通貨にする問題に関する通知(匯発[2003]29号)」で認められていた。
人民元建て・外貨払い契約を結ぶ場合、対外決済に当たっての人民元と外貨の換算は、当日の為替レートに基づき決定する事が義務付けられている。

2.経常項目のクロスボーダー人民元決済

<ポイント> 経常項目に関するクロスボーダー人民元決済の規制緩和は、2012年に完了した。
全ての中国企業が、外国企業と人民元建てで決済できる(貨物代金決済は、貿易権を有する企業のみ)。
尚、クロスボーダー人民元決済の手続は、外貨による対外決済に準じる。

クロスボーダー人民元決済試行措置は、2009年7月1日より開始されたが、2012年5月8日、中国人民銀行・財政部・商務部・税関総署 国家税務総局・銀監会より、「輸出貨物貿易人民元決済企業の重点監督リストの書簡(銀弁函[2012]381号)」が公布され、経常項目に関する規制緩和が完了した。
当該通知により、人民元対外決済登録企業(パイロット企業)管理が撤廃され、全ての貿易権を有する企業に、人民元対外決済権が開放された(注)。

注:
実際には、経常項目に関するクロスボーダー人民元決済は、貨物代金だけでなく、役務費、その他の経常項目も含んでおり、現時点では、貿易権のない会社(コンサルティング企業など)も、人民元で、配当・役務費を中国外に支払う事が認められている。

3.人民元建てユーザンス取引と総量規制の関係

<ポイント> 中国企業が、人民元建てでユーザンス輸入取引を行った場合、総量管理の対象となるか否かに付いては、地域によって、対応が分かれている。
外貨と総量管理の対象とする事を推奨:上海
総量規制の対象とはしない:北京、広州
⇒「クロスボーダー人民元業務に係る問題についての通知(銀発[2011]145 号)」では、人民 元対外決済に関する居住者の非居住者に対する人民元債務(人民元建てユーザンス輸入債 務を含む)は、人民元対外決済情報管理システムに登記し、外債管理には組み入れない事 が規定されているが、運用は地域により異なる。

☆ 外貨管理局のHPでは、通関・決済が共に人民元の場合は、ユーザンス登記管理の対象と はしない事を定めているが、現時点では、運用状況にばらつきがある。

4.人民元による対中投資

<ポイント> 外資企業に対する、クロスボーダー人民元による資本金の払い込みは、2011年より認められ、2014年1月1日に規制緩和が実施された。
人民元で資本金を払い込む事により、為替リスク回避等のメリットがある。

外国企業から、中国の外商投資企業に対する人民元出資は、2011年10月に解禁された。
根拠となるのは、以下の文書。

① クロスボーダー人民元建て直接投資に関する問題の通知(商資函[2011]889号)
外国からの人民元出資に関し、商務部の認可基準を明確にした通知。
当該通知により、人民元出資金額が3億元以内の場合、出資先が特定業種(投融資、及び、セメント・鉄鋼・電解アルミ・造船などの国家が統制する業種)ではない場合は、省級商務主管部門に認可権限が付与された。

② 中国人民銀行公告[2011]23号
当該公告施行前は、銀発[2011]145号により、人民元建て資本金口座開設は、人民銀行総行の許可取得が義務付けられていた。
当該公告により、所管の人民銀行分局で登記手続を行う事により口座開設が認められた。

その後、クロスボーダー人民元直接投資に関する問題の通知(商務部公告2013年第87号)」が公布され、①の制限(3億元超の人民元出資に関する国家認可取得義務など)が撤廃された。

5.国際間の人民元融資

<ポイント> クロスボーダー人民元融資が認められている。
オフショア人民元を安く調達し、中国の現地法人に調達できるメリットがあるが、借入枠の制限は、外貨よりも厳しい。

① 借入手続
中国の外資企業の、海外からの人民元借入の条件は、「外商直接投資人民元決済業務操作細則を明確にする事の通知(銀発[2012]165号)」により明確化された。
融資を受ける外資企業は、銀行に、以下の書類を提出して、審査を受ける必要がある。

● 提出書類
設立の批准証書、直近の資本金払込み証明、人民元融資契約、申請日までの海外から の人民元借入・外貨借入・当該企業を受益者とする国外担保人民元に関する状況説明

銀行は、資金の入金後5営業日以内に、クロスボーダー人民元受払いデータシステム経由報告を行う必要がある。 融資契約は、実勢金利を参考にした上で、当事者間で決定する事ができる。

② 借入枠と融資期間による対応
1)借入枠
クロスボーダー人民元借入と外貨借入は、双方を合算する必要があり、その合計額を、投注差(定款上の総投資から資本金を控除した差額)の範囲内とする必要がある。
⇒ 外資投資性公司、外資ファイナンスリース会社等は、別途の規定に従う(注)。
外資不動産会社は、クロスボーダー人民元借入は認められない。
注:投資性公司の借入枠
・ 資本金がUS$ 3千万以上の場合は、借入額は資本金額の4倍以内。
・ 資本金がUS$ 1億以上の場合は、借入額は資本金額の6倍以内。

2)融資期間
人民元借入の場合は、期間に拘らず(短期であっても中長期であっても)投注差の枠を消費し、返済しても枠は復活しない。
⇒ 外貨の場合(以下、参照)よりも厳しい条件が設定されている。

親会社等の対外保証による、中国内の人民元借入は、借入段階では枠を消費しないが、保証履行を行った段階で、枠を消化する。
⇒ 外貨借入の場合(匯発[2005]74号)と同様。

<外貨借入の場合>
2003年より施行されている外債管理弁法には、海外からの外貨借入は外貨債務登記を要し、登記可能な範囲は、「短期借入金の残高と中長期借入金の累計額が、投注差の範囲内」と規定されている。
⇒ 短期借入金は返済すれば枠が復活するのに対して、中長期借入金の場合は、返済しても枠 が復活しない事を意味する。
尚、短期借入金であっても、ロールオーバーにより、実質的な借入期間が1年を超過した 場合は、中長期借入金として扱われる(匯発[2011]45号)。

3)借入が可能となる時点
クロスボーダー人民元借入は、登録資本金の全額が払い込まれた段階で初めて実施が認められる。
⇒ 外貨対外借入の場合は、外国出資者の資本金払込み比率に応じて認められる(匯発[2011]45 号)ため、これよりも条件が厳しい。

4)借入金の用途
クロスボーダー人民元借入で調達した資金は、営業範囲内の活動に関してのみ認められ、有価証券や金融・財テク商品の購入、委託貸付、自己使用のオフィス以外の不動産購入、投資性公司以外の会社が国内再投資に使用する事は禁止される。
尚、借入資金を、国内外の借入金返済に使用する事は可能。

6.オフショア人民元マーケットとしての香港活用

香港の銀行における人民元取り扱いは、2010年に自由化された。
⇒ 香港は外貨管理自由だが、2009年の人民元対外決済試行措置開始までは、人民元は対外決 済通貨ではないため、香港の銀行で取り扱うことはできなかった。

2010年に実現された規制緩和は以下の通り。
① 香港企業の人民元口座開設制限の緩和
全ての香港企業が、人民元口座の開設が可能となった。
② 香港の人民元口座間の資金移動の自由化
香港内の企業間、企業と個人間で、人民元の振替が認められた。
また、銀行より人民元建ての借入も可能となった。
③ 企業の人民元と外貨(人民元以外の通貨)の換金制限の撤廃
香港企業に対する、人民元と外貨の換金制限が撤廃された。

この為、現在では、香港で人民元を調達し、中国内の現地法人に投融資する事が可能となっている。
⇒ 香港の人民元(オフショア人民元)は、実需に基づき金利・レートが設定されるため、中 国本土内より(現時点では)有利な調達が可能。

上記の通り、香港の企業に対しては人民元が解禁されたが、個人に付いては、依然として規制が残っている(中国人民銀行公告[2003]第16号)。
1)香港での人民元口座開設
香港居住者(香港ID保有者)に限定して、人民元口座開設可能
2)香港での人民元と外貨の換金
一日当たり、2万元/人を上限とした換金が可能。

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